「ハフィントン・ポスト」が真のグローバルなパブリッシャーになろうとしている。2015年11月23日、世界中から編集長や財界のリーダーら、75人をマドリードに集め、デジタルパブリッシャーとしての将来像について語り合った。その内容は、向こう10年で50カ国に展開したいとする野心的なものだった。
グローバル編集局を設置し、各国進出に当たってはさらなる迅速なアプローチを取り、全プラットフォームで共通する編集コンテンツをサポートするべく、テクノロジー面のインフラに投資するという。そしてネイティブアドでは「2倍の利益」を出すとしている。
また、同社は2015年末にAP通信との契約を解除する予定のため、世界規模でのニュースの取材力の増強が課題となっている。
「ハフィントン・ポスト」が真のグローバルなパブリッシャーになろうとしている。
2015年11月23日、世界中から編集長や財界のリーダーら、75人をマドリードに集め、デジタルパブリッシャーとしての将来像について語り合った。その内容は、向こう10年で50カ国に展開したいとする野心的なものだったという。
2015年5月に10周年を迎えた同社は、現在15カ国で展開中。今後、いくつかのコアとなる地域への進出を中心的な戦略にするとしている。グローバル編集局を設置し、各国進出に当たってはさらなる迅速なアプローチを取り、全プラットフォームで共通する編集コンテンツをサポートするべく、テクノロジー面のインフラに投資するという。そしてネイティブアドでは「2倍の利益」を出すとしている。
Advertisement
米DIGIDAYの取材に対し、同社の編集長兼社長のアリアナ・ハフィントン氏は、以下のように具体的な計画を挙げた。
各国版を実験台と捉える
「ハフィントン・ポスト」は、その世界的な進出力を活かしながら、新たな取り組みを策定している。同社がもつグローバルなネットワークを、連続した「いくつもの実験台」として結びつけているのだ。ハフィントン氏は、ドイツが動画に強い実験地だとしたら、日本と韓国はモバイルビジネスに傑出した実験地だという。
「アメリカだけが独走しているわけではない。韓国では『ハフポスト』のアクセスの90%はモバイルで、日本では72%。これらのユーザーがアメリカ国外では最大のオーディエンスを形成している」と、ハフィントン氏は語る。
グローバル編集局の構築
国際的に展開しているほかの報道機関と同様に、「ハフィントン・ポスト」でも最近サイトを埋め尽くしたのは、パリで発生したテロに関するニュース記事だ。これに関して、全部で150本以上の記事や数十本のビデオを制作し、各国版で翻訳してシェアされるなどした。
テロを受け、フランス版の編集長を務めるアン・シンクレア氏がローンチした「戦争の夜明け(Morning of War)」と銘打たれたブログは、9カ国語に翻訳。すべての国際版で特集を組まれたほか、グローバル編集ディレクターのハワード・ファインマン氏の「再度言おう。我々全員がパリジャンだ(We Are All Parisians, Again)」というブログは、フランスを含む10の国際版で配信された。
「ISISの母(Mothers of ISIS)」というシリーズでは、テロ発生後に視聴が50万回も増えたという。その大半がソーシャルからの流入だった。全体的な視聴数は10カ国で110万。ここでもその半数がソーシャルからの流入となった。「パリで発生したテロは、各国版においてリアルタイムでコラボレーションする力を見せつけた」と、ハフィントン氏は主張する。
選挙が迫っている国での取材チームや、コンテンツマネジメントシステムや、そして、アナリティクスツールやアプリなど新しいテクノロジーへの投資を増強。各国版で翻訳能力を向上し、迅速なコンテンツの共有を可能にしたいとしている。
同社は2015年末にAP通信との契約を解除する予定で、世界規模でのニュースの取材力の増強が課題となっている。ハフィントン氏によると、現在10万人のブロガーを100万人にまで増やしたいという。
各国版でネイティブアドを
営業面ではネイティブアドに力を入れている。同社では「ハフポストパートナースタジオ」というネイティブアド用スタジオを運営しており、各国版にネイティブアドを配信しているが、今後さらに増やす計画があると同氏は語った。
ハフィントン氏はおそらく健康問題やストレス対処法、快眠のパターンに関してもっとも影響力をもつ人物であるだろう。同氏によると、この分野にはブランド各社がパートナーシップの提携をしたがっており、ネイティブアドとしての成長が大幅に見込めそうだという。「ブランド各社は反響のあるコンテンツに広告を出したがっている」とハフィントン氏。「アドブロックが大問題となるにつれ、より多くのブランドが通常のバナー広告ではない感情面に訴えかけられるキャンペーンを望んでいる」。
さらに今後の概要は
広告代理店大手のハバス・メディア(Havas Media)のパブリッシング担当責任者、ドミニク・フォークス氏によると、メディアバイヤーの立場からすると「ハフィントン・ポスト」の優先順位は高いという。ユニークなコンテンツに関連させたスポンサーシップを結ぶ機会や、ビデオコンテンツやいわゆるリッチメディアなど、メディアフォーマットが多彩であるため、手堅くも幅広い戦略ができる。
また、異なる編集局の編集プロダクトを違うプラットフォームに配信することが一貫して可能になるだろうし、そのためにサードパーティーのメディア提携先に代理運営させる場合もあるだろう。例として、フランスの有名紙「ルモンド」や、スペインの「エルパイス」などがあげられる。
「各国の市場での広告買い取り手段は統一され、世界中の広告主にとって一貫した広告プランができることを知ってもらいたい」と、フォークス氏はコメントした。
Jessica Davies(原文 / 訳:南如水)