「 YouTube Gaming 」終了は、Twitch の出鼻をくじくか?:母体統合で影響力を拡大

YouTubeは9月18日(米国時間)、スタンドアロンな「YouTube Gaming(YouTubeゲーミング)」アプリの提供を2019年月3月で終了すると発表した。このアプリは、Amazonの「Twitch(ツイッチ)」に対抗して2015年7月に公開されたものだが、より大きなプラットフォームにゲームを統合することで、YouTubeは、ゲーム動画以外に範囲を拡大しようとするTwitchをかわそうとしているのかもしれない。

ルースター・ティース(Rooster Teeth)のパートナーシップ担当シニアバイスプレジデントであるルイス・メディナ氏は、「これらのプラットフォームすべてからわかったことは、ゲーマーの関心や好みは多様だという、我々が以前から知っている結論だった」と述べる。ルースター・ティースは、他のタイプのコンテンツとともに、ゲーム動画を制作するデジタルエンターテインメント企業だ。

YouTube Gamingは、オーディエンス間で強い牽引力を発揮したことがないように見える。デジタルメディア企業セオリストメディア(Theorist Media)の共同創設者で最高執行責任者(COO)のステファニー・パトリック氏は、2018年のインタビューで、「誰もそれを使っていない」と話した。セオリストメディアはYouTubeとTwitchでゲーム関連チャンネルを運営している。アプリ市場データを提供するアップアニー(App Annie)によると、9月23日現在、Android版YouTube Gamingのランキングは、米国内ではエンターテインメントアプリで第235位なのに対し、Android版Twitchは同カテゴリーで第13位だ。アップアニーはそれぞれのアプリのiOS版について同条件での数値は持っていない。YouTubeはこのアプリをもはや必要としていないようだ。

Twitchとの攻防

3年前のYouTube Gaming公開以来、YouTubeは、Twitchと同等になろうと努力を積み重ねてきたし、TwitchはYouTube Gamingを意識してきた。YouTube Gamingのアップデート時には、ライブチャットができる改良されたライブストリームや、動画の広告収入を補うために視聴者がクリエイターに直接お金を支払えるツールなど、Twitchの人気機能を採り入れてきた。同じ頃Twitchは、クリエイターが事前に録画した動画をアップロードして、人々がYouTubeでしているようにオンデマンド視聴できるようにすることでライブストリーミング以上の存在になろうとすると同時に、Twitchに動画を配信するようゲームとは縁のないYouTubeクリエイターを勧誘している。

Twitchがゲームとは縁のないクリエイターを獲得しようとしているのに対し、YouTubeは彼らをしっかり維持し続けようとしている。たとえば個々のチャンネルにお金を払って購読するオプションなど、もともとはゲームクリエイターのために作った機能を全クリエイターに公開している。その意味では、YouTube GamingはYouTubeにとってより大きなプラットフォームを補強するためのテストベッドになってきた。「YouTube Gamingアプリについて考えるとき、機能セットのことをより意識する。そうした機能は、より広範囲なYouTubeプラットフォームにゆっくりと統合されている。だからこれは、すでに起こっているプロセスを完了させる最終プロセスのようなものだと感じている」と、メディナ氏はいう。

YouTubeは現在、サイズと範囲を全体的にテコ入れしようとしているようだ。YouTubeによると、2017年は2億人以上が500億時間以上をゲーム動画を視聴して過ごしたそうで、YouTubeにゲームを取り込むことで、ゲーマーにゲームと関係のない動画を勧めて、彼らをプラットフォーム上により長くいさせることができるだろう。ゲームを中心に視聴している人がゲームと関係のない動画を見るようになれば、YouTubeのアルゴリズムはそれをシグナルとして利用し、そのカテゴリーにうっすら関心を持っている視聴者にどのゲーム動画を勧めるかを決めることができるだろう。

ネットワーク効果

YouTubeの製品管理担当ディレクターは、アプリの終了を伝える公式ブログの投稿に「YouTube Gamingアプリには根強く、活動的なオーディエンスがいるが、我々がリーチできるゲーマーの数は、YouTubeのほうがはるかに多い」と書いた。

「これらのプラットフォームを総合的に考えるとき、それらを有益もしくは価値あるものにしているものの多くはネットワーク効果だ」とメディナ氏は話す。

YouTubeのネットワーク効果はすでに、Twitchのクリエイターの引き入れに役立っている。2018年第1四半期以来、TwitchのトップストリーマーたちがTwitchのライブストリームの録画映像をYouTubeにアップロードして、YouTubeの成熟した広告プラットフォームを活用している、と語るのは、ゲームクリエイターを専門に扱うタレントマネージメント会社ベント・ピクセルズ(Bent Pixels)の最高経営責任者(CEO)、マイク・プザテーリ氏だ。「まさにこの戦略で、45日間で収入0から10万ドル(約1100万円)以上になったストリーマーがいた」と、プザテーリ氏は話した。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)