「我々は常にプラットフォームへの対応を行っている。たとえトラフィックバックがない場合でもだ」と、BuzzFeedの発行人で配信担当窓口を務めるダオ・グエン氏は5月6日(米国時間)に公開された米DIGIDAYのポッドキャストで述べている。
「我々は自分たちを孤立した存在とは考えていない。常に変化を続けるこのインターネットのエコシステムの一部だ。我々が独立したWebサイトであったときでさえ、Facebookで起こったことは大きな影響力を持っていた。我々が分散型コンテンツの制作を得意としている理由のひとつは、ほかのプラットフォームで公開されている自分たちのコンテンツのことを常に考えているからだ」。
BuzzFeedの成長を促したのは、主にFacebookのようなプラットフォームだ。こうした新しい配信プラットフォームのおかげで、BuzzFeedのコンテンツはバイラルな存在となり、膨大な数のオーディエンスにリーチできた。
しかし現在、こうしたプラットフォームは変化の段階にある。そしてBuzzFeedもだ。Facebookなどのサービスはパブリッシャーに対し、トラフィックバックをしようとするのではなく、自らのプラットフォーム上で直接記事を公開して欲しいと考えている。BuzzFeedの全オーディエンスの4分の3(77%)は、同社がコンテンツ配信を行っている30の異なるプラットフォームに分散したネットワーク上で、それを読んでいる。だが、BuzzFeedの発行人で配信担当窓口を務めるダオ・グエン氏は、この変化は考えられているほど、ドラスティックなものにはならないと考えている。
「我々は常にプラットフォームへの対応を行っている。たとえトラフィックバックがない場合でもだ」と、グエン氏は5月6日(米国時間)に公開された米DIGIDAYのポッドキャストで述べている。「我々は自分たちを孤立した存在とは考えていない。常に変化を続けるこのインターネットのエコシステムの一部だ。我々が独立したWebサイトであったときでさえ、Facebookで起こったことは大きな影響力を持っていた。我々が分散型コンテンツの制作を得意としている理由のひとつは、ほかのプラットフォームで公開されている自分たちのコンテンツのことを常に考えているからだ」。
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また、さらに重要なのは、インターネットと争う動機がほとんどないことだ。グエン氏によると、すべてのプラットフォームは「大部分の人々が快適だと感じるレベルを超えて」つながっているため、このネットワークを活用するほかないという。
グエン氏は、次のように言葉を続けた。「自分たち(が所有、運営しているサイト)だけにフォーカスしている場合であっても、そのエコシステムにフォーカスしていることになる。Facebookはいまもトラフィックを送っている、Googleもトラフィックを送り、TwitterとPinterest(ピンタレスト)もトラフィックを送っている。人々はいまでも、ある場所で見つけたコンテンツをほかの場所で共有している。我々が外部との関係を断ったからといって、起こっていることに、すぐに影響されなくなるという考えは正しくない」。
では、グエン氏の話の主なポイントを、わかりやすく編集して紹介しよう。
収益モデルはいずれ分散型モデルに追いつく
グエン氏は発行担当者だが、BuzzFeedの収益面に関わる仕事はしていない。同氏の職務は、データサイエンスと配信に関連する仕事だ。だが、プラットフォームにシフトするBuzzFeedの動きは、収益モデルの調整が必要なことを示している。フィナンシャル・タイムズ(The Financial Times)は最近、BuzzFeedが売上目標を達成できなかったと報じており、DIGIDAYでも2016年初頭に同様の記事を掲載している。グエン氏はこうした報道には触れなかったが、売上の変化はオーディエンスの変化から遅れてやって来るものだという考え方には同意した。グエン氏が重視しているのは、コンテンツ(そして広告)の形態について柔軟な姿勢を取り続けることだ。
「その遅れが非常に大きいとは必ずしも限らない」とグエン氏は言う。「おそらく時間とともに縮まってくるはずだ。そのためには、どこかの誰かと同じことをしようとするのではなく、マネタイズの対象と方法を調整できるようにすることだ」。
BuzzFeedはテクノロジー企業ではない
デジタルメディア企業が自社をテクノロジープラットフォーム企業と称することが流行った時代があった。これは当時、ベンチャーキャピタリストが聞きたがることの多い言葉でもあったからだ。だが、BuzzFeedは本質的にメディア企業だとグエン氏は考えている。優れたデータと技術を持っていてもだ。
グエン氏は、「我々はメディア企業だ。消費者にも広告主にもそのように認知されているのだから。我々はメディアを作っているが、こちらかあちらかのどちらかでなければならないという二分法は間違いだ。我々はメディア企業だが、強力な技術部門を抱えている。メディア企業であるからといって、優れた技術チームを抱えられないということはない」と、語った。
「プロセス」がBuzzFeedを動かす
グエン氏には打ち破りたい神話がある。それは、何がバイラルな存在になるかをライターたちに教えられる優れたデータサイエンティストがBuzzFeedにはいないという見方だ。データは全体を構成する要素の一部だが、グエン氏が「プロセス」と呼ぶものほど重要ではないという。「プロセス」とは、コンテンツをさまざまなプラットフォームや地域で繰り返し試し、何がうまくいき、何がうまくいかないかを学び続けることだ。グエン氏自身が執筆して大きな話題になった「あなたがアジア移民の親に育てられたことを示す27のサイン(27 Signs You Were Raised By Asian Immigrant Parents)」という記事は、同じようなやり方で書いた過去の記事がベースとなっている。
「この『プロセス』は、多くのことの組み合わせだ。作成されたすべてのコンテンツについて、利用可能なデータを手にすることであり、学びたいという好奇心であり、継続的な学習のプロセスなのだ」と、グエン氏は言う。
スイカのFacebook動画が話題になったのは、ヤギのイタズラのおかげ
BuzzFeedがFacebookのライブ動画で、はじめてバイラルヒットを生み出したのは、何本の輪ゴムをスイカに巻きつければスイカが破裂するか実験する人たちの様子をライブ配信したときだった。多くの人は、この動画が1000万を超えるビューを獲得した理由がわからなかった。だが、これこそが「プロセス」の成果なのだとグエン氏は説明する。BuzzFeedの動画担当スタッフはこの1週間前、BuzzFeedのプレジデントを務めるゼ・フランク氏の誕生祝いに、同氏のオフィスを子ヤギだらけにするというイタズラ動画を配信した。彼らはオフィスからFacebookのライブ中継を開始し、フランク氏がオフィスに戻るのを待った。驚いたことに、フランク氏がなかなか戻ってこなかったにもかからわず、この動画の視聴者数は伸び続け、8万人に達したのだ。
「これは、何かが起こるのを待つという共有体験だった」と、グエン氏は語る。「何が起こるかはわかっていたのだが、それが起こる様子をみんなで体験することが重要だった。実際、彼(フランク氏)が戻ってきてしまうと、このイタズラに対して何と言うのか誰も関心を持っていなかった」。
インタビューの詳細は、以下のポッドキャストにて、確認してもらいたい。
Brian Morrissey(原文 / 訳:ガリレオ)