玩具店・キャンプはいかに、オフシーズンを乗り切るか?:BuzzFeedとともに考えた生き残り術

ニューヨークやロサンゼルスといった都市で展開される、BuzzFeedのポップアップショップ(期間限定店舗)は、ホリデーシーズンの恒例となった。BuzzFeedが一部所有しているリテールビジネスのキャンプ(Camp)は、ブランドアクティベーションやクラスといった要素を活用することで、ホリデーだけでなく、年間を通じた成功を収めようとしている。

ニューヨークに建てられた1万平方フィート(約929平方メートル)の玩具店であるキャンプでは、現在2ドル(約217円)のバウンスボールから、300ドル(3万2000円)の電気製揺れる馬のオモチャまで、2500個のプロダクトが提供されている。キャンプは純粋な実店舗リテーラーとして運営されることになっているが、同時にブランドたちにブランドアクティベーションのために大きな予算を投入してもらうことにも期待している。ブランドアクティベーションは、6週間から8週間の期間になるとのことだ。これにBuzzFeedが抱えるメディア力の助けが加わることになるが、キャンプの試みとしては、ブランドたちにとってポップアップショップにおける障害となっているコスト面を削除することが狙いにもなっている。

エクストラの収益を得るため(そしてローカルな、ロイヤルカスタマーの基盤を作るため)、キャンプでは店舗における種々のクラスやアクティビティが開催される。平日では新生児の母親たち、そして週末は幼い子どもたちをターゲットにする。

ほかで得られないチャンス

キャンプのメディアとアクティベーション売上を取り扱うBuzzFeedだが、店舗におけるアクティベーションに対して、どれだけの金額をブランドたちに請求しているかは明確ではない。また、ブランドが販売を行えるスペースに対して、マーケットにどれだけの需要があるかも明確ではない。しかし、マーケットのほかでは実現することが難しいチャンスをキャンプは提供できると考える、リテールやエージェンシーのベテランたちは存在している。

「ブランドにとって、実地で、体験型のアクティベーションを短期で行うのはインフラ上の課題が伴う。この種類の短期のリース環境に対応できる場所は多くない」と、体験型エージェンシー、メイクアウト(Makeout)の共同ファウンダーであるエリック・フレミング氏は言う。

ブランドにとってのポップアップショップは、売上を伸ばすことではなく、話題性を生み、人々の注意を引くことが従来の狙いだった。これは短期で店舗をローンチして運営することの経済的なコストが割に合わないことが原因だ。ニューヨークのような地域でリテール店舗を短期サブリースで借りるには少なくとも一週間に2万ドル(約217万円)のコストがかかると、フレミング氏は語った。

そこに、さらに建築家、電気技師、鉄骨製造業者、デザイナー、景観造設業者、建設労働者、店舗スタッフといったコストが加わると、もはやどれだけ成功しているブランドでも利益を生むのは不可能となるだろう。「経済的に実行可能になることは、非常にレアだ」と、フレミング氏は言う。

複数のロケーションでも展開

キャンプはこういったコストを最小限に留めることを目的としている。デトロイトとニュージャージーの鉄骨製造業者との関係をすでに築いており、自社で抱えるデザイナーやコンサルタントがアクティベーションに取り組むことでコストを抑えていると、キャンプのファウンダー(でありBuzzFeedのコマース部門責任者である)ベン・カウフマン氏は述べた。

キャンプが拡大するにつれて、これらのコストも償却されることになるだろう。キャンプの最高マーケティング責任者であるティファニー・マーコフスキー氏によると、今年キャンプはアメリカにおいて複数のロケーションを新しくオープンするとのことだ。しかし、どこにいつオープンするかについては言及しなかった。

キャンプにおけるブランドアクティベーションやデザインは、展示会で使われているコンセプトを活用したものだ。新しいロケーションがオープンすることで、ブランドアクティベーションやデザインは、ひとつの場所から次の場所へと素早く移動を繰り返すことになるだろう。キャンプの店舗が現時点で抱えているデザイン要素はすべて、箱に詰めてひとつのトラックの後ろに載せられるようになっている。このセットアップはベースキャンプ(Basecamp)と呼ばれている。

子どもや親向けのクラスも

収益をさらに多様化させるため、キャンプの店舗では定期的に子どもや親向けのクラスを主催することになる。ブランドとのタイアップがされていないクラスはひとりあたり20ドル(約2170円)から30ドル(約3263円)の価格となる。最終的にはメンバーシッププログラムを導入し、クラスの参加と優先入場といった特権をつけるかもしれないと、カウフマン氏は言う。

キャンプが定期的にブランドに応じて模様替えを行うことは、リテール業界で勢いを得つつあるコンセプトに沿っている。これはネイバーフッド・グッズ(Neighborhood Goods)やメイシーズ(Macy’s)によって昨年の春に買収されたストーリー(Story)といった店舗によって生み出された話題のおかげでもある。ストーリーのファウンダーであるレイチェル・シェットマン氏は、キャンプの役員を務めてもいる。

キャンプの大部分を所有しているのがどこであれ、成功のために大きな賭けをしていることは確かだ。フラグシップ店舗は1万平方フィートのリテール敷地面積を持ち、地下には2500平方フィート(約232平方メートル)のスペースを持っている。これはジョー・フレッシュ(Joe Fresh)などのブランドを所有するカナダの会社ロブロー・カンパニーズ(Loblaw Companies)から賃貸を受けている形だ。2012年にロブローは複数年に渡る賃貸契約を5番街の110番建物で結んだ。1平方フィートにつき220ドル(約2万4000円)から、という賃料計算になっている(コンプスタック[Compstak]のデータによる)。ニューヨーク・ポスト(New York Post)によると、キャンプが契約したサブリースの賃料は1平方フィートにつき300ドル(3万2600円)となっている。交渉の結果、決定された最終的な値段は、このふたつの価格のあいだのどこかになったと考えると、キャンプは年間の賃料だけで275万ドル(約2億9000万円)から375万ドル(約4億円)を支払うことになる。

リピーターをいかに抱えるか?

また店舗のブランド・模様替えが頻繁に起きることで、顧客が常連客になることが難しくなる。そのためアクティベーションは、大ヒットを呼ぶ必要がある。

「理論上はメディア企業は人々の習慣を理解しているというメリットを抱えている。しかし、提供するプロダクトのアレンジを常に変え続けてしまうと、顧客たちはなぜ自分が店に行くべきなのか理解できなくなる可能性がある」と、セージベリー・コンサルティング(SageBerry Consulting)のファウンダーであるスティーブン・デニス氏は言う。

この困難な状況に対応するためにキャンプが頼りにしているのが、高い需要だ。「一般的にはリテーラーのほとんどにとって、リピーターが非常に重要だ。玩具業界では、特に特定の年齢であることを考慮すると、誕生日パーティやクリスマス、ハヌカなどたくさんの贈り物の機会が存在している」と、デニス氏は語った。

Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)