ベライゾン・メディア・グループ(Verizon Media Group)のCEO、グールー・ガウラッパン氏は昨年、米DIGIDAYに対し今後5年間で売上の3分の1をeコマースによるものにすることを目標としており、その成長の基盤作りに今後1年間を費やすと強調した。
ベライゾン・メディア・グループ(Verizon Media Group)のCEO、グールー・ガウラッパン氏は昨年、米DIGIDAYに対し今後5年間で売上の3分の1をeコマースによるものにすることを目標としており、その成長の基盤作りに今後1年間を費やすと強調した。
こうした姿勢は、ヤフー(Yahoo)、テッククランチ(TechCrunch)、エンガジェット(Engadget)など、同グループの運営体制に反映されている。たとえば、ヤフーライフ(Yahoo! Life)とインザノウ(In the Know)は、(eコマースを促進するために)週に何百ものコンテンツを作成しているし、ヤフーメール(Yahoo! Mail)では現在、受信トレイを開いたままで、欲しい商品をウォルマート(Walmart)のショッピングカートに入れることが可能になっている。同社は現在、グループ全体で独自の決済サービスと、ショッパブル動画の両方をテストしている。
こうした取り組みは、同社がアディダス(Adidas)やベスト・バイ(Best Buy)、バナナ・リパブリック(Banana Republic)、QVCなど、約30のブランドや小売企業と直接的な関係を築くのに役立ってきた。そうした取引のなかには、アフィリエイト販売だけに重点を置いたものもあれば、オリジナルコンテンツの制作からARを活用したプロジェクトまで、さまざまなものがある。
Advertisement
プロダクトレベルの調整
成長の基盤はまだ小さいが、現在ベライゾン・メディア・グループeコマース年間売上は、前年同期比で250%以上増加している、と消費者売上担当責任者のジョアンナ・ランバート氏は述べている。なお、同氏は具体的な数字は明らかにしていない。
コンテンツは同グループのeコマース戦略における、主要な構成要素のままだ。しかし今回の成長には、製品の統合などプロダクトレベルでの調整が、大きく影響しているという。
「我々は、小売や食料品といったライフスタイルカテゴリーで、広告主にとって強力な販売促進パートナーになることができた。これも、自社の強みを活かすことができたからだろう」と、ランバート氏は語る。
新興メディアブランドが貢献
また、ベライゾン・メディア・グループは、有数の歴史あるメディアブランドを持つことで広く知られているが、新しいメディアブランドもeコマースの成長に貢献しているという。
大半のメディア企業がレイオフで圧迫されていた1年間、同グループは、インザノウ向けのコンテンツ制作を強化するために、数人の人材を採用。いまでは、週に400本を超えるコンテンツを制作している。こうした取り組みの成果は、バイヤーの注意を引いてきたのだ。
「昨年は、広告主との会話で、インザノウの話題が自然に上ることはめったになかった」と、エージェンシーのDMiマーケティング(DMi Marketing)で、アフィリエイト担当バイスプレジデントを務めるクリスティーナ・ノーラン氏は話す。「しかし今年は、競合分析を積極的に行っているため、ベライゾン・メディア・グループの多くのサイトの躍進が目に止まるようになった」。
購買行動の変化も要因のひとつ
ベライゾン・メディア・グループのポートフォリオに含まれるすべてのブランドが、平等にeコマースに投資されているわけではないが、そのは大半が大規模な取引に関与している。2年間に渡り、ウォルマートと同グループは、30デイズ・オブ・セービングス(30 Days of Savings)というキャンペーンに取り組んできた。同キャンペーンではユーザーに対し、ヤフーライフやインザノウ、テッククランチなどの各メディアで制作されたコンテンツのほか、数百の製品について特別価格での早期購入権を提供した。
メールを含めた、ベライゾン・メディア・グループのサービスすべてを活用できるキャンペーンは、好調な業績の原動力となり得る。昨年の30デイズ・オブ・セービングスでは、予想の12倍の売上がもたらされ、今年はわずか数日で、昨年の5倍の売上を上げた、とランバート氏は明かす。
「新型コロナウイルスのパンデミックはそうした成長に、拍車をかけた。ウイルスの感染拡大により、ロックダウンを乗り切るのに役立つさまざまな商品が求められるようになった。多くの人々が実店舗を避け続けたため、より多くの消費者がオンラインで買い物をするようになったのだ」。
「ほぼ一夜にして変化した」
また、ベライゾン・メディア・グループの成長は、通常ならばオンラインで買い物をしない消費者によるところもあると、ランバート氏は述べる。10月のAmazonのプライムデー(Prime Day)を皮切りにスタートした、ショッピングシーズンの延長はこうした消費者の購入を促進したと、同氏は付け加える。
「オンラインショッピングのトレンドは、ほぼ一夜にして変化した。いまは、さまざまなタイプの顧客を目にしている。それが、我々更なる強みになるだろう」と、ランバート氏は語った。
[原文:‘An aggressive strategy’: Verizon Media Group keeps pouring resources into commerce]
MAX WILLENS(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:村上莞)