ソーシャルメディア経由での情報消費が拡大するなか、流入したオーディエンス(閲覧者)をいかに収益へ結びつけるかが、Webメディアの課題となっている。ソーシャル流入ユーザーは離脱率が高く、ロイヤルティが低いといわれているからだ。
そんななか、世界有数の大富豪マイケル・ブルームバーグ氏が率いる、金融情報サービス企業ブルームバーグ・メディア・グループは、ソーシャル流入ユーザーの行動を追って、適切な広告を提示するアドテクノロジー「Social Connect 2.0」を開発した。
ソーシャルメディア経由での情報消費が拡大するなか、流入したオーディエンス(閲覧者)をいかに収益へ結びつけるかが、Webメディアの課題となっている。ソーシャル流入ユーザーは離脱率が高く、ロイヤリティが低いと思われているからだ。
そんななか、世界有数の大富豪マイケル・ブルームバーグ氏が率いる、金融情報サービス企業ブルームバーグ・メディア・グループは、ソーシャル流入ユーザーの行動を追って、適切な広告を提示するアドテクノロジー「Social Connect 2.0」を運営している。
ソーシャル流入は拡大の一途
ブルームバーグ・メディア・グループによると、この1年間に「Bllomberg.com」のソーシャルネットワークに訪れる読者は90%ほど増加している。ブルームバーグが運用する@business、@luxury、@markets、@technologyなどのTwitterのアカウントが、その大きな流入源だ。解析ツール「SimilarWeb」によると、「Bllomberg.com」のPCサイトにおけるトラフィックの17.1%は、Facebookやreddit、Twitterなどを筆頭とするソーシャルメディア(モバイルの方が比率は高いとみられる)からの来訪だという。そんななかブルームバーグが運用している「Social Connect 2.0」は、各ソーシャルメディアから訪れる読者に対して、最適化された広告を表示できる最新のアドテクノロジーだ。
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「どんなマーケターも、ソーシャル流入の閲覧者がより多いことを好む」と、ブルームバーグの最高収益・顧客責任者ポール・ケイン氏は語る。「『Social Connect 2.0』は、それぞれのプラットフォームが異なる目的を持った独特なオーディエンスを抱えていることを知っている。『Social Connect 2.0』の役割は、ソーシャル流入ユーザーに対し、よりなめらかにストーリーを伝えることだ」。
「Bllomberg.com」へのソーシャル流入の著しい増加は、ニュース消費の変化を反映している。世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」によると、より多くの人がFacebookとTwitterを通じてニュースを得ている。10人に1人がTwitterで、10人に4人はFacebookでニュースを入手しているのだ。
パブリッシャーは新しいオーディエンスを獲得したければ、この傾向は無視できない。18〜34歳のFacebook ユーザーの半分は、ソーシャルネットワークを重要なニュース獲得源だと考えている。35歳以上のFacebookユーザーの34%よりも傾向が顕著だ。
ソーシャル流入者への誤解
広告主にとって、ソーシャル流入者へのターゲティングは興味深い。「Social Connect 2.0」の利用をクライアントに勧めている、広告代理店MECのマネージングパートナーであるブライアン・コー氏は、パブリッシャーのソーシャルオーディエンスはロイヤリティが高いことを、それらのツールが証明していると、説明する。そのオーディエンスが記事を読むために来訪すれば、記事をさらにシェアする可能性が高まり、最適化された広告もまた、多く表示されることになるのだ。
ソーシャルから来訪した人は、サイトへの滞在時間も短く、ほとんど回遊しないという見方は、以前のピュー・リサーチ・センターの調査結果によるものだ。そして、その古めかしい視点では、オーディエンスが本当にエンゲージした証拠を求める広告主にとって、ソーシャル流入者は価値のない人々とされている。その一方、デモグラフィックによるターゲティングを求めている広告主は、すでにプログラマティックチャンネルを利用しているのだ。
買い手としては、通常パブリッシャーが提供してくれない、クロス集計できるくらいの強力なデータが欲しいという(ブルームバーグのケイン氏は、広告主が求めるデータは提供しているというが、データの詳細には触れてはいない)。その反面、1回のクリックが広告に影響を与えるわけもなく、ひとりの読者がどこから来て、何をしたかという詳細データを、通常のパブリッシャーは共有してくれないのだ。
閲覧者の行動可視化を要望
「もっとデータがほしい。どこからオーディエンスが来て、どこのサイトに行き、何を優先して読んだのか。直帰率(流入したユーザーが一度もページをめくらず離脱した割合)も重要だ」と、前出のMECのコー氏は言う。「否定的な面は、われわれがその情報を入手していないということだ」。
広告代理店ディジタスLBiのソーシャル戦略担当バイスプレジデントであるジル・シェルマン氏はこう語る。「概して言えば、ソーシャルからの訪問者がコンテンツを頻繁にシェアする人物であったり、ブランドのファンであったりというような属性を示すデータを、もしパブリッシャーが持っていたりすれば、広告主にとって『Social Connect 2.0』のような商品は、さらに価値が出てくる」。さらに彼女は続ける。「単純にFacebookから流入したユーザーを知るだけでは、ブランドにとって価値ある人間だとか、ブランドに強くエンゲージしているだとかの証明にならない」。
「パブリッシャーが、ユーザーのソーシャルグラフから分かる行動や関心についてのデータを階層付けられれば、広告主にとって価値のある情報となるだろう」と、シェルマン氏。「それが道義的に、ユーザーのプライバシーを守ったものであれば、広告主へ簡単に売れるようになるはずだ」。
Lucia Moses(原文 / 訳:小嶋太一郎)
Photo by Thinkstock / Getty Images