3月第2週、BuzzFeedは広告主に対し、新商品2種の売り込みを開始した。ひとつは、同社がブランド/商品に関するカスタムポストを作り、ユーザーに購入を促すブランドコマースポストオファリング。もうひとつは、BuzzFeedサイトの関連ショッピングポストに登場させる新たな購入可能広告ユニットだ。
BuzzFeedは、自社の広告力と成長中のコマース事業の融合に関心を抱くマーケターへの売り込みを加速させている。
3月第2週、BuzzFeedは広告主に対し、新商品2種の売り込みを開始した。ひとつは、同社がブランド/商品に関するカスタムポストを作り、アフィリエイトリンクを通じてユーザーに購入を促すブランドコマースポストオファリング。もうひとつは、BuzzFeedサイトの関連ショッピングポストに登場させる新たな購入可能広告ユニットだ。
デジタルパブリッシャーのなかでも、BuzzFeedの広告事業は大きく、同社収益の大半を担っており、2018年は3億ドル(約330億円)を超えた。一方、同社のコマース事業も好調で、同年にアフィリエイトの売上とライセンス収益で2億5000万ドル(約277億円)以上を記録したと、BuzzFeedのチーフレベニューオフィサー、リー・ブラウン氏は語る。
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今回導入するふたつのコマースベース広告商品により、BuzzFeedは「広告事業とコマース事業のリンクをさらに強化したい」と、ブラウン氏は語る。
BuzzFeedの広告&コマース戦略は、今年で2年目を迎える。2018年、 同社は広告とコマースを融合させた取引で5000万ドル(約55億円)以上を売り上げており、今年度の数字には、上記の新商品やほかの広告戦略の後押しにより、「多大な」伸びを期待していると、ブラウン氏は語る。
ネイティブポスト
広告収益だけでなく、収入源の多様化を狙う同社は、今年に入って以降、いくつかの試みを実施している。先頃も人員整理と再編を行なったが、これもまた、よりサステナブルなビジネスを構築する狙いの表れだ。3月第2週末のSXSWにおけるスピーチでも、同社CEOジョナ・ペレッティ氏から、今年は2017年には手がけていなかった事業で1億ドル(約110億円)以上の収益を見込んでいる、との発言があったと思われる。
BuzzFeedはすでに、カスタムネイティブポストのノウハウを持っている、というのが、同社のマーケターに対する売り文句だ。実際、同社にはコマース主導のマーケターにカスタムポストを作った経験がある。Quip(クイップ)の電動歯ブラシを試したライターに関するこのネイティブポストは、その一例だ。マーケターにこうしたネイティブポストを利用させ、クリック数/売上を伸ばしてもらいたいと、同社は考えている。
「ブランドコマースポストでは、我々はブランドと一丸となる。なかでもとりわけ、商品の特徴/利点の宣伝、市場競争力アップ、特別サービスの提供といった点に尽力するとともに、ポストは必ずブランドの声でなされるように取り計らう」と、ブラウン氏は語る。「つまり、徹頭徹尾、ひとつのブランドのためだけのポストにする」。
アフィリエイトネットワーク
一方、購入可能な広告ユニットについて、同社はアフィリエイトネットワークを売り文句にしている。このネットワークを介し、同社は現在、Amazonへのリンク元のなかでトップ5に位置していると、Web解析などを提供する英企業SimilarWeb(シミラーウェブ)は分析している。「我々のように、この場でこのサイズとこのスケールで勝負できるところは、同業[パブリッシャー]のなかには数えるほどしかない」と、ブラウン氏は語る。
とくに若い女性層に強いBuzzFeedのリーチ力を持ってすれば、成熟しつつあるDTCブランドや、コマース主導のパブリッシャーキャンペーンに関心のあるマーケターから広告費を獲得できる可能性は十二分にあると、メディアコンサルティング企業Varick(ヴァリック)のマーケティングVPケイト・ブロウス氏は指摘する。
「いまや誰もがコマース界に参入している――これは賢い選択であり、我々が大いに注視していることでもある」と、ブロウス氏は続ける。「消費者の購入までの道のりを短くするものは、当然、すべてのマーケターにとって興味深い」。
「あらゆるカテゴリーを網羅」
ブラウン氏いわく、BuzzFeedの広告&コマース事業には50~100のクライアントが付いており、業務内容は、同社がコンサルタントを務めるものから、ブランドと商品に関するワークショップの実施、通常のアフィリエイトセールスまで、多岐にわたる。パフォーマンス主導の広告商品がDTCブランドをターゲットにしているのは自明だが、ブラウン氏いわく、BuzzFeedはより大きなパイにも目を向けていると語る。
かたや、Facebookとインスタグラム(Instagram)のおかげで成長したDTCブランドもまた、両プラットフォームの広告料が上昇を続けるなか、別の選択肢を探している。
「我々が展開するこの事業が、DTCブランドとCPGブランドに効果的なのは明らかだが、ほかにもたとえば、チケッティングを必要とするエンターテイメントや、サブスクリプション型のOTTにも通用する」と、ブラウン氏は語る。「言い換えれば、これはあらゆるバーティカルやカテゴリーを網羅できる」。
Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)