大統領候補者を「ARコンテンツ」で報じる米メディアたち:VRからARへの移行

ベライゾンのメディア部門、ベライゾン・メディア(Verizon Media)と米新聞大手ガネット(Gannett)が米大統領選の民主党候補アンドリュー・ヤン氏に対し、共同でインタラクティブインタビューを行なった。USAトゥデイ(USA Today)またはヤフー・ニュース(Yahoo News)のアプリを使えば、ユーザーはさまざまな件についてヤン氏が語る様子を、各々の生活空間に現れる氏の3Dイメージを見ながら聞くことができる。また、3Dイメージの脇に資料のグラフや引用なども表示される。同じコンテンツの動画版はヤフーニュースアプリでも視聴できる。両社がARコンテンツで提携するのは今回が初だ。

ベライゾン・メディアにとって5Gを活用できるARコンテンツの推進は、親会社ベライゾン(Verizon)がデータ処理に関して同テクノロジーに多大な投資を行なっているだけに、ジャーナリズムにおいても広告においても、主眼のひとつとなっている。

「5Gはメディアの創造と消費を変えることになる」と、ベライゾン・メディアのニュース、エンターテイメント、スタジオ部門マネージャー、アレックス・ウォレス氏は語る。「ARは何にでも使えるため、いまや主流であり、ごく当たり前の存在だ。人々は日常生活のなかでARを利用している。イマーシブかつインタラクティブなストーリーテリングは、今後あらゆるタイプのコンテンツにおいて標準になっていくだろうし、少なくとも、重要な一部になるのは間違いない」。

ところで、アンドリュー・ヤン氏を選んだ理由は? 答えは、求めに最初に応じたのが氏だったから――なるほど、ならば合点がいく。USAトゥデイとヤフーは2019年のアイオワ州ステートフェアに出席した全候補者に声を掛けた。

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いまではお手軽な技術

ベライゾンはRYOT 5Gスタジオ(RYOT 5G Studio)をロサンゼルスに設立しており、ハフポスト(HuffPost)やヤフー、テッククランチ(TechCrunch)といった同グループのインハウスブランドは、そこで5Gを活用した新たなストーリーフォーマットの開発に取り組むことができる。また、同スタジオはUSAトゥデイやロイター(Reuters)、AP(Associated Press)といったパブリッシャーとも共同で5Gテクノロジーを活用していく。

VRの視聴には、比較的安価なビューアから高額なヘッドセットまでさまざまな種類があるとはいえ、何かしらの専用器具が欠かせない。一方、ARにはスマートフォンさえあれば、誰でもアクセスできる。

「ロータッチな、次世代ストーリーテリングにしたい」と、ウォレス氏は語る。「ARは特別な器具を必要としない。現在、我々はパートナーと共有できるARフォーマットを開発中であり、今後、次世代のストーリーテリングを民主化したいと考えている。ARチームを組むために50人ものスタッフを雇わなくて済むようにしたい」。

「ARは非常に低コスト」

USAトゥデイをはじめ、これまでVRにかなりの額を費やしてきたパブリッシャーにしてみれば、VRからARへの移行は明るい材料だ。実際、後者は一般に思われているよりもはるかに安いと、USAトゥデイのAR担当ディレクター、レイ・ソト氏は話す。

「ありがたいことに、ARは非常に低コストで済む」と、ソト氏はいう。作成にかかる時間はストーリーによって異なり、8時間以内に作れるものもあれば、何カ月も要するものもあるが、「以前とは比べものにならないほど多くのリソースがあるいま、パブリッシャー勢はARへの参入に関心を抱いている」と、氏は話す。

ベライゾンはさらに、インハウスブランド以外ともARの実験を進めている。たとえば、同社はヤフーメール(Yahoo Mail)でARの可能性を世に示した後、新たなインマーシブ広告フォーマットにも投資しており、最近では米百貨店メイシーズ(Macy’s)と手を組み、新たなAR広告を試している。

Snapchatとも提携

2019年11月には、 ARテクノロジーを牽引する一社Snapchat(スナップチャット) との提携も発表しており、今後はSnapchatがベライゾンのためにランドマーカー(Landmarkers)やポータル(Portals)といったARフォーマットを開発し、自社の5Gテクノロジーを顕示していくことになる。

Deanna Ting(原文 / 訳:SI Japan)