テレビネットワークは視聴者の高齢化に伴い、オーディエンスに若年層が多いデジタルパブリッシャーとの提携を進めてきた。ケーブルテレビ局のNBCユニバーサルが、「BuzzFeed」やデジタルメディア企業、Vox Mediaに投資し、HBOやA+Eネットワークス(A+E Networks)が若者向けのカルチャーメディア企業、Vice Mediaと契約した背景にはこうした事情がある。
この動きに沿って、テレビネットワークのメディア企業、A+Eネットワークスは、女性のライフスタイルを扱う新興メディア、ピュアワウ(PureWow)をパートナーに選び、A+Eネットワークス傘下で2年前に誕生したライフスタイルチャンネル「FYI」向けに45秒間の料理レシピ動画を制作することにした。
動画はませた子どもが有名シェフに対決を挑むFYIの料理番組「Man vs. Child: Chef Showdown」(大人対子ども:シェフ対決)で流される。A+Eネットワークスのマルチプラットフォームスタジオでエージェンシーでもあるフォーティーフィフス・アンド・ディーン(45th & Dean)が動画のコンセプトを立案し、ベーコンをキャンデーでコーティングする、鶏を丸ごと1羽さばく、温度調整をしながらチョコレートを固める(テンパリングする)などのコンテンツ案をいままでに提供している。動画は2016年6月21日(米国時間)から放送開始され、ピュアワウのサイトでもライブ配信されている。
既存のテレビネットワークは視聴者の高齢化に伴い、オーディエンスに若年層が多いデジタルパブリッシャーとの提携を進めてきた。ケーブルテレビ局のNBCユニバーサルが、デジタルメディア企業のBuzzFeedやVox Mediaに投資し、HBOやA+Eネットワークス(A+E Networks)が若者向けのカルチャーメディア企業、Vice Mediaと契約した背景には、こうした事情がある。
この動きに沿って、テレビネットワークのメディア企業、A+Eネットワークスは、女性のライフスタイルを扱う新興メディア「ピュアワウ(PureWow)」をパートナーに選び、A+Eネットワークス傘下で2年前に誕生したライフスタイルチャンネル「FYI」向けに45秒間の料理レシピ動画を制作することにした。
「ピュアワウ」が選ばれた理由
「ピュアワウ」の動画は、ませた子どもが有名シェフに対決を挑む「FYI」の料理番組「Man vs. Child: Chef Showdown(大人対子ども:シェフ対決)」で流される。A+Eネットワークスのマルチプラットフォームスタジオでエージェンシーでもあるフォーティーフィフス・アンド・ディーン(45th & Dean)が動画のコンセプトを立案し、ベーコンをキャンデーでコーティングする、鶏を丸ごと1羽さばく、温度調整をしながらチョコレートを固める(テンパリングする)などのコンテンツ案をいままでに提供してきた。動画は2016年6月21日(米国時間)から放送開始され、「ピュアワウ」のサイトでもライブ配信されている。
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A+Eネットワークスが「ピュアワウ」に惹かれた理由は、多彩なプラットフォーム向けのコンテンツ作りのノウハウ、やや風変わりなアイデア、そして経済的に豊かで若いオーディエンスにあった。「ピュアワウ」のビジターの平均年齢は33歳なのに対し、A+Eネットワークスのチャンネル、「FYI」のビジターの平均年齢は48歳だ。
デジタルであろうとテレビ向けであろうと、特に経験の浅いパブリッシャーにとって、動画作りは難しい。リニア編集(動画の編集)をする場合は、さらに高い制作品質が求められる。そして、どんなプラットフォームを対象にしたものでもそうだが、パブリッシャーがもつべき独特の感性も必要だ。
差別化されたフードポルノ
「FYI」のエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであり、フォーティーフィフス・アンド・ディーンを率いるポール・グリーンバーグ氏は、次のように語る。
「プラットフォームに左右される部分が非常に大きい。Snapchat(スナップチャット)の『ストーリー』は、Facebook動画とはかなり違う。リニア編集の動画の場合、のんびりとソファーにもたれかかって、ひとつの長編番組を見終わったら別の長編番組を見るような人々にコンテンツを届けることになる。だから短い動画は、長い番組を補完する内容で、同時に長い番組のように感じられるものでなければならない」。
さらに、フードを扱った動画は世の中に山ほどあるので、「ピュアワウ」のものはそれらと差別化する必要があった。「ピュアワウ」の「FYI」向け動画は、Facebookに溢れかえるボウルのなかを上から撮影した騒々しいフード動画に似ているが、グリーンバーグ氏にいわせれば「もっとリラックスして見られる」ものになっているという。「窮屈さを感じさせないように、うまくできていると思う」。
「ピュアワウ」は、突然登場した純粋なデジタルパブリッシャーのひとつ。25~49歳の女性をターゲットに、ハウツーやライフスタイル関連のコンテンツを作っており、6年間で640万人のユニークオーディエンスを獲得している(ネット調査企業コムスコア[comScore]が調べた6月のマルチプラットフォーム・ユニークオーディエンス数による)。
「テレビに踏み出す最高の方法」
ほかのパブリッシャーがベンチャーキャピタルから巨額の資金を調達しているのに対し、「ピュアワウ」がこれまでに調達した資金はわずか500万ドル(約5億円)。なので、新しいプラットフォームのすべてに、たくさんの投資をする余裕はない。そこで賭けたのが動画制作だ。「ピュアワウ」のCEO、ライアン・ハーウッド氏によると、60人いる社員のうちの8人で1週間に12本の短編動画を制作しているという。
ハーウッド氏は、「ピュアワウ」はA+Eネットワークスとの契約で広告収入を受け取りはしないが、テレビについて学ぶ機会と露出の機会を得ているという(A+Eネットワークスは契約の条件を明かそうとはしなかった)。
「『ピュアワウ』というブランドの認知度を高めるいいチャンスだし、テレビの世界に踏み出す最高の方法だ」と、ハーウッド氏は語った。
Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)
Image courtesy of PureWow