「ネット直販の多くは、投資に見合うかまだ判断できない」:ベイン・キャピタルのスコット・フレンド氏

デジタルシフトの余波は、いまあらためて、小売業界に大きな影響をもたらしはじめた。ベンチャーキャピタルの人間は、投資家としてこの動きを冷静な目で見つめている。

ベイン・キャピタル・ベンチャーズ(Bain Capital Ventures)のマネージングディレクター、スコット・フレンド氏はこれまで、ジェット・ドットコム(Jet.com)やレント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)といった新しい業態の小売業に投資をしてきた。ウォルマート(Walmart)を親会社に持つジェット・ドットコムは、現代のeコーマス業界を支配するAmazonの対抗として、効率性ではなく体験を重視したマーケットプレイス企業。レント・ザ・ランウェイは、女性向けのファッションを定額制でレンタルする、サブスクリプションビジネスを行っている企業だ。

そんな、フレンド氏に3つの問いかけをしてみた。

――小売に関して、いま投資先として関心があるのはどこか?

コマース関連のテクノロジーに注目している。ブランドや小売業者の効率アップを支援するツールだ。次いで、さまざまなタイプの次世代型コンシューマービジネスにも注目している。典型例を挙げると、いまも我々が関わっているが、ジェット・ドットコム(Jet.com)やレント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)がそうだ。

――「次世代型コンシューマー」と言ったが、そこにはDTCブランドも入るのか?

それが正しいかどうかはともかく、プロダクトを販売するデジタルネイティブブランドは、当人の能力を試されるベンチャー投資だと、私はこれまで強く信じてきた。ドッグフードや家具、アパレルなど、みんなから愛されているカテゴリーに組み込まれている優良企業がある。

その一方で、このようなタイプの企業がどうやってベンチャーキャピタルを呼び込んでいるのかは見えにくい。つまり、投資家が得る利益などが。これが次世代型コンシューマーのカテゴリーに入るものの大部分だ。

だが、一部はブランドではなく、プロダクトを消費者に届けるための新たな方法を我々に与えてくれる小売業者だ。その方法は柔軟性に富み、より簡単で速く、安い。AI(人工知能)でパーソナル・スタイリングを行い、それもとにeコマースを提供するスティッチ・フィックス(Stitch Fix)や、遠隔治療を手がけるヒムズ(Hims)のような企業がそうだ。

――総合的に見て、ベンチャーキャピタリストはデジタルネイティブブランドに対して冷たくなっていると思うか?

そう言えるかどうかはわからない。現実に、ますます多くの資金がデジタルネイティブブランドに流れ込んでいるからだ。このトレンドがいつ変わるのか見物だ。

だが、イグジットのバリュエーションについては、大いに疑問といえる。男性向けバスルーム用品を定額制で販売するダラー・シェイブ・クラブ(Dollar Shave Club:2016年にユニリーバ[Unilever]から10億ドル[約1100億円]で買収された)を除けば、それがIPOであれ、M&Aであれ、我々はまだイグジットの例を数多くは見ていない。

DTCの代名詞となっているワービー・パーカー(Warby Parker)やキャスパー(Casper)、ジ・オネスト・カンパニー(The Honest Company)など、資金を調達しているほかの企業がどうなるかを見るまでは、利益が投資に見合うかどうかは判断できないと思う。

Hilary Milnes (原文 / 訳:ガリレオ)