「在宅勤務によって、サブスク収益が大幅に増えている」: ブルームバーグメディアグループCEOのジャスティン・スミス氏

ブルームバーグメディア(Bloomberg Media)で総収益に占めるサブスクリプションの割合が増加している。

同グループCEOのジャスティン・スミス氏は、米DIGIDAYが主催したパブリッシングサミット(PUBLISHING SUMMIT)でサブスクリプション収益が「極めて大きな成長を見せている」と語った。同氏は第1、第2四半期を通じて成長が安定軌道に乗ったことがはっきりしたと考えており、次のように語った。「解約率は以前から安定した水準で推移している。もはやこれは一時的な成長ではない」。

同氏は、広告収益が減少するなかで、サブスクがブルームバーグの収益の大きな部分を占めるようになると考えている。ブルームバーグがサブスクリプション事業を手掛けはじめたのは、2018年5月のことだ。スミス氏は、それまで同社が長年取り組んできたブランド構築がサブスクリプション事業の初期段階の成長に大きく貢献したと考えている。

「我々には世界最大規模のメディアに成長するまでの25〜30年の歴史があり、それがペイウォールの導入にふさわしい素晴らしいコンテンツ作成に寄与した」と、同氏は語る。さらに、将来的にはライブイベントの収益も増えるだろうという。大規模集会を再び開けるようになれば、イベント事業は「非常に力強い復活を見せる」と確信しているそうだ。

「イベントについては『失われた1年』とも言えるだろう。だが、その後にさらに多くの市場シェアを獲得する大きなチャンスがある。イベントプログラムを以前よりはるかに積極的に展開するとともに、ライブイベントに似た体験を提供できるバーチャルイベントも大きなビジネスチャンスにつながる」。

以下に、同氏へのインタビューの一部をお伝えする。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。

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健康は富に勝る

「広告支出にもダイレクトに結びつく経済状況は、市民の健康状態の影響を強く受けると考えている。市民の健康をコントロールできていなかったり悪化したりしている状態では、経済的な指標も落ち込み、それを追うように広告支出も減少する。欧米ですぐにもV字回復が起きるとは思えない。だが、アジアと欧州では、タイミングや公衆衛生の管理の観点から、米国より見通は良いだろう」。

Facebookなどが(またしても)勝つ

「広告とライブイベントが異なる点は、ここ2年ほど広告はすでに大きな向かい風にさらされていたという点だ。それは特にオンライン広告で顕著だろう。このオンライン広告にとってのマイナスのトレンドは、今回のパンデミックによってさらに加速すると考えている。プラットフォームは今年こそ比較的難しい状況にあるが、このパンデミックを通じてさらに力をつけ、市場シェアを拡大するだろう。CMOが投資できる資金額が少ない状況下で、プラットフォームの規模やパフォーマンス指標、効率がいかに魅力的であるかが、あらためて浮き彫りとなっている。残念ながら、パブリッシャー業界ではまだ代替となる競争力のある広告モデルが登場していない」。

悪い状況のなかでもサブスクは好調

「在宅勤務といったライフスタイルの変化によって一部の収益源は好調になっている。そこに活路を見出すべきだ。当グループではサブスクリプション収益が大幅に増えている。ニュースの閲覧数が増加し、第1、第2四半期のサブスクリプション収益も大幅に増えている」。

広告収益がなくなるわけではない

「広告事業から撤退すべきという声はたくさん耳にする。だが当グループは、広告事業は今後も発展しうる分野だと考えている。広告事業をポストプラットフォームの業務に変革するといった取り組みが必要だ。正直なところ、広告市場に革新的な新ソリューションをたくさん投入した企業は業界を見渡しても存在しないように思える。特に、ニッチな層をターゲティングして広告配信するにあたって、自社データとマーケティングサービスはもっと効果的に統合できると思う。そこにポストプラットフォームで有効となる広告事業のチャンスがあるのではないだろうか」。

パブリッシャーは大手テック系ほどの速度でイノベーションを遂行できていない

「プラットフォームは、パブリッシャーよりも広告、データ、技術、エンジニアリング分野の人材が豊富だ。マーケティング上の課題解決に向けて両者が取り組む様子は、まるでダビデとゴリアテの戦いのようですらある。そしてプラットフォームが改善し、競争力が強くなるほど市場シェアは奪われ、投資するリソースもさらに少なくなってしまう。問題となっているのは人材とリソースの面が大きい。これは容易には解決できない問題だ」。

PIERRE BIENAIMÉ(原文 / 訳:SI Japan)