クリックではなく、読者がサイトに滞在した時間に基づいて広告を販売する「タイムベース」の流れは、パブリッシャーのあいだで、ますます勢いを得ている。ダウ・ジョーンズやテレグラフといった20社以上がお互いに協力しつつ、タイムベース取引について模索しているのだ。
クリックではなく、読者がサイトに滞在した時間に基づいて広告を販売する「タイムベース」の流れは、パブリッシャーのあいだで、ますます勢いを得ている。ダウ・ジョーンズやテレグラフといった20社以上がお互いに協力しつつ、タイムベース取引について模索しているのだ。
クリックではなく、読者がサイトに滞在した時間に基づいて広告を販売する「タイムベース」の流れは、パブリッシャーのあいだで、ますます勢いを得ている。ダウ・ジョーンズやテレグラフといった20社以上がお互いに協力しつつ、タイムベース取引について模索しているのだ。
この流れにはディスプレイ広告にまつわる大きな課題が関わってくる。ディスプレイ広告の約半分は見られておらず、広告主にとっては予算の無駄遣いになってしまっているという問題だ。米マーケティング分析企業モート(Moat)によると、デスクトップでは56%、モバイルに至ってはたった45%しか、ディスプレイ広告が読者に視認されていないという。
20数社が定期的に会合を開催
そんななかパブリッシャーたちは、より大きくて派手な視界を遮るタイプの広告をつくることを広告主に求めるのではなく、読者のアテンションを得た場合にだけ課金をしようとしている。米デジタル広告コンサルタント企業614グループ(614 Group)がロンドンで開催した「ブランド・セーフティ・サミット」のパネルにおいて、モートのプレジデントであるアニク・ラーマン氏は、次のように述べた。
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「25社以上のパブリッシャーが時間とアテンションにもとづいた販売を模索している。それは1クリックごとではなく1秒ごともしくは1時間ごとのコスト、という販売形式になるかもしれない。(読者の)アテンションは希少な資源であり、マーケターはそれに値段をつけようとしている。それをどうやって計るべきか、我々は探っているところだ」。
そのために20数社のパブリッシャーが定期的に会合を開き、お互いに情報共有をしているという。新しい情報の多くは、ファイナンシャル・タイムズ(以下、FT)からもたらされる。同社は初期のタイムベース販売において成功しているからだ。2015年9月の段階ではCPH(コスト・パー・アワー)はFTが提供するインプレッションの7%であったが、現在は12%にもなっている。これはBPやマイクロソフトといったクライアント向けの約31個のキャンペーンにおける数値だ。それらについて、クライアントは広告が5秒以上見られた場合のみ、料金を支払っているということになる。
CMOのあいだで受けが良い
エコノミストも同じアプローチを導入している。同社でデジタル製品売上担当グローバル責任者を務めるアシュウィン・スリダー氏は2016年2月に、タイムベースでのキャンペーン第1弾の結果について米DIGIDAYに語った。
エコノミストは、彼らにとって3回目となるタイムベース・キャンペーンをはじめており、5秒以上の「能動的な」視認時間に対してディスプレイ広告インプレッションの支払いを請求している。この時間には、マウスもしくはキーボードを使って、画面をスクロールしている時間も含まれるという。
「ビューアビリティだけに限って購入をする広告主は、結果的により少ない時間しかオーディエンスから獲得できていないというリサーチ結果が出た。我々のリサーチ結果と分析を広告主と共有し、ビューアビリティか、(オーディエンスの)アテンションか、どちらにもとづいた購入をするのか賢く選んでもらうように頼んでいる。多くの場合、彼らは後者を選ぶ」と、シュライダーは語った。
FTとエコノミストは、どちらもハイブリッド式の広告モデルと、定期購読(サブスクリプション)モデルを持っており、ブランド構築キャンペーンを多く実施している。これはマーケターにとっては、特に魅力的だ。モートのラーマンは次のように語る。
「特にCMO(最高マーケティング責任者)のあいだで受けが良いという認識だ。ラグジュアリー・ブランドのマーケターたちは、特別に興味を示している。高級時計やハンドバッグをディスプレイ広告から購入する人なんていない」。
腰が引けてる制作会社
しかし、オーディエンスに長く滞在してもらうためには、クリエイティブ面が強くないといけないと、彼らは言う。「『エージェンシー』と口にするとき、私たちはメディア・エージェンシーのことを主に言っている。しかしクリエイティブ・エージェンシーにはより大きな役割がある。というのも読者のアテンションを惹きつけるという面で、クリエイティブは非常に重要だからだ」。
理論上は、タイムベース方式がどれだけ良い売上パフォーマンスを見せているかに関して、メディア・エージェンシーから多くのデータを得ているクリエイティブ・エージェンシーほど、より賢い決断をすることができるということになる。
「その一方、クリエイティブ・エージェンシーは依然として、オンライン広告はテレビよりも重要でないと考えているのが問題である」と、テレグラフ・グループの売上・取引ディレクターであるジム・フリーマン氏は指摘する。「彼らはもっとオンラインが重要だと思わないといけないし、彼らのクライアントもそう主張するべきだ」。
Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)
Photo by Thinkstock / Gettyimage