アトランティック 、サブスク加入者専用のアプリをローンチ

デジタル版サブスクリプションの提供を開始して2カ月ほどのアトランティック(The Atlantic)が、今度はサブスクリプション加入者限定アプリをローンチする。

同アプリは無料でダウンロードできるもののすべての記事が有料コンテンツとなっている。編集者が選ぶ「今日の出来事」のタブには記事の概要やレポート、エッセイ、詩、同誌のアーカイブ記事などが掲載され、無料で閲覧できるものの、会員でなければ記事全体を読むことはできない。

9月5日にリローンチしたアトランティックのウェブサイトのデジタル版サブスクリプションサービスでは記事を5本まで無料で閲覧できるようになっているが、同アプリでは1本目の記事から有料会員限定となっている。だが、加入者に対しては柔軟なオプションも提供している。デジタル版の加入者は1年契約のみなのに対し、アプリ版の加入者は毎月の支払いが可能となっているのだ。

アトランティックでは、このアプリを専門とする5名のエディトリアルチームを編成している。

アプリでは習慣化が可能

同アプリのシニアディレクターを務めるアンドリュー・フェルプス氏は「アプリの提供を開始したのは、より個人のユーザーに向けたサービスであると同時に、習慣的に利用していただけるプラットフォームだからだ」と語る。同氏によれば、アトランティックが以前ローンチしたアプリのアトランティック・マガジン(The Atlantic Magazine)は利用者数が比較的少なかったものの、そのうち4分の3は週に3回以上アプリを使用していたという。

「今日の出来事」のタブは1日2回、朝と夕方に主任が更新する。エディトリアルチームのメンバーはこれを補佐する以外にも、速報や特集記事、ときにはオリジナルの詩など、エディトリアルの新旧コンテンツを混ぜたパッケージコンテンツを完成させている。

アトランティックはアプリチームを構築するにあたってエディトリアルの専門スタッフ2名を雇った。この2名はニュースルームにおける優先順位の把握にあたるとともに、162年の歴史を持つ同誌の過去のコンテンツと新規コンテンツを組み合わせたアプリ限定のユニークなコンテンツを作り出している。

人間味を感じさせる

アトランティックの副編集長を務めるマイケル・オーウェン氏はこれについて「記事の編集や公開面において人間が携わっていることを示せるチャンスでもある」と語る。編集者や記者がウェブサイトの記事をより高い次元でまとめて、独自のアイデアや解釈を導き出すことで「人間が関わっているという印象をユーザーにより強く与えることができる」という。

一例としてオーウェン氏が挙げたのが、アプリのベータテストにおけるあるパッケージコンテンツだ。このパッケージでは、作家のジャミー・アテンバーグ氏による孤独をテーマとしたエッセイと、ラルフ・ワルド・エマーソン氏による1857年の著作「孤独と社会」、そして数年前に同誌が掲載した孤独をテーマとした記事を組み合わせたという。

「孤独に関してさまざまな角度から光を当てたコンテンツとなった」と、オーウェン氏は振り返る。

読者の維持に効果的

レンフェスト・インスティテュート(The Lenfest Institute)で読者収益アドバイザーを務めるマット・スキビンスキー氏によれば、消費者からの収益を重視するパブリッシャーのあいだでは、モバイルよりもデスクトップのほうがコンバージョン率が高いことが知られており、マーケティングもデスクトップ重視となる場合が多いという。だが同氏は、モバイルのほうがコンテンツ消費は多く、スマホのほうがプッシュ通知との親和性も高いため、アプリもまた見過ごすことのできないビジネスチャンスとなりうると指摘し、次のように述べた。

「こういったアプリはコンバージョンでも有効だろうが、読者の維持面における取り組みといった面が強いだろう」。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:SI Japan)