コロナ禍によって、これまで以上に短いビジネスサイクルで進行した2020年において、各ブランドは発信内容にかつてないほど慎重なり、また広告主はひたすら手堅い戦略に終始した。そのような状況に対応すべく、パブリッシャーやエージェンシーの半数以上が商品やサービスのバリエーションを増やしていた。
「必要は発明の母」ということわざは、まさに2020年のメディアやマーケティング業界における営業チームを表した言葉といえる。
これまで以上に短いビジネスサイクルで進行した2020年において、各ブランドは発信内容にかつてないほど慎重なり、また広告主はひたすら手堅い戦略に終始した。そのような状況に対応すべく、パブリッシャーやエージェンシーの半数以上が商品やサービスのバリエーションを増やしていたことが、米DIGIDAYの調査で分かった。
米DIGIDAYは2020年の12月初旬、パブリッシャー60社とエージェンシー52社を対象に調査を行い、2021年の見通しや新型コロナウイルスが社員数に与えた影響に至るまで、さまざまな内容のアンケートを実施した。
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この調査の結果、パブリッシャーの半数以上にあたる53%が、2020年になってから、広告商品の数を増やしたと回答している。また、3分の1以上が、商品数は変わっていないと回答し、残りの回答者は減少または不明となっている。
出典:Digidayによるパブリッシャーおよびエージェンシーを対象とした年末アンケート
対象:パブリッシャー60社
こうしたイノベーションが進んだのは、パブリッシャーが緊急事態に陥ったためだ。新型コロナウイルスによるパンデミック下で、パブリッシャーはクライアントに広告投資を促すにあたり独創的な方法を編みだすほかなくなった。とりわけライブイベントのスポンサーを計画していた企業から、その費用を他の広告予算に充てるよう推奨するのは容易ではなかった。
また、従来とは異なるフォーマットや実験的なフォーマットに投資してみようと考えていたブランドの予算は縮小。とりわけブランディング支援を目的として設計された商品が受けた打撃は大きかった。一方で、販売促進やファネル下部の指標に関連する商品への影響は比較的少なかった、とエージェンシー関係者の多くが話している。
サービスのバリエーションを増やしたエージェンシーは若干減少したものの、それでも半数近い47%が増加と回答している。そしてほぼ同じ割合の回答者(エージェンシー)が、提供したサービス数は変わっていないとしている。また、サービス数を「大幅に増やした」と回答したエージェンシーが12%に上っていることが目を引く。これはサービスを減らしたエージェンシーの割合よりも多い。
出典:米DIGIDAYによるエージェンシーを対象とする年末アンケート
対象:エージェンシー52社
一方で、相次ぐ統合によるエージェンシー各社への圧迫が、新サービスの増加をもたらしたという側面も見逃せない。パンデミックにより、多くの広告主がコストカットをせざるを得なくなった。今回の調査でも、利用するエージェンシーの数を減らすことを検討したという回答が多かった。一方で、エージェンシーのなかでも、特にクリエイティブエージェンシーは、さらなる統合を模索し、あるいは統合に向けた準備を重ねているようだ。
[原文:Digiday Research 53% of publishers offered new ad products this year]
MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)