米国内では増加ペースが鈍化すると見られるアドブロック。ただし、調査担当者らの予想によると、モバイル機器でのアドブロックの利用が増え続け、特にアジアでの伸びが顕著になるという。今回は、モバイルデバイスを中心にアドブロックの世界的状況をまとめた5つのチャートを紹介する。
アドブロックの問題は、ますますパブリッシャーを悩ませるようになってきた。最近の調査レポートも、アドブロックの利用者数は世界中で増える一方であることを示している。
米国内でのアドブロックの増加ペースは鈍化すると見られる。ただし、調査担当者らの予想によると、モバイル機器でのアドブロックの利用が増え続け、特にアジアでの伸びが顕著になるという。調査ではまた、広告をブロックする場合、ユーザーが暮らす国によって特定の機器に偏る傾向にあり、アドブロックがあらゆるユーザー属性に広がっていることも示されている。
調査会社アルティミターグループ(Altimeter Group)のアナリストであるオマー・アクタル氏は、「ミレニアル世代は広告に悩まされている。それより上の世代のユーザーは、自分の関心が特定されていることにゾッとしている」と語る。今回は、アドブロックの世界的状況をまとめた5つのチャートを紹介する。
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世界に広がるアドブロック
かつてアドブロックは北米と欧州にほぼ限られていたが、現在は世界中に広がりはじめた。パブリッシャーにアドブロック回避サービスを販売するページフェア(PageFair)によると、アドブロッカーを導入している機器の数は、2016年に30%増加。その多くが集中しているアジア太平洋地域では、オンラインユーザーの16%がアドブロッカーを使用しているという。
モバイルの増加
アドブロックの世界的な増加と同時に、モバイル広告のブロックも増加している。いまでは、アドブロックの60%(3億800万台)がモバイルでおこなわれている。アドブロック全体に占めるモバイル広告ブロックの割合は、今後も増え続けると予測されている。アクタル氏によると、モバイル広告はユーザー体験を損なうことが多く、そのせいでユーザーはますます広告をブロックしたくなるのだという。
国別に見るアドブロックと機器
アドブロックは、米国内ではほぼデスクトップPCで実行されている。アドブロックが広まりはじめたとき、米国人がインターネットにアクセスする主な手段はデスクトップPCだった。中国などのほかの国は、インターネットにアクセスできるようになったとき、デスクトップPCの段階を踏まずに直接モバイルへ進んだ。
デスクトップPCにおけるアドブロックの普及を比べると、米国は群を抜いている。アドブロックをおこなう機器が3000万台以上ある国のなかで、モバイルよりデスクトップPCでのアドブロックが多いのは米国だけだ。
米国での増加は減速
デジタル市場調査会社イーマーケター(eMarketer)によると、米国でのアドブロックはまだ増加すると予想されているが、 その増加率はかなり鈍化するという。
2013年のころまで、アドブロッカーのユーザー数は毎年ほぼ倍増していた。2017年、増加率は20%以下にまで落ちると予想されている。ただし、アドブロッカーを利用している携帯電話は1%程度しかないので、米国のモバイル広告市場が干上がることは当面なさそうだ。
「北米におけるデスクトップとモバイルでのアドブロック利用の差を見ると、今後モバイルが伸びる可能性は高い」と、アクイジオ(Acquisio)のプラットフォーム製品担当マネージャー、リチャード・ベック氏は予想する。
ユーザー属性別に見るアドブロック利用
アドブロックについて知っている人の大半は、実際に利用している。技術面に明るいタイプは、若い世代により多い傾向がある。だからといって、アドブロックが若年層に集中しているわけではない。
ページフェアとトレンデラ(Trendera)のレポートはいずれも、アドブロックが性別や年齢を問わず平均的に行われていることを示している。フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のアナリスト、スーザン・バイデル氏は次のように書いた。「アドブロッカーのユーザーが十代のゲームオタクだと思うなら、それは間違いだ」。
Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)