女性向けニュースとライフスタイル情報を発信するサイト「バッスル(Bustle)」は、インスタグラムで独特な存在感を表している。同メディアのインスタグラムフィードは一般的なデジタルパブリシャーとは趣が違って、風変わりなイラストやインターネット・ミーム(ネットで話題になる面白画像)が目を引いている。
女性向けニュースとライフスタイル情報を発信するサイト「バッスル(Bustle)」は、インスタグラムで独特な存在感を表している。同メディアのインスタグラムフィードは一般的なデジタルパブリシャーとは趣が違って、風変わりなイラストやインターネット・ミーム(ネットで話題になる面白画像)が目を引くのだ。
バッスルが売り物にする遊び心いっぱいのイラストは、ブランド構築戦略で重要なはたらきを担っている。あるイラストでは、普通の日に購入する食料品の量と「ちょっとだけ空腹なとき」に購入する食料品の量を比較。別のイラストでは、ヨガパンツが大人気の理由を円グラフで示す(ヨガ自体の人気とはほとんど関係ないようだ)。こうした投稿が違和感なくインスタ上で紹介され、思わず読者はクリックしてしまう。
イラストの狙いは、ユニークな方法で記事内容を伝えることにある。パブリッシャーの多くが動画制作にリソースを注いでいる一方で、バッスルはオリジナルのイラストにある種の「逆張り」をかけているのだ。10人ほどのイラストレーターを雇って、風変わりなインフォグラフィック、インターネット・ミーム、風刺漫画を制作している。
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内製でスピード感高く
「写真では不可能だが、イラストであれば、記事からあるコンテキストを抜き出して強調することができる」と、「バッスル」でクリエイティブディレクターを務めるアイラ・マリー氏は語る。「写真には多くの予備作業が必要だが、社内制作のイラストなら使い回しやデザイン修正を素早く行える」。
「The One Infographic About Our Gun Laws That Will Stun You(きっと驚く、米国の銃規制法に関するインフォグラフィック)」と題された記事では、図を用いて、銃を買う場合に要求される手順(ワンステップのみ)と、女性が中絶手術を受ける場合に求められる手順(何ステップもある)を比較したコンテンツもある。
イラスト用のアイデアを発案するのは、デザインチームと編集チーム両方の業務だ。平均的な日には8〜10点のイラストが、記事やソーシャルメディア、ブランデッドコンテンツ用に仕上げられる。その多くは手書きのように見えるが、実際はアドビのイラストレーターで制作されている。
「ユーモアを実現する場所」
「バッスル」のデザイナー、キャロライン・ワーツェル氏によると、デザインとソーシャルのチームは週1回会議を開き、話題になっている事象のアイデアを5つ提案。そして、デザイナーやイラストレーターが記者と協力しながら、ビジュアル要素を制作する。
「バッスル」の初期、4人だったソーシャルメディアチームは、インスタグラムの人気アカウントが、しばしばインターネット・ミームのウィットに富んだ切り口を売りにしていることに気づいたという。「我々は、『バッスル』の『ユーモアを実現する場所』としてインスタグラムを活用することに決めた」と、ワーツェル氏は振り返る。
「『バッスル』のデザイナーと編集者はミレニアル世代の女性たちで、我々もオーディエンスである。『バッスル』のイラストが我々に響くなら、おそらくオーディエンスも楽しめるだろう」と、ソーシャルメディア担当副編集長のヘイリー・サルツマン氏は付け加えた。
イラストに描かれるテーマ
ソーシャルメディアチームはまた、インターネット上の話題がオーディエンスのエンゲージメントを高め、インタラクティブなフローチャート形式の記事がよく好まれることに気づいた。そうした記事にはイラストが入り、一連の質問への回答をクリックしていくことで読者はコンテンツを体験する。2015年にこのチャートを導入したバッスルは、いまではサイトに専用のタブも追加。これらのなかには、たとえば「A Timeline Of Donald Trump’s Most Criticized Moments Along The Campaign Trail(大統領選でドナルド・トランプ候補が最大級の非難を浴びた瞬間のタイムライン」などがある。
「アダルティング(大人の責任を自覚し行動すること)」もまた、ミレニアル世代に焦点を合わせる「バッスル」にとって注目の領域だ。アダルティングを、歯磨きの面倒くささを表現した最近のイラストは、3万件以上の「いいね!」を獲得している。また、極上のラテからはじまって、ラージサイズのコーヒー、スモールサイズの紅茶、そして給料日前にはお湯へと辿り着く様子を、イラストで示した投稿「Stages of my paycheck(私の給料に関する諸段階)」にも、バッスルが擁する76万3000人のフォロワーの多くが共感を示し、コメント欄には一面に絵文字がちりばめられた。
サルツマン氏は成功の基準をこう説明する。「コメント欄で友達をタグづけする人がいたり、大勢の人が『これは本当にそうだ、私にも当てはまる』とコメントしていたりすると、我々は成功とみなしている」。
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Bustleさん(@bustle)が投稿した写真 –
迅速な行動を可能にする
パブリッシャーにとって、ソーシャルメディア上でビジュアル的に目立つ存在になることは試練だ。それでも、イラストがそれを可能にしてくれると語るのは、デジタルエージェンシーのケトル(Kettle)でシニアストラテジストを務めるクリス・ギルバート氏だ。社内にデザインチームを抱えていることは、「バッスル」がクリエイティブを完全にコントロールできるということでもあると説明する。
「そのおかげで、『バッスル』はユニークで目立った存在になっている」。ギルバート氏はまた、写真撮影を手配することに比べて、イラスト制作ははるかに迅速で、費用も節約できると指摘する。「カルチャーの価値観とトレンドが猛スピードで移り変わる昨今、イラストが迅速な行動を可能にしてくれる」。
Jemma Brackebush (原文 / 訳:ガリレオ)