2017年1月16日、国立新美術館にて、「Business Insider Japan」のローンチ発表会見が行われた。同サイトは世界13カ国で展開されているグローバルメディアとして、テクノロジー、金融、マーケティング、政治、ビジネス戦略、そしてライフスタイル関係の記事を配信している。日本版は14カ国目となる。
2017年1月16日、国立新美術館にて、「Business Insider Japan」のローンチ発表会見が行われた。
アメリカが本国の「Business Insider」は世界13カ国で展開されているグローバルメディアとして、テクノロジー、金融、マーケティング、政治、ビジネス戦略、そしてライフスタイル関係の記事を配信している。日本版は14カ国目となる。
会見では、Business Insider Japanの発行人、小林弘人のローンチ発表からはじまり、Business Insiderのシニア・バイス・プレジデント、リチャード・ケネディ氏とインターナショナル・バイス・プレジデントのロディ・サラザー氏、そして、日本版の創刊編集長の谷古宇浩司が登壇。今後の計画について発表した。なお、Business Insider Japanの運営は、DIGIDAY[日本版]と同じく、株式会社メディアジーンにて行われる。
Advertisement
根幹は「デジタルな形での報道」
Business Insider社は2007年に発足。2009年にコアブランドのBusiness Insiderをローンチした。2015年には科学技術やテクノロジーの情報に特化した「Tech Insider」をローンチし、同年11月にはドイツのメディア企業、アクセル・シュプリンガーに3億4300万ドル(約410億円)で買収されている。さらに、翌2016年には旅行、飲食、ファッションなど、ライフスタイルに関わるメディア「Insider」と、株式や債券市場の最新情報をカバーするメディア「Markets Insider」をローンチし、バーティカルメディアでさらなる拡大を見せはじめた。

「Business Insider」のシニア・バイス・プレジデント、リチャード・ケネディ氏
シニア・バイスプレジデントのケネディ氏は、Business Insiderの根幹は「デジタルな形で報道すること」と説明。「デジタルメディアの特徴は、ポータブルであること、パーソナライズされた情報入手が可能であること、オンデマンド機能、ソーシャルのシェア機能があることで、そこが従来のレガシーメディアと大きく違う点。こうした新しいメディアの特性が生まれることで、新しいメディアの習慣が生まれ、ブランドも生まれている」と話した。
日本版ローンチの理由
アメリカ国内ではNo.1ビジネスメディアとなるBusiness Insiderは、1億300万人のユニークユーザーを獲得している。インターナショナル・バイス・プレジデントのサラザー氏は、「日本は世界第3位の経済規模をもっており、紙媒体に比較的依存してはいるが、ミレニアル世代をターゲットとして、長期的な成長を見込める市場だと確信した」と話した。

「Business Insider」のインターナショナル・バイス・プレジデント、ロディ・サラザー氏
さらに同氏は、株式会社メディアジーンを発行元パートナーとして選んだ理由として、「強力なマネジメント体制とBusiness Insiderというブランドへの深い理解がライセンシーとなる決め手となった」とコメントした。
各国版との連携で効率アップ
ケネディ氏は、「我々はデジタルメディアの特性を充分に理解しており、報道においてデジタルはもっとも情報発信に適した手段である。コンテンツの最適な配信プラットフォームを選定し、最適なコンテンツの配信方法をテキスト、インタビュー、インフォグラフィック、動画、スライドショーというフォーマットでの配信が強みだ。常に新しいデジタル機能の実験をしている」と語った。
グループ全体での全社員数380名のうち、50%がライターである同メディアは、各国版との迅速な連携体制を構築することに注力している。世界中で各国版がローカライズされるごとにユーザー規模も大きくなるが、速報性を重視し、ワールドニュースに関しては、各国ごとの編集部の視点を入れたワールドニュースの配信を大前提としている。

「Business Insider Japan」の谷古宇浩司 創刊編集長
日本版の編集長となる谷古宇は、「Business Insiderは、テクノロジー関連がもっとも読まれ、続いて金融、ビジネス戦略情報のカテゴリーが人気だ。Business Insider Japanでもテクノロジー関連情報を中心として、金融やライフスタイル、そして動画を多く配信していく」とコメントした。
運営体制とマネタイズ
グローバルメディアの強みは、各国版とのネットワークだ。配信記事の量産体制を維持しつつ、記事の質を担保できるよう、コンテンツ制作のためのコミュニケーションは、Slackを用いて行なう。現地で翻訳機能をもち、編集部で迅速に編集作業をできるようにしていると、編集長の谷古宇は話した。
また、マネタイズにおいて、広告収入は複数ある収入源(有料会員制、e-コマース、ライセンスビジネス)のひとつとしたうえで、ケネディ氏は、「アメリカでプログラマティックがまだまだ大きな収益の割合を占めているとはいえ、同メディアのサイト上のバナー広告はより少なくなっていくだろう」とコメント。「市場はスポンサード広告によりシフトしていき、読者にとって最良のリーディング体験と広告主にとってベストなソリューションを提供することを、長期的に実現していく」と語った。

運営体制とマネタイズについて語る谷古宇編集長
また、サラザー氏は、「広告主はビューワビリティーについて強い懸念をもっている。沢山のメディアは、クリックを多く促すことで記事を最後まで読ませようとしているが、我々は、スクロール形式の記事に広告を挿入することで、川を流れていくように、読者のリーディング体験を最良なものにしたいと常に考えている」と話した。
Written by 中島未知代
Photo courtesy of 中西亮介