YouTube TV で進行する、さまざまな広告モデル実験:各デジタルネットワークが柔軟に対応

「YouTube TV」にチャンネルを開設しているデジタルビデオネットワークは、YouTubeから放映料をもらっていない(ただし、YouTubeがネットワーク各社に放映料の問題を再検討すると伝えているため、来年には変わる可能性がある)。にもかかわらず、デジタルネットワーク各社は、このリニアTVサービスに価値を見出している。

テイストメイドの実験

YouTube TVでは、2018年中にYouTubeが広告の販売を始める予定だ。だがいまは、ザ・ヤング・タークス・ネットワーク(The Young Turks Network)やテイストメイド(Tastemade)といったデジタルネットワークが、自社チャンネルの広告インベントリー(在庫)を取り扱うことができる。そのため彼らは、このTVのような広告インベントリーを使って、さまざまなアドロード(広告掲載回数)や広告フォーマットを試している。従来型のTVネットワークが、TV広告のユーザー体験を見直す実験を行っているのと同じようにだ。

「30分単位で番組を構成すれば、かなり柔軟にいろいろな実験ができる」と、テイストメイドのプログラミング部門を率いるオレン・カッツェフ氏は述べている。

テイストメイドでは、25分の本編に5分のCMという構成の30分番組を制作している。しかし同社は、さまざまな手法を試しているところだ。たとえば、30秒の広告が6本という従来の3分間の広告インベントリーを、3分の広告が1本というインベントリーに変更して、1社のブランドスポンサーに販売できるとカッツェフ氏はいう。

期間限定の広告枠

YouTube TVの広告枠をブランデッドコンテンツに利用すれば、YouTube TVのインベントリーが抱える制約をカバーするのに役立つ。その制約とは、ターゲティングができないことだ。YouTube TVでは配信する番組内に広告を組み込む必要があるため、自社のチャンネルのオーディエンスをセグメント化してターゲット広告を流すことができないと、ヤング・タークスの最高業務責任者、スティーブン・オー氏は、米DIGIDAYが5月22日に開催したビデオサミット(Video Summit)で述べている。

だが、ターゲティングができない一方で、ネットワーク各社がさまざまな工夫を行ってブランドに広告を売り込むことができるという、従来のインベントリーにはない特徴がある。そう指摘するのは、クリエイティブエージェンシーのメディアキッチン(The Media Kitchen)のアソシエイトディレクター、フランシス・ジョルダーノ氏だ。「(YouTube TVは)すべてのブランドがテストを行うべきインベントリーだと断言できる。たとえ、自社のブランドに適したプラットフォームではないとわかっていてもだ」と、ジョルダーノ氏は語った。

もっとも、YouTubeの広報担当者によれば、デジタルネットワークが自社のチャンネルのインベントリーを販売できるのは、YouTubeがYouTube TVをアドバイイングプログラムの「Google Preferred(グーグル・プリファード)」に追加するまでのあいだだ(ただし、詳細は明らかにされていない)。それ以降は、YouTubeがYouTube TVの各チャンネルの広告を販売し、その収益をデジタルビデオネットワークと分け合うことになる。

デジタルだけではない

このように、新しい広告を試せる期間が限られていることから、広告主の関心は弱まっていくかもしれない。それに、YouTube TVの広告インベントリーを管理するようになったあとに、YouTubeがさまざまなアドロードを実験するかどうかはわからない。だが、デジタルネットワーク各社の実験の成果をみたYouTubeが、1時間番組で16分の広告枠という従来のフォーマット以外の広告を試そうと考える可能性はあるだろう。

いずれにしても、16分の広告枠が終わろうとしているのは間違いない。従来のTV広告フォーマットを見直しているのは、YouTube TVのデジタルネットワークだけではないのだ。数年前には、ターナー(Turner)傘下のケーブルネットワークであるトゥルーTV(TruTV)が、広告の時間を減らす取り組みを開始。いまでは、TBSやTNTといった兄弟ネットワークも追随している。また、NBCユニバーサル(NBCUniversal)やフォックス(Fox)が、最長6分という単一の広告枠を計画していると報じられている

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)