ゲームデベロッパー勢がモバイルeスポーツに力を入れるなか、北米と他地域のいずれでも、eスポーツ組織に所属するプロモバイルプレイヤーの数が着実に増加している。
ゲームデベロッパー勢がモバイルeスポーツに力を入れるなか、北米と他地域のいずれでも、eスポーツ組織に所属するプロモバイルプレイヤーの数が着実に増加している。
現在、4つの主要米eスポーツチーム――クラウドナイン(Cloud9)、トライブ・ゲーミング(Tribe Gaming)、センティネルズ(Sentinels)、インモータルズ(Immortals)――に属するプレイヤーらが、ライアットゲームズ(Riot Games)の『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』のモバイル版、『ワイルドリフト(Wild Rift)』でしのぎを削っている。同時に、アジアでも複数のeスポーツ組織がモバイルプレイヤーとの大量契約をはじめている。いずれの市場でも、スマートフォンの普及率がコンソールやPCのそれをはるかに上回っていることが、この動きを後押ししている。
「多くの主要eスポーツ組織が、モバイルeスポーツへの拡大を発表し、契約するモバイルeスポーツプレイヤー数を一気に増やしている」と、東南アジアのeスポーツメディア企業、ワン・イースポーツ(ONE Esports)のCEO、カルロス・アリムラン氏は語る。「たとえば、アライアンス(Alliance)、ニグマ(Nigma)、ティーワン(T1)、チーム・シークレット(Team Secret)といった、もともとPC版のeスポーツにフォーカスしていた企業が、こぞってモバイルeスポーツチームの設立に動いている」。
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モバイル進出に注力しているのは、eスポーツ組織だけではない。2021年12月第一週に米DIGIDAYが報じたとおり、eスポーツリーグのイーエスエル・ゲーミング(ESL Gaming)もモバイルeスポーツの枠組作りに動き出している。
ライアットゲームズの影響力
こうした、組織とリーグ双方の動きの背景には、共通の原動力がある。それは、ワイルドリフトの地位確立に全力を傾けるライアットゲームズのひたむきな姿勢だ。「我々はモバイルeスポーツにすべてを賭けている」と、インモータルズのCEO、ジョーダン・シャーマン氏は話す。「だからこそライアットの目指すものを全面的に支持するし、その点で彼らのパートナーになるつもりでいる」。
モバイルゲーム界では依然、いわゆるカジュアルなプレイが大半を占めているが、モバイル市場は急速に成長しており、それが非モバイルゲームデベロッパーに参入を強く促している。
ワイルドリフトは2021年11月、LTR(顧客1人当たりの売上)が1500万ドル(約16億5000万円)を上回った。だが、ライアットゲームズはこのゲームに、兄/姉的存在のリーグ・オブ・レジェンドと同じく、年間数十億ドル(数千億円)をもたらしてくれる未来を期待している。「リーグ・オブ・レジェンドと、そのeスポーツを立ち上げた際に、つまり10年前、我々に期待する者は誰もいなかった」と、ライアットゲームズのワイルドリフトeスポーツ部門トップ、レオ・ファリア氏は話す。「我々はごく小さな企業であり、すべてをゼロからはじめた。そしていまや、ライアットが生む高品質のプロダクトに対し、相当額の投資が期待されるまでに成長したと、私は自負している」。
重要視するのは安定性と持続可能性
さらに、ライアットは自社がひた走るこのモバイル路線に、業界の他企業/団体も追随することを十二分に承知している。
11月、ライアットが賞金50万ドル(約5500万円)のワイルドリフト・ホライゾンカップ(Wild Rift Horizon Cup)の開催を発表したあと、eスポーツプレイヤー契約を活発化させたのは、同社による意図的な動きにほかならない。「エコシステムの構築に関して我々が目指すのは、チームとeスポーツ組織が互いに存続でき、しっかりと利益を生める状態、そこで人々が職を得られ、一年を通じて十分な報酬を得られる状態だ」とファリア氏は話す。「特定のイベントで、どこか一社だけが多額の利益を得るという状態にはしない。重要視するのは、あくまでも安定性と持続可能性であり、多額の賞金用の資金ではない」。
ビューワーシップに関していえば、リーグ・オブ・レジェンドは世界一人気の高いeスポーツであり、ライアットゲームズはすでに、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナゲームを、ひとつのライフスタイルへと見事に変容できることを証明している。ワイルドリフトでも同じ成功を収められるかはまだ不確定だが、eスポーツ組織とリーグはいずれも、ライアットのあとに付いていく姿勢を見せている。
「ライアットゲームズの具体的な計画は知らないが、ワイルドリフトに我々と同じく全力を注いでくれるのは間違いないだろう」とシャーマン氏。「彼らが実践してきたような、既成概念の枠を広げる斬新な試みに期待している。あのゲームを社会的存在にする努力。それこそが、彼らと連携において我々が真に望むことだ」。
[原文:As mobile esports activity heats up, everyone is following developers’ lead]
ALEXANDER LEE(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)