この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。 インスタグラムは動画ショッピング機能の一部を断念するかもしれないが、YouTubeは […]
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
インスタグラムは動画ショッピング機能の一部を断念するかもしれないが、YouTubeはその機能をさらに追加している。
6月21日から24日に開かれたヴィッドコン(VidCon)にて、YouTubeドロップショップ(YouTube Drop Shop)が開催され、アリーヤ・ゲイナー氏(@AllyiahsFace、YouTube登録者数77万2000人)、キャシー・ホー氏(@Blogilates、登録者数860万人)、クリステン・ドミニク氏(@christendominique、登録者数450万人)、シドニー・モーガン氏(@sydneymorgan、登録者数500万人)、そして非公開のゲストといった豪華な顔ぶれが参加した。このイベントは、YouTubeが過去1年間にショッピング関連のインフルエンサーの新たなマネタイズ機能を発表してきたなかで行われた。
Advertisement
クリエイターを対象とした新しい機能
6月14日、YouTubeは登録者数2万人以上のクリエイター全員を対象としたアフィリエイトプログラムの正式なローンチを発表した。YouTubeでショッピングコンテンツパートナーシップの責任者を務めるブリジット・ドーラン氏は、このプログラムのベータテストが、昨年第4四半期からセフォラ(Sephora)やアルタ・ビューティ(Ulta Beauty)などの小売業者で「非常にうまくいっている」と述べている。またYouTubeは、フェンティビューティ(Fenty Beauty)やグロシエ(Glossier)などのブランドも採用している「ショッパブルショート(Shoppable Shorts)」機能を大々的にアピールしてきた。ショッパブルショートは2022年11月にローンチされた。
ドロップショップでのショッピング体験は、参加者が没入して商品とふれあうことができる4つの主要なエリアを中心に展開され、連日さまざまなクリエイターが商品を紹介するライブドロップが行われた。参加者がこの体験にアプローチすると、ATMのような機能の「スレイTM(Slay-TM)」に遭遇し「スレイバックス(Slay Bucks)」という仮想通貨を受け取ることができる。この通貨はドロップショップで販売されている実際の商品の購入に使える。ドロップショップにあるすべての商品にはQRコードがついていて、その商品についてクリエイターが語る動画にリンクされている。ファンはドロップショップでスレイバックスをひとつの商品と交換したり、追加のドロップを実際のお金でオンライン購入したりできる。また一部の商品はサプライズでドロップされるなど、期待感や発見といった要素もある。
美容インフルエンサーであるモーガン氏は、今回のイベントを利用して、自分のロゴをあしらったマジックメイクアップタオルや新しいリップグロスのシリーズを販売する。
「私はショッパブルYouTubeショートやアフィリエイトマーケティングを活用してきた。自分のファンが、私が実際に使っているものをオーガニックな形で目にして、それを簡単に購入できるという点が気に入っている。この機能はとても使いやすく、もっと多くのブランドが参入するのが待ち遠しい」とモーガン氏はeメールで述べた。
ショッピング機能の開発にとって美容は重要なカテゴリー
美容はYouTubeのショッピング機能開発において重要なカテゴリーであり、同プラットフォームはここ2年間、毎年恒例のYouTubeビューティフェスティバル(YouTube Beauty Festival)のスポンサーを務めている。
美容は「本質的にショッピングできる」ものであり、メイクアップチュートリアルはショッピングコンテンツの「もっとも実証的な」形として機能していると、ドーラン氏は言う。
ドーラン氏は、ウラヘンリクセン(Ole Henriksen)、グロシエ(Glossier)、MAC、ニューフェイス(NuFace)、フェンティビューティなど、ドロップショップに参加するいくつかの注目ブランドを明らかにした。この多様なラインナップは、美容、ファッション、テクノロジーなど、複数のカテゴリーにまたがっている。
改善されたアフィリエイトプログラム
インスタグラムが今年初めにライブストリームのショッピング機能だけでなく、ショッピングタブも断念した時点でさえも、YouTubeはあらゆる形態のソーシャルショッピングに賭けている。テッククランチ(TechCrunch)の報道によると、Meta(メタ)ではいくつかのライブストリームショッピングのテストで売上がゼロだったため、「効率化の年」の一環としてその機能を削除する結果となった。
「ショッピングのためのショートとライブの場所が存在する点に関して、当社はかなり強気だ」とドーラン氏は述べている。
アフィリエイトプログラムは新しいものではなく、何十年も前から存在していたが、YouTubeはもっと視覚的でシームレスな体験をクリエイターと視聴者に提供することで、従来のアプローチを破壊しようとした、とドーラン氏は強調している。これまではクリエイターが動画のなかで愛用している商品を紹介し、説明文にあるリンクをチェックするよう視聴者を誘導していた。だが、この方法では、商品の在庫がなかったり、視聴者が目的の情報にアクセスするために動画から移動するのが面倒だといった問題が起きていた。
こうした問題を解決するために、YouTubeはアフィリエイトプログラムを変更して「商品を見る」ボタンを設置、視聴者が動画内のパネルにアクセスできるようにした。このパネルには、商品の画像、価格、購入できる小売店などが表示され、視聴者が動画を離れてほかの場所を探さなくてもよくなった。
ソーシャルショッピングのフォーマットとして、アフィリエイトリンクはアプリ内のチェックアウトよりも実現性が高いかもしれない、とドーラン氏は言う。「視聴者がウェブサイトを訪れたいと考えていることが判明した。視聴者はウェブサイトにロイヤルティポイントを持っている。ほかの商品を見てカートに追加したり、送料を無料にしたりしたいのだ」。
[原文:YouTube doubles down on video shopping features]
LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)