Business Insider(ビジネスインサイダー)によると、13のインターナショナルライセンスパートナーから受け取る広告収入は2019年の最初の数カ月、前年同期比で40%増加したという。これらのライセンス提携による収益は、現在、アメリカを除いた市場のすべての広告収益の30%を占めている。
多くのデジタルメディアパブリッシャーが国際的な拡大戦略の縮小を余儀なくされている一方で、Business Insider(ビジネスインサイダー:BI)は全力で前進し続けている。
BIによると、13のインターナショナルライセンスパートナー(そのうち8つはヨーロッパ)から受け取る広告収入は2019年の最初の数カ月、前年同期比で40%増加したという。これらのライセンス提携による収益は、現在、アメリカを除いた市場のすべての広告収益の30%を占めている。
国際化の成長のカギ
常にそうだったわけではない。約1年前、BIはイギリスに限定せず、より幅広く、国際的なパッケージ販売を進めるためにイギリスの販売チームを再編成しはじめた。同時にBIは、ヨーロッパ全域のメディアライセンスパートナーとの連携方法を変えた。それにより、パートナーたちにとっては、同社のイギリスオフィスによる国際キャンペーンによる売上の取り分が増え、BIもまたパートナーによる収益が増える結果となった。
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BIは元の数値を明確にすることはないが、直接的な結果としていえるのは、2019年の最初の3カ月間にダイレクトパートナーシップ取引がローカル市場で2倍になったことだ。同社によると、プログラマティック収益も同期間に80%増加し、保証型、非保証型取引と収益が際立って増えたという。国外収益の大部分はプログラマティックによることは変わらないが、ダイレクト取引は来年にさらに増加すると期待されている。
ローカルメディアとのパートナーシップをどのようにして成功させるかを考え出すことが、成長のカギとなっている。「アメリカのパブリッシャーであるということが、ある意味で国際化に挑戦することを困難にしている。ローカルパブリッシャー支援に関しては、いわゆる文化的な縁故主義が存在している」と、イギリス版BIのインターナショナル・シニアバイスプレジデントでありマネージングディレクターのジュリアン・チャイルズ氏は述べる。
相互に有益な商業目標
しかし、地元企業がBIの国際チームによって販売される大規模なグローバル取引からの収益を享受できるという、相互に有益な商業目標を設定することにより、BIには参入が難しいが、イギリスほどプログラマティックの分野が進んでいないローカルマーケットへの参入に関しては、経済地盤を強化することができる。
「我々が国際取引を売り込む場合、ローカルパートナーたちはその地域での収益を共有し、その逆もまた同じだ。通常、これらの取引はダイレクトパートナーシップであり、複数の市場の言語で、または世界的には英語で、価値の高いオーディエンスを持つパートナーたちのために、ソーシャル全体で制作、エンゲージ、および配信する我々独自の機能を活用している」と、チャイルズ氏は説明した。
すべてのライセンスパートナーシップがうまくいくわけではない。最近、BIはボニアメディア(Bonnier Media)との提携を終了した。この北欧のパブリッシャーにとって戦略的に正しい提携ではなかったためだ。チャイルズ氏によると、BIは現在その編集自体を運営し、かつその市場での拡大に引き続き専念している。「要は、その市場に適したタイミング、適切なパートナーの組み合わせだ。双方にとって利益があり、その市場の読者や広告主に付加価値を提供するものでなければならない。現地の言語サイトを追加することで、オーディエンス数が5から10倍に成長することはよくある」という。BIは、新しい北欧のパートナーを探している。
地元メディアとパートナーシップを構築することは、オフィス運営に必要な諸経費に投資するよりもリスクが低いため、パブリッシャーたちに好まれる事業拡大方法だ。2019年の最初の数カ月はデジタルメディア企業にとって悲惨な状況が続き、結果、多くの企業が非中核的な国際的事業を縮小している。BuzzFeedはフランスから撤退し、マッシャブル(Mashable)はイギリス以外の市場から消え、ハフィントンポスト(Huffington Post)は今後数週間でドイツのブルダ・メディア(Burda Media)とのライセンス提携を正式に終了する予定だ。
イギリスに依存していない
アクセル・シュプリンガー(Axel Springer)が親会社であることで、ある程度保証が得られる。 ドイツでは、同社が所有するスタートアップ、フィナンツェン(Finanzen)とのBIのライセンスパートナーシップは、最近ベルリン本社にあるアクセル・シュプリンガーのコアチームに吸収された。アクセル・シュプリンガーのセールスハウス、メディア・インパクト(Media Impact)が販売を牽引する予定だ。
ドイツにおけるコムスコア(Comscore)に相当するAGOFによると、BIは2015年に最低限のスタッフ数でフィナンツェンとのライセンス提携を開始し、そのあいだにドイツのオーディエンスは月間ユーザー475万人規模に拡大した。既存のチームはそのまま残り、アクセル・シュプリンガーは同社の主要紙、ヴェルト(Welt)とビルト(Bild)から編集およびデジタル戦略のベテランを割り当て、そのブランドをさらに成長させる。
BIがイギリスだけに予算を依存していないことをその戦略は物語っているものの、ロンドンのオフィスは過去6カ月で25%増の60人に増えた。すぐに、社員数は70人になるとチャイルズ氏はつけ加えた。12人の商業スタッフのうち、6人は国外販売に専念している。
渇望されるプレミアムな場
プログラマティック・ギャランティード(保証型のプログラマティック)取引の増加は、BIに特有のものではないが、ブランドセーフな環境に対する需要の増加の結果として昨年から加速した、より幅広いトレンドだ。
「いろいろな意味で、BIの成長は驚くにあたらない」と、エッセンスEMEA(Essence EMEA)のシニアバイスプレジデントでありメディアアクティベーション担当責任者、ライアン・ストレア氏は述べた。「存在感の確保を望み、コンテクストがプレミアムなパブリッシャーとのプログラマティック・ギャランティード取引を優先させることが、業界全体で渇望されている。GDPR後の状況では、サードパーティデータの購入よりも認知度が高まっているため、パブリッシャー全体におけるこれらの上昇は、流通とブランドのセーフティとしてより認識されている実情によって推進されている」。