RFP (提案依頼書)は、もはや 時代遅れ の慣習か?:ブランデッドコンテンツ隆盛のなかで

パブリッシャーはディスプレイ広告を離れ、ブランデッドコンテンツ収入に依拠しつつある。だが、それに伴う、問題も数多い。売り込みプロセスが、広告フォーマットの需要の変化に合わせて進化できていないのも、そのひとつだ。

短期の、ごく普通のディスプレイ広告用のプロポーザルは、より深い関与を必要とする、長期の、個々にカスタマイズするキャンペーンには適さないというのが、パブリッシャー側の主な訴えだ。

RFPをめぐる食い違い

「要するに、『まだ誰もやっていない、ものすごくビッグなアイデアが欲しい。そいつがどう機能するのか見てみたい。じゃあ、明日の正午までによろしく』という感じでね」と、大手パブリッシャー、バッスル・デジタル・グループ(Bustle Digital Group)のCRO、ジェイソン・ワーゲンハイム氏はため息をつく。

「プロセスは同じで、構造も同じ。我々のターゲットはこれ、求めているのはこれ、と指示される。で、納期も同じ――たいていは3、4日だ」と、ポップシュガーのCRO、ジェフ・シラー氏も言う。

こうした食い違いは、エージェンシーがまだ売り込みの段階で、獲得はしていない仕事のRFP(提案依頼書)を出す際にも、表面化する。エージェンシーの仕事獲得に手を貸したパブリッシャーには大きな利点があるが、成功の可能性は低いというリスクもある。

「クライアントの名前がないRFPをもらうことは、よくある。で、こっちはそれに応じるが、結局断られる。つまり、RFPを出したエージェンシーが新規の仕事を取れなかったんだよ」と、シラー氏は述べた。

さらに厄介となる問題

または、キャンペーン自体が発生しない場合もある。

「我々はRFPを出したが、フタを開けてみたら、そのキャンペーンはすべてプログラマティックかアウトドアか動画行きだった、ということもあった」と、ワーゲンハイム氏語る。「あるクライアントなど、我々は8回もRFPを出したのに、8回ともそのキャンペーンは発生しなかった。言ってみれば、[いつ出てくるかわからないものをひたすら待ち続ける]“グラウンドホッグデー”と変わらない。だから今後はもう、プランのどこに我々が収まるのか、然るべき話し合いを持つまで、RFPを出すつもりはないね」。

どれもこれもよく耳にする苦情ではある。だが、これがブランデットコンテンツキャンペーンという、もともと労働集約型の、利幅の極めて少ないキャンペーンでの話となると、問題は厄介だ。

盗用・短納期という悪夢

複数のパブリッシャーによれば、エージェンシーがアイデアを盗むための策略としか思えないRFPを出すことは、たまにあるという。しかし、これがブランデッドコンテンツキャンペーンで行なわれると、他のキャンペーンよりもはるかに複雑であるため、パブリッシャー側のリスクもより大きくなる。ブランデットコンテンツのアドテク企業、ポーラー(Polar)のCEO、クナル・グプタ氏によれば、複数のパブリッシャーのクライアントから聞いたところ、彼らはまったく同じRFPを受け取り、どこも仕事を勝ち取れなかったのだが、しばらくして、キャッチコピーに至るまで彼らのアイデアを使用したキャンペーンがソーシャルメディア上で展開されていたことがあったという。

「それ自体は目新しいことじゃない。実際、ディスプレイ広告のときは、広告主がディストリビューション戦略を手に入れるための有用な手段だった」と、グプタ氏は続ける。「しかし、いま盗まれているのは、クリエイティブなアイデアそのものだ。本当に恐ろしいよ、彼らには本物のRFPと偽物のRFPの見分け方がわからないわけだから」。

短納期RFPがまかり通る現況は、エージェンシーも歓迎していない。ごく短期間でキャンペーン提案を求めるクライアントも少なくなく、彼らに常に振り回されている気がするという。

「説明の段階で、クリエイティブコンテンツの方向性を十分なレベルにまで、引き上げることが重要なのに、とにかく早くRFPを出せと言われることは、多々ある」と、メディアプランニング/マーケティング企業DWAのボストンオフィスGMジェレミー・テイト氏は言う。「言うまでもなく、ひとつのパブリッシャーと時間をかけて仕事をすればするほど、いいものができるのだが」。

RFPが不要となるとき

メディア/マーケティング企業、ホライゾン・メディア(Horizon Media)の共同チーフインベストメントオフィサー、サラ・ベアー氏によれば、エージェンシーにはある程度ブリーフィングプロセスを分解させており、それでプロセス全体の質を上げられるという。

「まだ誰もやっていないアイデアを24時間で出せと言って最高のものを手にできるとは、誰も思っていない」と、ベアー氏は語る。「けれど実際問題、予算は変わるし、最後の最後で方向性を変えられたり、承認がなかなか下りなかったりということも起きる。さらに、その影響はドミノ倒し的に、もっとも時間に追われているパブリッシャーに及ぶ。総じて、ターンアラウンドタイムを短くせざるをえない状況には、皆が悪戦苦闘させられている」。

こうしたRFPの要求に、パブリッシャーはいくつかの方法で対応している。この種のキャンペーンに関する長い実績があるところは、過去に成功したフォーマットに頼ることができる。また、返答する前に、プロジェクトの領域とそこに自社がフィットする可能性の判別をより積極的に行なってもいる(クライアントが仕事相手のパブリッシャー数を減らし、支出を抑えているため、いずれにせよRFPの数が減っているところもある)。

「現行のRFPはなくす必要がある」 と、ワーゲンハイム氏は言う。「本来は、パブリッシャーとクライアントが、ともに創り上げるものでなければならないからだ。取引用のRFPは、今後も存在し続けるだろうが、いまとは別のレベルに行きたいと思うときこそ、RFPが不要となるときだ」。

Lucia Moses(原文 / 訳:SI Japan)