ブランデッドコンテンツにますます予算が投下されるなか、マーケターたちはそれにどれくらいの効果があるのか証明できるデータを求めている。ブルームバーグメディアスタジオ(Bloomberg Media Studios)は、外部リサーチエージェンシーとパートナーシップを組む形でこれに取り組んでいる。
ブランデッドコンテンツにますます予算が投下されていくなか、マーケターたちはブランデッドコンテンツに果たしてどれくらいの効果があるのか、証明できるデータを求めている。
ブルームバーグメディアスタジオ(Bloomberg Media Studios)は、外部リサーチエージェンシーのDVJインサイツ(DVJ Insights)とパートナーシップを組む形でこれに取り組んでいる。ブランドアソシエーション(ブランドから連想される物事)、ブランド認知、そして購買意欲といった、ブランド構築キャンペーンにつながる指標をクライアントに提供しようとしているのだ。ディスプレイキャンペーンでは通常、クリックスルー率、滞留時間やページビュー数などが広告の指標として提供されるが、それに追加される形だ。
テストは開始されたばかり
「コンテンツマーケティングは非常にパワフルで効果的に見えるものの、投資対効果を計るのが極めて困難であると知られている。新しい方向性を模索するこの課題に取り組んでいるのは我が社だけではない。業界全体が、キャンペーンの成功をうまく伝えることができ、ますます増加する費用を正当化できる、より良い指標を必要としている。まだ比較的に初期段階にあるセクターにとっては自然な動きだ」と語ったのは、ブルームバーグメディアスタジオのヨーロッパ、中東、アフリカのコマーシャルエディターであるアリフ・デュラーニ氏だ。
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この新しい試みはヨーロッパで試されているところだ。去年6月にはリサーチ責任者としてフィル・ロビンソン氏が雇われた。この新しいアナリティクスが提供されたクライアントはいまのところ、去年6カ月のキャンペーンを行ったBMWグループのみ。キャンペーン終了後、2月に約1000人がサンプルとして調査され、購買意欲、ブランド認知、そしてブランドアソシエーションという点でコンテンツのパフォーマンスがどうであったかを調べた。
ブルームバーグメディアスタジオはほかのメジャーなコンテンツパートナーにも、この種の分析データを提供する予定だ。来年は少なくとも同様の分析を4つのキャンペーンに対して行うとし、そのなかにはクレジットスイス(Credit Suisse)も含まれている。英国政府 国際貿易省の「英国を信じる(Believe In The U.K.)」キャンペーンも今週ローンチするという。ブルームバーグメディアとパートナーシップを結んだこのキャンペーンは、20のマーケットで展開され、保険、食品、ヘルスケアといった業界のリーダーたちを取り上げる。彼らはこのデジタル時代においてグローバルビジネスとして成功するうえでの困難にどう取り組み、そのためにどう彼らのビジネスを再構築してきたかについて語る。
誰かがやらなきゃいけない
ブルームバーグの収益の大部分は、サブスクリプション制の経済データ提供サービス「ブルームバーグターミナル(Bloomberg Terminal)」からもたらされる。メディアビジネスの収益はそう大きくない。そのためこういう種類のベンチャーに予算を回す経済的余裕がある。
「メディアを有する企業が、この(データ分析の)費用を負担する責任を持つべきか? それは私には分からない。けれども誰かが辛い役目に名乗り出ないと、先に進めない」と、デュラーニ氏は言う。この追加リサーチがサービスの一部としてどう取り組まれ、ブルームバーグのブランデッドコンテンツキャンペーンの値段に影響を与えるのかは、まだ先に進まないと分からないと、デュラーニ氏は説明した。ブルームバーグのブランデッドコンテンツキャンペーンは、すべてオーダーメイドのマルチメディア型で、値段は高額になる。
ブランデッドコンテンツの効果を測定することはパブリッシャーたちにとっては困難な課題であった。Viceもまた、外部リサーチグループとパートナーシップを組み、キャンペーンの効果を計るツールを増やそうとしている。
ブルームバーグの長所
エディトリアルコンテンツはページビュー数や滞留時間で測定される。ブランデッドコンテンツキャンペーンはときに、こういった指標を利用し、それをエディトリアルのコンテンツのものと比べることで、キャンペーンの成果を測定されている。しかし、パブリッシャーのなかには自分のプラットフォーム上ではキャンペーンが必要とするスケールに達せないため、ソーシャル上のトラフィックやアウトブレイン(Outbrain)やタブーラ(Taboola)といったコンテンツマーケターを通してトラフィックを購入することがある。そういった場合、ページビュー数のような指標は正確性を欠くことになる。
「私たちはボリュームの大きいトラフィックを約束する必要がないので、ソーシャル上でのペイドサービスを利用し、ボリュームを増大させる場合は、その方法について極めて細かく、高度にターゲット化させている」と、デュラーニ氏は言う。
ブルームバーグのコンテンツマーケティングからの収入は去年、少なくとも2桁の成長を見せた。しかし、詳細は公表していない。ブルームバーグがブランドとコンテンツパートナーシップを結ぶ場合は、2年から3年の実施期間となることが多い。これがより短いブランデッドコンテンツキャンペーンであれば、ブランド認知の変化といった抽象的な目標よりも、クリック数やダウンロード数といったダイレクトな反応に対する目標設定が多く求められるだろう。
「我々のコンテンツパートナーシップはブランド認知を変えたり、特定の消費者層がブランドをどう考えているかを変えることが目標となることが多い。そのためポジティブな変化を示すことは比較的簡単だ」と、デュラーニ氏は語った。
Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)