Snapchat ショーに傾倒する、英・メディアのグローバル:シリーズ番組を6本に倍増

英国のメディア企業グローバル(Global)は8月、新たに3本のSnapchatショー(Snapchat Shows)向け番組をローンチする(Snapchatショーは、インスタグラム[Instagram]におけるIGTVのような動画専門コーナーのこと[※日本版アプリには未実装])。グローバルはSnapchat(スナップチャット)向けに最初に手がけた3番組の収益と視聴者がともに増加し、ここ数カ月でさらに収益を伸ばしている。

グローバルは2018年10月、Snapchatショーがイギリスで配信開始となったのを機に、最初の3番組をスタートさせた。これから数週間のうちに配信開始予定の新シリーズによって、同社の手がけるSnapchatショーは6本に増える。

グローバルの既存のSnapchatショー向け番組3本は、同社のデジタルニュースおよびカルチャーを扱うブランド「ポップバズ(PopBuzz)」の下で提供されている。これら3番組、「ユーチューバー・ニュース(YouTuber News)」、「ポップバズ・ガイド(The PopBuzz Guide)」、「ポップバズ・ミーツ(PopBuzz Meets)」は、5月のユニークビューワー数が合計で2700万人超(番組間の重複は考慮せず)を記録したと、同社は述べている。美容系ユーチューバーのジェームズ・チャールズ氏を取り上げたユーチューバー・ニュースの最近のエピソードは、視聴者数が1600万人に達したという。

3番組の平均視聴時間は1分30秒~2分だが、動画の長さは番組によって異なる。ユーチューバー・ニュースは通常10~12分で、他の2番組は4~8分のことが多い。

グローバルは、新たにスタートする3番組のうち1本をポップバズ・ブランド、残る2本を若者向けのラジオ番組ブランド「キャピタル(Capital)」からローンチする計画だ。同社は、40人からなる社内の動画チームを使ってSnapchat向けコンテンツを制作している。主には、この社内チームを教育することで対処しているが、さらに動画編集者をもう1人雇ってSnapchatショーの仕事にあたらせている。

収益については「好調な伸び」

グローバルは当初、Snapchatショーの番組フォーマットを、自社のターゲットオーディエンスである16~24歳へのリーチを拡大する方法の実験手段と見ていた。しかし、Snapchatショー向けの番組は、ポップバズ・ブランドのオーディエンスと収益を着実に伸ばすコンテンツに成長したと、グローバルのオーディエンス開発担当責任者チャールズ・ユバグス氏は話す。

「これらの番組の視聴者数、リーチ、視聴時間が及ぼすインパクトは、本当にポジティブな変化をブランドにもたらしている」と、ユバグス氏は語る。「番組のプレゼンターたちは、以前はニュース編集者だったが、いまでは街で声をかけられるようになった。それだけ主要な視聴者層をエンゲージしているということだ」。

グローバルがSnapchatへの注力を増すもうひとつの理由は、広告収益だ。Snapchatが3月にスキップできない6秒広告を英国のSnapchatショーに導入して以降、具体的な数字は明かせないものの、グローバルの収益は「好調な伸び」を見せていると、ユバグス氏は述べている。スキップできない広告は、当然ながらビューアビリティ(可視性)が高いため、一部の広告主にとってはより魅力的だ。

その一方でグローバルは、最初の3番組の高いエンゲージメントをさらにマネタイズするべく、FacebookやYouTubeなどのプラットフォームにおける番組のスポンサーシップを売り込むことも計画している。パブリッシャーは一般的に、Snapchatショー向けのコンテンツをほかのプラットフォームでも配信することが多い。

Snapchatショーの良し悪し

このように収益が増加しているのは、グローバルだけではない。ジャングル・クリエーションズ(Jungle Creations)は、「フォー・ナイン・ルックス(Four Nine Looks)」「クラフト・ファクトリー(Craft Factory)」「ツイステッド(Twisted)」の各ブランドから、Snapchatショー向けに3本の番組を配信しているが、同社によると、3月にスキップできない広告が導入されて以降、Snapchatからの収益は3倍に増えたという。

3月の配信開始以降、クラフト・ファクトリーは1000万人、ツイステッドは800万人のユニークビューワーを数える。また、フォー・ナイン・ルックスの前回のエピソードは、ユニークビューワーが560万人超、視聴時間が1分38秒を記録したと、ジャングルは述べている。

しかし、Snapchatショーに加えて、「ディスカバー(Discover)」向けに番組を広く世界に配信している一部のパブリッシャーにとっては、スキップ不可の6秒広告フォーマットがショーに導入されても、ディスカバーのほうが依然として得られるトラフィックと収益は大きいという話も聞かれる。

英国のメディアエージェンシー、エッセンス(Essence)の欧州、中東、アフリカにおけるペイドソーシャル部門のトップ、デボラ・キング氏によると、スキップ不可の6秒広告の料金は、エッセンスが最初に手がけた英国の携帯電話事業者EEのキャンペーンにおいては、完全視聴単価で約2ペンス(約2.7円)と非常に競争力が高く、またスキップ不可ということで、当然ビューアビリティ率も高かった。しかし最近のキャンペーンには、以前ほどの競争力はなくなっているという。

「ブランド認知向上キャンペーンや製品ローンチ、大々的なメッセージの発信などを手がける際には、その種の広告も計画に入れるだろう」と、キング氏は述べている。「しかし、コスト効率を考えるなら、その種の広告を利用することはない。全般的にコストがやや高く、リーチを獲得するのに相当の予算がかかる」。

グローバルが見出したノウハウ

SnapchatのCMSを通じて同プラットフォームのインサイトツールを利用できることは、グローバルが自社の動画に磨きをかけるのに役立っている。グローバルはインサイトツールを通じて、ユーザーがどのようなスナップをシェアするか、あるいはしないかといった情報を入手できる。動画内で視聴者にスナップのシェアを促すタイミングを遅くしたところ、視聴時間が伸びた。それに合わせて、番組のフォーマットも変化している。たとえば、グローバルの番組「ユーチューバー・ニュース」で、プレゼンターが視聴者に、マーベル(Marvel)の映画が好きな(または嫌いな)友人にスナップをシェアするよう直接呼びかけたところ、シェア数が2万件を記録したと、ユバグス氏は述べている。

「我々は遊び心を大切にしている」と、ユバグス氏はいう。「ときにはカメラに映らないところで誰かが踊りだすような。常にほんのちょっとしたことが、オーディエンスから多くのシェア数を稼ぐきっかけになる」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)