「不正への積極的関与だよ」:とある元 インフルエンサー の告白

インフルエンサーマーケティングが再び脚光を浴びている。6月第3週、ユニリーバ(Unilever)のキース・ウィード氏をはじめ、世界有数のマーケターたちが業界に蔓延する不正を指摘し、その是正に乗りだしたからだ。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDigidayの告白シリーズ。今回は、インフルエンサー絡みの不正の最前線にいる元インフルエンサーで、現在はマーケティングエグゼクティブを務める人物に話を聞いた。

以下が簡明にまとめたその抜粋だ。

——インフルエンサーマーケティングに不信感を抱いたのはいつ?

2年、いやもう少し前かな。あれは爆発というか、そんな感じだった。インフルエンサーマーケティングにインスタグラム(Instagram)なんて誰も使っていなかったのに、突然、誰もが使いだした。それで、インフルエンサーを取り巻く状況が急におかしなことになった。僕がそれまで聞いたこともなかった連中が、それこそ一夜にして20万人ものフォロワーを手にする、という事態が生まれたんだ――多くはファッション界だったけれど、テック界でさえそうだった。

——問題の表面化はどのようにして?

自分にはインスタグラムのフォロワーが数十万人もいる、だからファッションショーに出してくれ、とせがむ連中がファッション界に現れた。僕としては「うーん、どうだろう。とりあえずは、流れに任せてみるか」と。でも去年、事態が一変して、おかしなことになった。とあるインフルエンサーカンファレンスに出たんだけど、あれはまさにカルト集団の会合でね。まるで(新興宗教団体)サイエントロジー(Scientology)だよ。

——どういう意味?

ブランドとエージェンシーがそこら中にいた。 プラットフォームの代理人もそこら中にいた。で、みんながみんな、うまい話ばかりしてくる。インスタグラムのインフルエンサーになれば、とにかく儲かるって。朝から晩までインスタグラムしかやっていない若いやつらにね。そういう連中の背中をみんなでよってたかって押すわけだ。で、こっちが「インスタグラムのアルゴリズムの仕組みは?」とか、「販促の仕組みは?」とか、そういうまともな質問をすると、難解極まりない言葉を重ねてごまかしていた。

——フォロワー数を急に増やした人々については?

公然の秘密だし、実際、認めている連中もいる――みんな[フォロワーを]買っているんだ。別に驚くことじゃない。よくあることなんだけど、それも自分がインフルエンサーマーケティングに背を向けた理由のひとつでもある。

——その手の「マーケティング」は本物?

いや、違う。たとえば、僕も一度、ある投稿をプロモートするのに少々お金を使ったことがある。試しにやってみたんだ。確かにエンゲージメントは高かったんだけど、「いいね!」をした人の98%はバングラデシュ人男性で、みんな明らかにプロフィールを偽っていた。インスタグラムに金を払ったとしても同じで、偽のエンゲージメントしか得られない。僕には理解できないと、一緒に仕事をしていたPRエージェンシーらに言ったのを覚えている。連中は屁とも思っていなかったけれど。

——彼らの役割は?

PRエージェンシーはこれをけしかけている……いや、それじゃ足りない。けしかけるどころか、不正への積極的関与だよ。PRエージェンシーは両方をうまく操って、おいしいところを取っている。(インフルエンサーが)エージェンシーと契約するには、かなりの数のフォロワーが要る。そこで、エージェンシーはインフルエンサーのためにフォロワーを買い、クライアントを見つけやすくしてやる代わりに、インフルエンサーから金をもらう。で、エージェンシーはそのインフルエンサーをクライアントに紹介する。これで、エージェンシーはインフルエンサーだけじゃなく、クライアントからも金をもらう。当然、エージェンシーと利害を対立させるようなことは、誰も口にしたがらない。

——ブランドに与える影響は?

誰も気にしちゃいない。いまのインフルエンサーはなりふり構わない、それこそ「何でもやります」状態だ。金じゃなくて、物と交換という条件でも、喜んで定期的に投稿する。影響といえば、モデルは困ってるよ。本物のモデルは稼げていないし、仕事も取れていない。インスタグラムのインフルエンサーたちがショーに出ていて、そういう連中と張り合わなくちゃならない。だから、いまやモデルはみんな、インフルエンサーになろうと必死なんだ。モデルエージェンシーはどこも頭を抱えてるよ。デザイナーたちがフォロワーの多い人間しか使いたがらないからね。

Shareen Pathak(原文 / 訳:SI Japan)