エンタメプラットフォーム企業のチャーニングループ(Chernin Group)のデジタルパブリッシャー、バースツールは新たなライブイベントやペイパービュー事業の計画を前提に、ウェストバージニア州のアマチュアボクシング大会主催者「ラフNラウディブロウル(Rough N Rowdy Brawl)」を買収した。
バースツールは得意分野で一発当てようとしている。
エンターテインメントプラットフォーム企業のチャーニングループ(Chernin Group)所有のデジタルパブリッシャーであるバースツールは、年間12試合以上の新たなライブイベントやペイパービュー(PPV)事業を立ち上げる計画を前提に、ウェストバージニア州のアマチュアボクシング大会主催者、ラフNラウディブロウル(Rough N Rowdy Brawl)を買収した。
バースツールの経営陣は、この取引の金銭的条件の開示を控えている。同社は、この取引の下、バースツールブロウル(Barstool Brawl)という名の新しい事業部門を編成している。バースツールブロウルのプレジデントとしてバースツールスポーツに入社したのは、ラフNラウディブロウルの設立者であるクリス・スミス氏だ。彼を主導に、バースツールスポーツは年間12試合以上のボクシングトーナメントのライブイベントの制作を計画している。チケットは現在もラフNラウディブロウルの名前で制作されているがバースツールは、これらのイベントのチケット販売に加え、自社のWebサイトで各イベントをペイパービュー番組として生中継することも予定している。
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買収を決断した理由
今年はじめバースツールはトーナメント試合をまとめてペイパービュー番組を制作しストリーミング配信した。この番組に対して、視聴者に料金を支払わせることに成功し、ある程度手ごたえを感じた同社は、ラフNラウディブロウル買収の決断を下した。
3月に同社は、2日間のボクシングトーナメントの初日の試合をまとめた4時間の番組を制作した。番組のなかにはバースツールの社員と地元のプロボクサーとの試合が含まれていた。バースツールはその番組に対して1万2500人の視聴者に5ドル(約560円)を支払わせることに成功したのだ。しかも、同番組の制作に携わったスタッフは、同社の設立者のデイヴ・ポートノイ氏を含めわずか数名だった。
「当社がかつてやったことのなかったPPVを制作後、帰って来た瞬間にラフNラウディブロウルを買収したいと思った。当社の視聴者にぴったりの試合で、すぐに視聴者の心を掴んだ」と、ポートノイ氏は振り返る。
コンテンツとエクスペリエンスの所有権は100%バースツールが持っているとパートノイ氏はいう。これは、つい最近ESPNでの深夜のトークショーがわずか1回で打ち切りにされてしまったという経緯があり、物議を醸したのは今回がはじめてではないバースツールにとって魅力的である。
PPVコンテンツの制作体制
バースツールスポーツのCEO、エリカ・ナルディーニ氏によれば、バースツールブロウルでは、制作、プロモーション、管理業務担当のスタッフを含め、約30人がスミス氏のもとで働いている。会場やイベントによってスタッフの人数は若干前後するという。
バースツールスポーツは、各イベントのペイパービュー動画の制作を監督する予定だ。また生配信のペイパービュー番組の準備をし、イベントに向け舞台裏映像を制作するため、3~4名ほどのプロデューサーを送り込むことを予定している。ポートノイ氏によれば、これらのプロモーション動画が、選手のプロフィールを知る機会になり、遺恨試合に向け視聴者のテンションを上げる材料となり、試合に向けその他のストーリーを伝える役割を担うという。また、バースツールのパーソナリティーがペイパービュー番組の解説を務める予定だ。
コンテンツはすべてバースツールのWebサイトで配信される予定である。また、バースツールのSNSでは、プロモーションコンテンツの配信も予定されている。
ペイパービュー以外の収益
バースツールは、バースツールブロウル主催のイベントで売上を得るさまざまな方法を見込んでいる。視聴者がPPV番組に支払う料金からの収益に加え、イベント自体のチケット販売からの収益を期待される。さらにバースツールは商品の販売も行っている。ナルディーニ氏の以前のインタビューによると、商品の売上は同社の収益の3分の1以上を占めているという。また、「理にかなっている」場合はいつでも、同社はトーナメントのために広告スポンサーを取り込もうとすると、ナルディーニ氏はいう。
「バースツールのファン層は根強く熱狂的で、私たちのあらゆる事業を支援してくれる。こういったイベントは、消費者の方々と直接つながりを持つ手段である。私たちは視聴者のためだけに仕事をしている。外部からの影響は一切ない。したがって、バースツールを嫌いだという人は私たちについて苦情を言うことはできないし、私たちのやっていることを妨害できるものは一切ない。だからこそ、バースツールは自分たちの運命を自分たちの手でコントールできる有利な立場に立てているのだ」と、ポートノイ氏はコメントしている。
SAHIL PATEL(原文 / 訳:SI Japan)
Image via Barstool Sports