ブルームバーグ の製品開発は「実験と学習」のアプローチ :「ワークワイズ」という試作品

ブルームバーグ・メディア(Bloomberg Media)の最高プロダクト責任者にジュリア・バイザー氏が就任して1年が経ったころ、同社のエンジニアのデイビッド・ハーディング氏に同社ウェブサイトの企業情報ページについて話をしたことがある。

バイザー氏とハーディング氏は、各企業の創設時期や役員情報といったページを閲覧しているオーディエンスがブルームバーグの一般的な読者層よりも若いことに気がついた。33歳以下の年齢層が、こうしたページのトラフィックの48%を占めていたのだ。

2人は若いオーディエンスがこうした企業で職探しをしているのではないかと予測した。この仮定にもとづいていくつかの試験を行い、やがて新商品を開発するに至った。それが7月16日にローンチされた「ワークワイズ(Work Wise)」だ。

ワークワイズの目的は実験

ブルームバーグはこのワークワイズを実験的に6カ月運用する予定だ。その目的は職場とキャリアアドバイス関連のコンテンツの需要を探ることで、特にブルームバーグの若い読者層をターゲットとしている。ワークワイズの収益化は、コンテンツのスポンサーやブランドコンテンツ配信、サブスクなどいくつもの方法が考えられる。ワークワイズのニュースレターに登録すると、同社のサブスク商品を30日間試すことができる。

だが、ワークワイズの目的は、キャリア支援コンテンツにオーディエンスからの需要があり、ビジネスチャンスとなりうるかを見定めることにある。ブルームバーグはこれまで収益源を多様化させ、各商品にさまざまな形の収益化を盛り込む取り組みを行ってきた。ワークワイズはまさにそれを体現しているともいえるだろう。

「(CEOの)ジャスティン・スミス氏が掲げているブルームバーグ・メディア全体における戦略と同様で、新しいビジネスを開拓している」と、バイザー氏は語る。「まずオーディエンスを注視し、それに従ってビジネスを生み出しているのだ」。

7人の研究開発グループ

ワークワイズは双方向型の限定版ニュースレターで、クイズで読者も参加できるようになっている。発刊しているのは同社のBハイブ(B-Hive)というグループだ。Bハイブはもともと新規オーディエンスの行動様式や動機を研究するために立ち上げられた7人体制の研究開発グループだ。ブルームバーグは新規オーディエンスに関するさまざまな種類の分析を行っており、たとえばブルームバーグのモバイルアプリで新しい記事をまとめるロボットのような新商品のローンチにも役立てている。Bハイブは既存商品の改善にも寄与している。読者がモバイルデバイスやソーシャルプラットフォームからアクセスするときに表示されるモバイルページの形式も同グループによって改善された。

ブルームバーグは、ニュースの読者や需要について、さまざまなタイプに分類している。同社はこの分類にもとづき、商品の変更や新商品開発をより迅速に行うためBハイブのチームに2名の開発者を追加した。

ブルームバーグは自社サイトの訪問者に新機能を通知する自社ツールを活用し、頻繁に訪れる若い訪問者むけにワークワイズを宣伝する予定だ。このメッセージはバナーのような形で伝えられるが、広告インベントリーを使うことはない。

データを入手するため

ブルムバーグはオリジナルとしているが、ワークワイズのニュースレターが掲載するコンテンツは同社が他商品ですでにリリースしたコンテンツの再利用が大半だ。たとえばブルームバーグ・ビジネスウィーク(Bloomberg Businessweek)で掲載し、成功したビジネスリーダーのプロフィールやポッドキャスト、動画コンテンツなどがこれにあたる。

「リスクがある分野では、コストを柔軟に調整できるようにしたい」と語るのが、ミズーリ大学のジャーナリズムスクールでデジタル編集と制作に関するナイト・チェア(Knight Chair)の称号を冠するデイモン・キーソウ氏だ。マクラッチー(McClatchy)で商品担当ディレクターも務めたことがある同氏は「もし私がミレニアル担当デスクで5人を採用するなら、雇用と教育、そしてミレニアル世代の需要とコンテンツ戦略の分析に数カ月はかけるだろう」と語る。

「ワークワイズは基本的に試作品なのだ」と、キーソウ氏は続ける。「どのようなオーディエンスが登録し、指標はどうなるのか? どのコンテンツを読み、どれをシェアするのか? そういったデータを入手するための試作品だ」。

若年層にとって最適な商品

ビジネスとニュース業界のパブリッシャーは、若い読者の心をつかむのに苦心してきた。特にビジネス分野のサブスク商品は数万円の価格設定が普通で、若い層にとってそこまでの金額は出しづらい。たとえばウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は最近、ミズーリ大学の学生たちと協力して若い世代にとっての目標設定を把握し、どのようにすれば彼らにとって最適な商品を提供できるかを分析している。

だが、ブルームバーグがこうした商品で本当に成功するには、広告だけでなく複数の方法でオーディエンスから収益をあげる必要がある、というのがキーソウ氏の考えだ。「ブルームバーグは次のように考えているはずだ。『十分なオーディエンスがいるだろうか? 料金を払う気はあるのだろうか? サブブランドとして独立した商品にできるほどの十分なオーディエンスと収益があげられるのか、それとも多少の増加につながるだけなのだろうか?』と」。

Max Willens(原文 / 訳:SI Japan)