9月最終週、フロリダ州キービスケインで米DIGIDAY主催のイベントが開かれた。そこで、ブルームバーグ・メディア(Bloomberg Meida)のCEO、ジャスティン・スミス氏は、メディアビジネスはかつて想像されていたよりも小規模なものになる可能性があり、その現実に直面しなくてはいけないと語った。
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デジタルメディア業界には多くの不安が広まっているが、なかには希望の光も存在している。それは、消費者収益プロダクトやテックプラットフォームから受け取るライセンス手数料などまで多様だ。
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9月最終週、フロリダ州キービスケインで米DIGIDAY主催のパブリッシング・サミット(Digiday Publishing Summit)が開催された。そこでブルームバーグ・メディア(Bloomberg Meida)のCEOであるジャスティン・スミス氏は、それでもメディアビジネスはかつて想像されていたよりも小規模なものになる可能性があり、その現実にパブリッシャーたちは直面しなくてはいけないと語った。「業界は死のうとしているわけではない、絶滅しそうになっているわけでもない。実際のところ、業界はスリムダウンのプロセスを経ているというのが現実だ」。
以下、スミス氏のスピーチからハイライトを若干編集してまとめた。
ダークホースとしてのLinkedIn
「デュオポリー(複占)状態がいまの現実だ。この現実はとても強固で、しかもAmazon、マイクロソフト(Microsoft)、LinkedIn(リンクトイン)が蜜を吸う、ただのデュオポリー以上のものになりつつある。ビジネスメディア分野に従事する我々にとっては、LinkedInが20億ドル(約2140億円)のディスプレイ広告業務を持っていることは、ちょっとした知られた事実だ。ほかのどの競合他社よりも早く、2桁のスピードで成長している。つまりLinkedInは実際に、この惑星に存在するB2Bグローバルメディア企業としては最大となっている。ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)でも、ブルームバーグ(Bloomberg)でも、ほかのどこでもなく、LinkedInなのだ」。
Facebookのエンゲージメントが低下していることは、パブリッシャーたちに対してFacebookが、より親切に(より報酬を支払うように)なることを意味している
「デイリー・アクティブ・ユーザーは20億人以上存在しているが、過去18カ月のあいだにFacebookのプラットフォームとしてのエンゲージメントは、ほぼ10%も減少した。質の高いコンテンツ、エンゲージメントへのニーズが高くなることで、質の高いコンテンツを持つパブリッシャーたちに対してFacebookは、これまでとは違ったレベルで、より丁寧かつ親切な対応をせざるを得なくなるだろう。その兆しはすでに見えている。この場に参加している人が、Facebookの新しいサーフェス・ニュース(Surface News)プロダクトに関する交渉を、彼らと行っているかは分からないが、サーフェス・ニュースではFacebookがはじめて、ハイクオリティなパブリッシャーたちから直接コンテンツをライセンスし、複数年に渡って大きな金額を支払うことになる。これは、ショーをライセンスしたFacebook Watch(ウォッチ)の契約と同じではない。つまり、パブリッシャーたちにとって新しい関係性とより良い経済条件ーーこれらを我々は探し求めることができると思う」。
動画広告主たちは、OTTが大きく成長を見せていることに反応するだろう
「現在、テレビ視聴の30%がOTTとなっている。しかし実際のTV向け支出の3%のみしか、OTTには投入されていない。テレビ広告、もしくは動画広告の支出がOTTに向かいシフトするのを目撃するだろう」。
良い人材は大学ではじまる
「理由がなぜかは置いておいて、メディア業界、パブリッシャー業界は人材が真っ先に集まるような『トップリスト』の業界ではない。主因は経済の論理だ。なぜなら、大学やビジネススクールを卒業する多くの人々は、ウォール・ストリートやコンサルティングといった業界に向かう。しかし、もしもこの人材のギャップを解決することができたらーーというのも、この業界は非常にエキサイティングで、ほかとは違っているからだ。我々のプロダクトはジャーナリズムであり、アイデアであり、コンテンツだ。素晴らしい人材を業界にひきこみ、そのような人材カルチャーとパフォーマンスを開発することができれば、真の競争優位を持つことができる。多くの競合他社はそれができていない」。
Pierre Bienaimé(原文 / 訳:塚本 紺)