パンデミックによって、それほど混乱がなかった国際的競技があるとすれば、eスポーツだろう。「ゲーミングのユニークな点のひとつは、プレイヤーが同じ場所にいる必要がないことだ」と、アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)のジャック・ハラーリ氏は、英Digidayのポッドキャストで述べた。
世界的なコロナウイルスの大流行によって、それほど混乱することのなかった国際的な競技があるとすれば、eスポーツだろう。
「ゲーミングのユニークな点のひとつは、プレイヤーが同じ場所にいる必要がないことだ」と、アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)のeスポーツ部門バイスプレジデント、ジャック・ハラーリ氏は、英Digidayのポッドキャストで述べた。
とはいえ、一流のビデオゲームのコンテストは、試合前の盛大なショーからお気に入りのプレイヤーを追いかける「ファンカム(fan cams)」、また、コンピューターの前に座っているときでさえ競争相手と対決している雰囲気を作るなど、確立されたスポーツプロリーグと同じようなさまざまな要素を取り入れて盛り上げている。
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「それが(スポーツの)エネルギーを高め、プロダクションとしてもとてもユニークな機会を生み出す」と、ハラーリ氏は言う。同氏はNBAで5年間働いたあと、アクティビジョン・ブリザードに加わった。アクティビジョン・ブリザードはeスポーツの中心的な存在であるコール・オブ・デューティ(Call of Duty)、オーバーウォッチ(Overwatch)、スタークラフト(StarCraft)を生み出した会社だ。
ほとんどのメディア企業と同様に、同社は来年はリモートではなく物理的なイベントを再開したいと考えているが、リモート移行を強いられたメディア業界において、アクティビジョン・ブリザードのイベントは極めてエンゲージメントが高いことが証明されたと、ハラーリ氏は述べた。
アクティビジョン・ブリザードのSFシューティング・ゲーム競技「オーバーウォッチ・リーグ(Overwatch League)」と通常のスポーツリーグとの明確な違いは、トッププレイヤーの世界から一般人プレイヤーの世界まで、同社がゲームのオーナーとして完全にコントロールしていることだ。世界のトッププレイヤーたちの場合は多額の賞金がかかっているという違いはあるが、オーバーウォッチの熱烈なファンは最高レベルのプレイを観戦するだけでなく、まったく同じゲームを自分でプレイすることもできる。
ハラーリ氏によると、平均的なファンは同社のゲームを週に20時間以上プレイし、プロの試合を週に4〜5時間観戦するという。
この高レベルのエンゲージメントを通常のスポーツではできないような方法で収益化したいと同社は考えている。昨年、eスポーツ世界市場の収益は初めて10億ドル(約1050億円)を越えた。
以下、ポッドキャストでの会話から、読みやすさのために若干の編集を加えてハイライトを紹介する。
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ゲーミング会社がリーグとゲームの両方を所有する。
「英国プレミアリーグ(English Premier League:EPL)ファンや、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United F.C.)ファン自身がサッカーをして楽しんでも、EPLの試合を観戦していなければEPLと交流しているのではなく、単にサッカーをしているだけに過ぎず、EPLではなくサッカーとしてまとめられる。我々のeスポーツファンがeスポーツの観戦をしておらず、オーバーウォッチ・リーグとエンゲージメントを持っていなくとも、彼らがオーバーウォッチをプレイしていれば、それは私たちとの接点である。私たちのブランドパートナーシップ開発でもっともユニークな点は、それを重視し、(eスポーツとゲーミングをめぐる)ライフサイクル全体を通してファンと交流を持つことに真剣に取り組んでいることだ」。
バーチャル化のメリット
「今年のシーズンでは、世界中で6台から10台の異なるサーバーで選手たちにプレイしてもらった。これは理想的ではないが、そのおかげでプロダクトを進行させ続けることができた。これをどうやってさらに統合させるかが、来年に向けて我々が査定していることのひとつだ。来年もしも可能であれば、少なくとも我々のプレイヤーがひとつ場所にいること、さらにはファンも同じ場所にいることが非常に大きな価値をプロダクトに加えてくれるだろう。それが(スポーツの)エネルギーを高め、プロダクションとしても、とてもユニークな機会を生み出す。非常に困難で独特な状況下でも素晴らしいプロダクトを提供できることを、私たち自身、我々のパートナー、そしてファンに実証することができた」。
eスポーツは以前からメインストリームへと向かっていた
「パンデミックがあったおかげでeスポーツが急成長しているという言い方は少し誤解を招くと思う。私にとっては、eスポーツの急成長はもともとeスポーツが向かっていた方向に沿った自然な流れであり、過去5年かそこらのあいだ、ずっと続いている流れだ。先週の収支報告では、アクティビジョン、ブリザード、キング(King:モバイルゲーム会社)を合わせた第3四半期における月間アクティブユーザー数は4億人近くに達した。これはパンデミックの結果ではなく、自然な成長の結果だ」。
PIERRE BIENAIMÉ(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)