アバウトドットコム(About.com)は5月2日(米国時間)、新しい社名が「ドットダッシュ(Dotdash)」になることを発表した。CEOのニール・ボーゲル氏は、「ドット」は同社の古いロゴの中心にあったピリオドを生かしたもので、「ダッシュ」は次の何かへ向かって物事が動くときに使われる記号だと語った。
アバウトドットコム(About.com)は5月2日(米国時間)、テクノロジーの祭典「コリジョン・カンファレンス(Collision Conference)」において社名変更を発表した。新しい社名は「ドットダッシュ(Dotdash)」だ。
新社名には複数の意味が込められている。アバウトドットコムの最高経営責任者(CEO)であるニール・ボーゲル氏は、「ドット」は同社の古いロゴの中心にあったピリオドを生かしたもので、「ダッシュ」は次の何かへ向かって物事が動くときに使われる記号だと語った。
さらに、ドットとダッシュの組み合わせは、モールス信号で旧社名に含まれる「About」の「A」を表す。ボーゲル氏によると、これは「ちょっとしたイースターエッグ」だそうだ。
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ブランド再生のプロセス
今回の社名変更は、創設から20年を迎えようとしているアバウトドットコムの2年におよぶブランド再生プロセスに伴うものだ。1997年にザ・マイニング・カンパニー(The Mining Company)としてスタートを切った同社は、昨年の春にボーゲル氏の決断を受け、ひとつのポータルサイトを5つのバーティカルサイトに分けるというブランド再生プロセスを開始した。その皮切りとなったのが、ヘルスサイト「ベリーウェル(Verywell)」だ。
ほかのメディア企業も同じ戦略を取り、広告主との関係を改善しようとしている。ハフポスト(HuffPost)もブランド再生に取り組んでいて、4月からハフィントン・ポストから改称したばかりだ。
アバウトドットコムのブランド再生プロセスは、5月中に開設する旅行をテーマにしたサイトをもって、ようやく終了する。ボーゲル氏は、トレードマーケティングのキャンペーンも伴うマーケティングを推し進めるために、社名を変えたかったという。同氏はキャンペーンについて「大金をかけるつもりだ」と述べたが、詳細は語らなかった。
なぜ、このタイミングか?
アバウトドットコムの親会社でインターネット事業会社のIACがアバウトドットコムのブランド再生を決めたのは、知名度はあるものの、扱う記事の範囲が広すぎて、ある特定のテーマについて知りたいときに見に行くべきリソースと思われていなかったからだ。
つまり、ボーゲル氏が言うように、「アバウトドットコムの100%のブランド認知に助けられているだけで、この助けがなければ我々はゼロだった」わけだ。

ドットダッシュの新しいロゴ。黒い囲み枠は含まれない。
新しいメディア複合体には、コマースサイトもあれば、動画サイトもあり、広告業者に新たな機会を提供するサイトもある。それぞれをエージェンシーに改めて自己紹介をする必要があると、ボーゲル氏は感じている。
ボーゲル氏は、バーティカルサイト開設のプロセスが少なくとも部分的に完了するまで、社名変更を待ちたかった。新社名について人々がどう思おうと構わないが、エージェンシーやブランドが馴染んできた会社と違うものだというイメージをもたれるケースがあったからだ。ヤフーとAOLを合わせた新ブランド、オース(Oath)や、トリビューン・パブリッシング(Tribune Publishing)から社名を変更した米新聞大手トロンク(Tronc)が冒した過ちを繰り返したくはなかった。両社は、まだ一緒に活動しはじめていない複数の異種部門を無理矢理にくっつけてしまった。
エージェンシーの見方
シーゲルプラスゲール(Siegel+Gale)のデジタルエクスペリエンス部門でディレクターを務めるリーサ・ワイトック氏は次のように述べている。「このやり方は(新ブランドへの)コミットメントに関わるリスクを排除するのに役立つ。うまくやり遂げられれば、ブランドとしては実に賢いB2Bのやり方だ。B2Bで大切なのはパートナーシップなのだから」。
ブランド戦略企業のリッピンコット(Lippincott)でCEOを務めるリック・ワイズ氏は、「一般消費者に向けた提供物という領域から抜け出し、はっきりと広告コミュニティーに語りかけるような新社名をつけることは、大いに理にかなっている」と述べた。
Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)