オンラインマーケットプレイスのザッポス(Zappos)は、ブーツからビルケンシュトック(Birkenstocks)まで、20年以上に渡りあらゆるものを顧客に販売してきた。そして今、拡大中のザッポスアットワーク(Zappos at Work)プログラムを通じて、B2BおよびB2Cの関係も拡大しようとしている。
このプログラムは2018年に開始されたもので、企業とその従業員がオンラインポータルにアクセスし、仕事のニーズを満たす安全靴の厳選されたコレクションを見られるものだ。労働者はカーハート(Carhartt)、スケッチャーズ(Skechers)、ティンバーランドプロ(Timberland Pro)など数百ものブランドの中から、ブーツやスリッポンなどのスタイルを選ぶことができる。参加したい企業は無料でアカウントを開設し、従業員の購入情報が随時入手できる。すべての注文は送料無料で、返品も無料だ。
ザッポスは、ザッポスアットワークの運用を開始して以来、数十の企業と関係を築いてきた。最初のパートナーはデルタ航空(Delta)の1社だったが、現在は、チューイー(Chewy)、ブルーオリジン(Blue Origin)、Amazonなど100社を超える。ザッポスによれば、ザッポスアットワークの年平均成長率は135%だという。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
オンラインマーケットプレイスのザッポス(Zappos)は、ブーツからビルケンシュトック(Birkenstocks)まで、20年以上に渡りあらゆるものを顧客に販売してきた。そして今、拡大中のザッポスアットワーク(Zappos at Work)プログラムを通じて、B2BおよびB2Cの関係も拡大しようとしている。
このプログラムは2018年に開始されたもので、企業とその従業員がオンラインポータルにアクセスし、仕事のニーズを満たす安全靴の厳選されたコレクションを見られるものだ。労働者はカーハート(Carhartt)、スケッチャーズ(Skechers)、ティンバーランドプロ(Timberland Pro)など数百ものブランドの中から、ブーツやスリッポンなどのスタイルを選ぶことができる。参加したい企業は無料でアカウントを開設し、従業員の購入情報が随時入手できる。すべての注文は送料無料で、返品も無料だ。
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ザッポスは、ザッポスアットワークの運用を開始して以来、数十の企業と関係を築いてきた。最初のパートナーはデルタ航空(Delta)の1社だったが、現在は、チューイー(Chewy)、ブルーオリジン(Blue Origin)、Amazonなど100社を超える。ザッポスによれば、ザッポスアットワークの年平均成長率は135%だという。
安全靴のB2B販売
ザッポスのビジネス開発ディレクターを務めるクリスティ・ハウザー氏は、「ほとんどの組織には、業務を安全にこなすため、保護靴を必要とする従業員がいる」と米モダンリテールに語った。「Googleの経営から小規模な家族経営の組織まで、配達など特定の手作業を行っている従業員がいることがわかる。このような手作業は、スリップや転倒、落下などが発生する恐れがあるため、最良のフットウェアを支給する必要がある」。
ザッポスは、独自の安全靴の販売や開発は行っておらず、耐久性のあるフットウェアを見つけるためにブランドやプログラムの参加企業と協力している。ザッポスアットワークの参加企業は、従業員の行う作業に応じて、それぞれニーズが異なると考えられると、ハウザー氏は指摘する。この2年間は、靴ひもでは引っかかる、または危険があるような機械で作業する人々のために、各ブランドと協力して、面ファスナー付きのベルクロシューズと、アダプティブ安全靴を製作した。
ザッポスアットワークの参加企業には、それぞれの要件に適合する商品を扱うストアのパーソナライズURLが与えられる。従業員はそのストアにアクセスし、バウチャーを使って、目的のサイズの靴を購入できる。バウチャーによって、シューズのコストは従業員ではなく参加企業が負担することになる。ザッポスは参加企業からの注文に10%以上の割引を行う。
安全靴の多様なトレンド
ザッポスアットワークの運用が開始されてからの5年間で、作業用フットウェアの業界には「劇的な」変化があったと、ハウザー氏は語る。たとえば、作業員は何十年にもわたって、「ほとんどの人が安全靴と聞いて想像するような」つま先に金属を付けた重い安全長靴の靴ひもを結んできたと、同氏は述べる。しかし今日では、同じように頑丈でありながら、カーボンファイバー、プラスチック、ファイバーグラスなど、非金属の材料を使ったコンポジット安全長靴を発売するワークウェアブランドが増えてきた。これらのシューズははるかに軽量で、現場にある金属検出器にも引っかからない。
今日では、アスレチックシューズの要素を取り入れた安全靴のブランドも増えている。ザッポスアットワークでもっとも人気がある2大ブランドは、プーマ(Puma)とリーボック(Reebok)だ。これは、Covid以後に現場での仕事をはじめる若い人々や新卒者の数が増えているのが理由だと、ハウザー氏は語る。「これらの人々は大きくて重い安全長靴を履きたがらない。軽くてクールでアスレチックなものを求めている」。
これは、フットウェアのより多様なトレンドを反映していると、サカーナ(Circana)でフットウェア業界アナリストを務めるベス・ゴールドシュタイン氏は語る。「フットウェアのほかのカテゴリーと同様、快適性がより重要になってきた。それにより、緩衝性や通気性が重視されるとともに、通常のフットウェア業界で起きているのと同じ現象が見られるようになった。たとえば、ファッションとアスレチックの境界があいまいになり、アッパーはファッション性が高いが、ボトムはスニーカーといったものが出現した」。
女性向けの安全靴が増加
ほかの大きな変化として、労働人口にもっとも大きな意味を持つのは、女性に特化した安全靴を製造するブランドが増えたことだと、ハウザー氏は指摘する。何十年にもわたって、ブランドは既存の男性向けシューズの靴型を単に小さくし、きれいな色にすることで女性向けにする、いわゆる「ピンクアンドシュリンク(小さくしてピンクにする)」手法を採用してきた。今では、各ブランドは女性の足に合わせた比率の女性専用の靴型を使用するようになってきている。
建設や商業の業界で働く女性が増えてきたことから、ザッポスアットワークは女性向けワークウェアを求める声を多く受け取るようになった。現在では約600の女性向けスタイルと、約600の男性向けスタイルが存在する。「すべてのパートナー企業が、男性向けと女性向けで同じ数の選択肢を従業員に提示できるように公平性を重視している。5年前なら、これは無理難題だった」と、ハウザー氏は述べている。
安全靴に関心を抱いているのはザッポスだけではない。ゴールドシュタイン氏は、パンデミックの前と比べて、女性向けの安全靴は男性向けの「2倍の速さで」成長したという。政府のデータによれば、米国の建設労働力のうち、女性は11%にすぎないが、この数値は次第に増えつつある。カーハートなど一部のワークウェアブランドは、この分野で女性の割合を増やすため、助成プログラムを開始した。
特定分野に特化するブランドも
小規模なワークウェアブランドが、特定分野の作業員を対象にすることでシェアを獲得する例も増えている。たとえばフィグス(Figs)、ジャーヌー(Jaanuu)、クローブ(Clove)は医療従事者向け、ティリット(Tilit)やヘドリーアンドベネット(Hedley and Bennett)は調理業界に商品を供給し、ブラントワークウェア(Brunt Workwear)とトゥルーワーク(Truewerk)は建設やトラック輸送向けのアパレルを提供し、アップインスモーク(Up In Smoke)は溶接工向けにマーケティングを行っている。これらの企業の多くは、ティリットやブラントのように、実際にその業界で働いた経験がある人々により創設されたブランドだ。
法人顧客向けにワークウェア・プログラムを設置している企業はザッポス以外にもある。たとえばブートバーン(Boot Barn)には、ウェブサイトによると、「ユーザーフレンドリーなカスタムB2Bポータル」があり「他社に負けない価格設定」で、ブートバーンワーク商用アカウント(Boot Barn Work Commercial Accounts)を提供している。ブートバーンはザッポスとは異なり、実店舗を持ち、企業クライアントが訪問してフットウェアを試着できる。
全体として、安全靴については、「毎年多くの動きがあるのは歓迎すべきことだ」とハウザー氏は語る。「人気商品が90年代から変化していないような、伝統的に動きの鈍い業界と比べ、多くの新しいスタイルがひっきりなしに生み出され、四半期ごとにいくつもの新たなブランドが参入している」。
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Zappos