BuzzFeed Japanは2月14日のバレンタインデーに、新メディア「BuzzFeed Kawaii」を正式ローンチした。このメディアは、同社が運営する公式Twitterアカウント(@BuzzFeedKawaii)のことで、若い女性向けのお役立ち情報を「画像にまとめて」、1日に3本程度投稿している。
ブームが冷めやった感のある分散型メディアに、日本発の新潮流が誕生した。
BuzzFeed Japanは2月14日のバレンタインデーに、新メディア「BuzzFeed Kawaii」を正式にローンチ。BuzzFeed Kawaiiは、BuzzFeed Japanが運営する公式Twitterアカウント(@BuzzFeedKawaii)のことで、若い女性向けのお役立ち情報を「画像にまとめて」、1日に3本程度投稿している。
なお、それぞれのTwitter投稿に対応する、独自ドメインへの記事リンクは、基本的に用意されていない(一部、BuzzFeed Japanサイトへリンクされた投稿も存在する)。ユーザーはTwitter上で、女性誌の「スクリーンショットのような画像(※厳密にはスクショではないが)」をワンクリックするだけで、タイムラインを離れることなく、気になった情報をすぐさま得られ、そのまま共有もできる。
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Twitterファーストな設計
「ミレニアル層を想定した記事を、より対象となる読者の方に『最短距離』で届けたいと思った」と、BuzzFeed JapanでBuzzFeed Kawaiiのチームリーダーを務めるキャサリン ジヘ・ゴウ氏は、このメディアスタイルを思いついた経緯を語る。「Twitterなら、いいねやRTをしておけば自分のアカウントでいつでも簡単に見返せるし、情報との距離が縮まることが読者にとってのメリットだ」。
いわば、分散型メディアの新スタイルともいえるBuzzFeed Kawaii。面白いのは、これまでの分散型メディア(たとえば、ナウディス[Now This]やC Channel)とは異なり、そのメインコンテンツが「動画ではない」ことだ。
お肌よわよわ民に支持されてる「お守りコスメ」をまとめました。 pic.twitter.com/CqNlXmNKIs
— BuzzFeed🍭Kawaii (@BuzzFeedKawaii) 2019年1月24日
なぜ、記事リンクではなく、動画でもなく、「スクショ風」の画像なのか。その理由についてゴウ氏は、「(日本の)ミレニアル層は、日常的にスマートフォンでTwitterを見ている。(BuzzFeed Kawaiiのスクショ風の画像なら)Twitterから記事にアクセスしなくても、ひと目で情報をキャッチできる」と語る。
なお、このスクショ風画像。客観的に見て、少々文字が多すぎる印象だ。それについてゴウ氏は、「BuzzFeed Kawaiiの画像には、『140字』ではなく記事1本分の情報量を詰め込んでいる。だが、画像をタップして少し拡大すると、読みやすい文字サイズになる」と補足する。
スクショ世代のスクロール疲れ
去る2月8日に日経クロステックで、「なぜスクショ?スマホネイティブ世代がコピペしない理由」という記事が掲載され、話題となった。その記事では、スマートフォンにおける情報共有の際にスクショを利用するメリットとして、1. リンクのコピペよりもスクショの方が楽/2. 画像だと絶対にいますぐ見てもらえる/3. 送信相手(主に友人)のギガが減らない、などを挙げている。
また、「スクロール疲れ」という現象も話題だ。各プラットフォームの基本となっているニュースフィードやタイムラインの縦スクロールすら、若者たちはめんどくさいと感じている。そのカウンターとなっているのが、スマホの全画面を覆うタテ型投稿がメインとなっている、Snapchat(スナップチャット)やインスタグラム(Instagram)のストーリーだろう。TikTok(ティック・トック)もその路線を踏襲し、若年層の大きな支持を集めている。
「スクロール疲れ」については、2018年3月にNewsPicksで681Picksを集めた、現役女子大生二人組による若者の今を伝えるメディア「ワカモノのトリセツ」に詳しい。同メディアの記事「もう縦スクロールって疲れません?進化する私たちの指と視野」では、こう断言している。「私たち若者は、一画面で情報を得ることに慣れてしまったのです」。
このような声を集約すると、BuzzFeed Kawaiiの判断は、まさに時流に沿ったものだと考えられる。
最高いいね数は、14万超
ちなみに、このBuzzFeed Kawaiiは、2018年5月にベータローンチされた。新しいタイプのメディアであり、読者に確実に喜んでもらえる手法を確立するまでに実験的な期間が必要だったと、ゴウ氏は説明する。現在、フォロワー数が20万人に迫り、個々のツイートへのRTや「いいね」が数万を超えるようになった段階で、ビジネス面での成長も視野に「正式ローンチ」したという。
実際、BuzzFeed Kawaiiの投稿は、直近のものをタイムラインで目視すると、いいねは5000〜6000、RTは2000前後を超えるものが、ほとんどのようだ。BuzzFeed Japanの広報によると、全体の投稿の平均値として、いいねは1万を超えているという。また、これまでの最高記録だと、14万のいいね、4万5000のRTを記録した投稿もある。
コンビニ3社の冷凍食品をたくさん食べたので、特に買うべきTOP3をまとめました。 pic.twitter.com/wWoc1tVuEV
— BuzzFeed🍭Kawaii (@BuzzFeedKawaii) 2018年7月10日
「今回の正式ローンチにより、Kawaiiを活用したTwitter上、BuzzFeed Japan上での広告のテスト販売を開始した」と、BuzzFeed Japan 創刊編集長の古田大輔氏は語る。「昨今では日用品、コンビニ商品を中心にF0、F1層を意識したデザインや機能を兼ね揃えた商品やサービスが増えているなか、BuzzFeed Kawaiiに対する企業からの反応は、想定以上と感じている」。
他プラットフォームでの展開
Twitter上でひとつのツイートに情報をまとめるという手法は、動画やテキストなど、さまざまな表現手法をソーシャル上で試してきたBuzzFeedにとっても新しいと、古田氏は説明する。そのため、RTやいいねなど、エンゲージメントの高さは、BuzzFeedのグローバルからも注目されているという。
「現在、BuzzFeed Kawaiiは、Twitterのみ(の運用)となっている」と、ゴウ氏は、最後に指摘する。「今後はユーザビリティを考えながら、インスタグラムなど、ほかのプラットフォームでの配信も視野に入れていく」。
Written by 長田真
Image courtesy of BuzzFeed Japan