米新興メディア「アクシオス(AXIOS)」は、開設から2カ月も経たないのに、5番目の分野に進出しようとしている。ローンチ時より同サイトのメインカテゴリーは、テクノロジー、ポリティクス(政治)、ビジネス、ヘルスケアの4つ。そこへ3月より、エネルギー分野が加えられる。すでに老舗メディアの専門記者も引き抜き済みだ。
米新興メディア「アクシオス(AXIOS)」は、開設から2カ月も経たないのに、5番目の分野に進出しようとしている。
米政治メディア「ポリティコ(Politico)」の共同創業者として知られるジム・バンデヘイ氏が1月に立ち上げた、話題の新興メディア「アクシオス」。同氏がぶちあげた、年間100万円の購読料を徴収するプランや、短文を中心とした記事構成で、FacebookライクなUIを採用したメディアポリシーが注目を浴びている。
ローンチ時より同サイトのメインカテゴリーは、テクノロジー、ポリティクス(政治)、ビジネス、ヘルスケアの4つ。そこへ3月より、エネルギー分野が加えられる。それに先立ち、ナショナルジャーナル(National Journal)のベン・ジェマン氏と、ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal:WSJ)のエイミー・ハーダー氏の2人の記者が引き抜かれた。ハーダー氏の辞職は、2月27日朝にWSJの社内メモで発表。ジェマン氏は、2月第4週の中頃から「アクシオス」で働きはじめているという。
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「エネルギー分野は今後、注目を集めるとわかっている。ビジネスと政治、技術の衝突があり、エネルギーは直接影響を受けてきた」と、「アクシオス」の編集者ニック・ジョンストン氏は言う。「私には、エネルギー分野を扱う記者が有りあまるほどいる」。
記者の腕が鳴る職場
ハーダー氏はWSJで3年間、その前にナショナルジャーナルで6年間、エネルギー政策を担当してきた。扱ったテーマは、エネルギーや環境保護を担当する部局、炭素税のほか、ハイドロフラクチャリング(フラッキング、水圧破砕法)のような激論を巻き起こすトピックなど幅広い。ニュースを伝えるのが同氏の仕事だが、今後は、短期間で得た知見を伝えたり、スクープを集めたりすることにもっと力を注ぐ。
「スクープや分析だけを担当すると思うと、胸が躍る」とハーダー氏は言う。だが、その一方で、エネルギー政策というわかりにくい分野に深く関わった経験のない人々にとっても、理解しやすい報道ができると思うと強調した。「長いあいだスクープを担当してきた記者たちは、手が回らなくなっても気付いていない場合が多いと思う」。
エネルギー関係のニュースレターは、新しく「アクシオス」に加わったイアン・フライド氏が指揮するテクノロジー関係のニュースレターとともに、3月に配信開始。ハーダー氏は、「アクシオス」がエネルギーに焦点を当てたイベント事業を立ち上げる手助けもする予定だ。イベント事業は同サイトが他分野でも追求している戦略となっている。
広告戦略は透明性がカギ
観測筋は、「アクシオス」のエネルギー分野参入を予想していた。共同創業者のジム・バンデヘイ氏が、ファッションカルチャー誌「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair:VF.com)」と提携して行った、いわばお披露目を皮切りに、開設前の数カ月間、「扱いたい」とたびたび言及していたトピックに含まれていたからだ。
広告パートナーもおそらく、予想していただろう。英石油会社BPは、「アクシオス」開設時のスポンサーで、広告パートナーとして「アクシオス」が追い求めている一流企業のひとつだ。「アクシオス」のプレジデントであるロイ・シュウォーツ氏によると、エネルギー会社は今後、「アクシオス」が報道をマネタイズするカギになるという。
大事なのは透明性だ。「BPが広告を1週間掲載する。米大手石油会社シェブロン(Chevron)が、翌週に広告を掲載し、ソーラーパネルメーカーがそのまた翌週に広告を掲載してもいい。ラベリングは明確でなければならない」と、シュウォーツ氏は語る。
MAX WILLENS(原文 / 訳:ガリレオ)