2007年に設立され、およそ10年もの間デジタル上で活動してきた総合スポーツメディア「ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)」は、ソーシャルメディアを良く理解している。1年前にソーシャルメディアで通用していた戦略も、現在は通用しないかもしれないことを当然知っているのだ。
現在、「ブリーチャー・レポート」は親企業であるターナー・ブロードキャスティング(Turner Broadcasting)から1億ドル(約108億円)もの投資を受け、20人ものプラットフォームコンテンツクリエイターを雇い入れようと計画している。最終的な目標は、Facebook、インスタグラム、VineやSnapchatで配信するオリジナルコンテンツを制作する35人体制のソーシャルコンテンツ部隊を作り上げることだ。これらのオリジナルコンテンツは生中継されているスポーツとタイアップされ、それぞれのプラットフォームで配信される。
2007年に設立され、およそ10年もの間デジタル上で活動してきた総合スポーツメディア「ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)」は、ソーシャルメディアを良く理解している。1年前にソーシャルメディアで通用していた戦略も、現在は通用しないかもしれないことを当然知っているのだ。
現在、「ブリーチャー・レポート」は親企業であるターナー・ブロードキャスティング(Turner Broadcasting)から1億ドル(約108億円)もの投資を受け、20人ものプラットフォームコンテンツクリエイターを雇い入れようと計画している。最終的な目標は、Facebook、インスタグラム、VineやSnapchatで配信するオリジナルコンテンツを制作する35人体制のソーシャルコンテンツ部隊を作り上げることだ。これらのオリジナルコンテンツは生中継されているスポーツとタイアップされ、それぞれのプラットフォームで配信される。
スポーツの試合の見所を配信することはとても簡単で、「ブリーチャー・レポート」もその役割をまっとうしている。しかし、「彼らには期限がある」と、同社の社長であるロリー・ブラウン氏は語る。これは、ソーシャルメディア部隊が最重視している問題に、「人々が12時間や24時間後も話題にするコンテンツを作るにはどうすれば良いのか」というものがあるからだ。
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プラットフォーム時代に適応するために
ほかのパブリッシャーと同様に、「ブリーチャー・レポート」もプラットフォーム時代に適応するために試行錯誤を繰り返している。しかし、「ブリーチャー・レポート」が他社と異なる点は、プラットフォームでできる限りオーディエンスにリーチし、利益のことは後で考えるというスタンスだ。2016年3月のはじめに米DIGIDAYのポッドキャスト企画にブラウン氏が出演した際、「プラットフォームを活用しないパブリッシャーは最終的に非常に『困ったこと』になる」と発言している。
現在、多くの人々がパブリッシャーのサイトからではなく、ユーザーそれぞれのソーシャルフィードのリンクから訪問してくるため、オリジナルコンテンツの制作が急務となっているのだ。この需要により、ブラウン氏はより洗練された戦略が必要になると考えている。だからこそ、彼が「ライターズ・ルーム・メンタリティー(writer’s room mentality:ライター部門の考え方)」と呼ぶ、特定プラットフォームへのオリジナルコンテンツの制作に特化した人材を集めたチームを作ろうとしている。現段階ではまだ15人しか集まっていないが、多くのスポーツの試合を観戦し、ソーシャルメディアに配信するオリジナルコンテンツのアイデアを練っているという。
インスタ、Vineでの実例
特に、毎年3月から4月にかけて開催される、全米大学体育協会男子バスケットボールトーナメント「マーチ・マッドネス(March Madness)」は、オリジナルコンテンツ制作のための良い材料だ。以前に開催されたとき、北アイオワの選手が信じられないような逆転ゴールを決めたことがあった。人々はそのシュートについて翌日も盛り上がっていたため、「ブリーチャー・レポート」は90年代に公開された映画『エンジェルス(原題:Angels in the Outfield)』のいくつかのシーンを、その試合のハイライトに盛り込んだ。これについて、ブラウン氏は「人々はノスタルジアを好む」と話している。
一方、Vineの方では、マイアミの選手の動きが止まったところに、ゲーム機のワイヤレスコントローラーの再接続を促すメッセージを表示させ(「ブリーチャー・レポート」の若いゲーマー男性読者ならば理解できるジョークだ)、410件ほど拡散された。
オリジナルコンテンツの製作を正しく行えば、オーディエンスは共有したり、コメントを残してくれる。そうすれば、「ブリーチャー・レポート」のフォロワー数も確実に増えるのだ。実際、映画『エンジェルス』のシーンを盛り込んだコンテンツは5日間で7万8100件のいいね!を獲得している。また、別の「マーチ・マッドネス」コンテンツを配信したときでは、Twitterのフォロワー数が一気に3万人も増えたこともある。現在、「ブリーチャー・レポート」のTwitterのメインアカウントには230万人ものフォロワーがいる。
群を抜いたインタラクション
スポーツパブリッシャーにとって、リアルタイムで起きていることの一部になることはとても重要なことだ。しかし、ニュースになるような大きな出来事は毎日起こるものではない。HBOのテレビドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」を模した短編アニメーションにNBAのプロ選手を登場させたコンテンツを配信するなど、「ブリーチャー・レポート」のソーシャルメディアチームはスポーツファンたちを楽しませるためのオリジナルコンテンツを作っている。
ソーシャルメディア分析企業クラウドタングル(CrowdTangle)の共同創設者であるブランドン・シルバーマンCEOは、「ブリーチャー・レポート」の意欲的なソーシャルメディア戦略について、支配的だと話している。Facebookではほかのスポーツパブリッシャーと比べて圧倒的に優勢な立場にいて、インスタグラムでも順調に成長を続けている。Vineでも著しく目立つ存在になっているからだ。
「今年に入ってすでに3500万回以上のインタラクションを獲得している。これはFacebookを利用するほかのスポーツパブリッシャーと比べても群を抜いている」と、彼は話す。「また、『ブリーチャー・レポート』はスポーツ以外の分野でも他社と競っている。ハフィントン・ポスト、CNN、BBC、テレビ番組のトゥデイ(Today Show)、やBuzzFeedとは常に競い合っているが、彼らに勝利するときもある」。
オリジナルコンテンツの製作には多額の費用が必要になる。また、収益化の方法が明確になっていないため、他社のプラットフォームにオリジナルコンテンツを配信することに不安を感じるパブリッシャーも多い。しかし、ブラウン氏は収益化よりも、「ブリーチャー・レポート」のブランド力向上を懸念している。ブラウン氏は、広告主がスポーツイベントに興味を持っていることを知っているため、「ブリーチャー・レポート」のオリジナルコンテンツに広告主を付けることは難しいことではないと考えている。
Lucia Moses(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Thinkstock / Getty Images