2017年1月にローンチされたばかりのニュースメディア、AXIOS(アクシオス)は、ローンチの数カ月前の時点でハイエンドなサブスクリプションプロダクトについて語っていたが、プロダクトのリリースには時間をかけるつもりのようだ。サブスクリプション無しの現状のビジネスで成長を見せている。
2017年1月にローンチされたばかりのニュースメディア、AXIOS(アクシオス)は、ローンチの数カ月前の時点でハイエンドなサブスクリプションプロダクトについて語っていたが、プロダクトのリリースには時間をかけるつもりのようだ。サブスクリプション無しの現状のビジネスで成長を見せている。
AXIOSは2018年、年間収益が2000万ドル(約22億円)以上に達すると予測されている。年比較で2倍となるこの成長をCEOのジム・バンデヘイ氏は「(バスケットで)中距離シュートを決めた」と形容する。また2019年にも収益をさらに2倍にする「明確な道筋」が見えているという。2019年にはサブスクリプションプロダクトを少なくともひとつはリリースするかもしれない。もしかしたらふたつのプロダクトになる可能性もあるという。
2016年11月には、AXIOSのサブスクリプションプロダクトは年間1万ドル(約110万円)以上するだろうという発言をしている。この計画はまだ有効だ。しかし、今年中にベータ版テスト段階を終える可能性は低いと、彼は言う。
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このハイエンドなサブスクリプションプロダクトが公式にローンチされるまでには、別のサブスクリプションプロダクトも存在しているかもしれない。「開発中の新しいものもある。が、まだそれについては、競争があるので語らない」とのことだ。
オーディエンス開拓と動画
ハイエンドなサブスクリプションが来年リリースされるされないに関わらず、2019年に収益をさらに2倍にできるかどうかは、広告ビジネスと彼らにとって広告主に対する商品であるオーディエンスが、どれくらい成長するかにかかってくるだろう。2018年9月のコムスコア(comScore)のデータでは、830万人の米国の成人がAXIOSを訪問した。これは年比較で30%の増加だ。
また、AXIOSはHBO上でも番組を11月4日にプレミア放送した。これによって、より幅広いオーディエンスにAXIOSのことを知ってもらうことが狙いだ。AXIOSは文字に偏ったメディアであることからも、現存するオーディエンスは「必ずしもミレニアル世代のオーディエンスとは限らない」とバンデヘイ氏は言う。
HBO上の番組がどれくらいAXIOSの認知度を高めてくれるか、番組が放送される前から彼らはその影響力を実感している。1週間に1本放送される4回シリーズのエピソードだったが、放送前の10月30日にYouTube上にドナルド・トランプ大統領とのインタビュー映像(初回の映像から取ったもの)を彼らのYouTubeチャンネルで一部公開した。この動画は11月6日の段階で40万5000回再生されている。しかし、動画のなかで大統領がアメリカ市民権の出生地主義を大統領令で禁止することができる、と語っているが、それに対してAXIOSのレポーターは内容を十分に批判的に捉えられていない、と批判の声もあがっている。バンデヘイ氏はこういったネガティブな反応には同意しないとし、よりポジティブな側面にフォーカスしていると述べた。TVのニュース番組でも動画がピックされた点を考慮すると、約5000万人がこの動画を見たことになる。つまりアメリカの人口の6分の1がAXIOSが正統なニューススクープを達成したことを目撃したことになる。
「これは意義深いテスト」
HBOにおける番組はAXIOSの動画チームが制作したわけではない。彼らの動画チームは8人から10人のスタッフがエディトリアルやスポンサーデジタル動画に取り組む。HBO番組はドキュメンタリー映像作家であるペリー・ペルツ氏とマシュー・オニール氏によって監督・制作された。制作会社DCTVから雇われた外部のクルーも参加している。
サブスクリプションビジネスと同様、テレビ業界への本格参入を急いでいるわけではない。HBO番組も上記の通り、ほぼ外部プロダクションによって制作されている。
HBOの番組は、「我々全員にとって意義深いテストとなる」とバンデヘイ氏は考えている。「もしかしたらより定期的に制作されるようになるかもしれない。もしかしたら4回だけのエピソードを作ったあと、これは毎週制作するものではないな、と判断するかもしれない。反応を見て、エピソードを制作するというプロセスを終えたあとでないと分からないと思う」と、彼は語った。
Tim Peterson(原文 / 訳:塚本 紺)