Yahoo! JAPANは8月9日と10日、東京都千代田区で開催された「神田明神 納涼祭り」にて、新広告商品「デジタル提灯」を披露した。祭りの夜を彩る「献灯(神社や寺に灯明を奉納すること)」を日本古来の広告と捉えるなら、デジタル提灯はそのデジタルアップデート版といえるだろう。
日本の祭りも時代とともに変わりゆく。
Yahoo! JAPANは8月9日と10日、東京都千代田区で開催された「神田明神 納涼祭り」にて、新広告商品「デジタル提灯」を披露した。祭りの夜を彩る「献灯(神社や寺に灯明を奉納すること)」を日本古来の広告と捉えるなら、デジタル提灯はそのデジタルアップデート版といえるだろう。
「ディスプレイ(広告)の枠にとらわれない、新しい・面白い・好かれる広告商品の形を社内外に提示できた」と、デジタル提灯のプロジェクトマネージャーを担当した、Yahoo! JAPAN マーケティングソリューションズ統括本部マーケティング本部販売推進部 若林慧氏は語る。「テレビを含め30以上のメディアに取り上げられた。BtoB商品ではなかなか珍しい。世間の注目度の高さを感じている」。
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自由で新しい「納涼祭り」
徳川家康が関ヶ原の戦いの前に戦勝祈祷を行ったことでも有名だという神田神社(通称:神田明神)は、約1300年の歴史を持つ「江戸総鎮守」だ。「日本の三大祭り」「江戸三大祭」のひとつである同社の祭礼「神田明神祭」は、徳川家縁起の祭として四百有余年の歴史を有している。だが、2016年から開始された神田明神 納涼祭りは、今年で第4回目。まだまだ、新しい祭りといえるだろう。
なお、神田神社が位置するのは、ジャパンカルチャーの聖地・秋葉原のほど近く。そのため、神田明神 納涼祭りのフォーマットは、新旧の文化が入り乱れ、かなり自由だ。アニメキャラクターとのコラボによる「アニソン盆踊り」やアーティストのライブなどもコンテンツに組み込まれ、令和の時代を象徴する祭りとなっている。そんななか、Yahoo! JAPANの「デジタル提灯」は、LEDモニターの明かりを灯らせた。
【神田明神 納涼祭り②】
もちろん伝統の盆踊りも!
8/10(土)、8/11(日)も開催予定(千代田区外神田2-16-2)https://t.co/ZRFzVWhXB2 pic.twitter.com/nJnzBLzaZz— 千代田区観光協会 (@ChiyodaCityPR) August 9, 2019
実際の会場で展開された、デジタル提灯は2タイプ。櫓に載せられた高さ2mほどの円筒形の「ビッグバージョン」と、通常の提灯サイズ(30センチほど)の「通常バージョン」だ。そこに、Yahoo! JAPANへ提供された動画広告やスポンサードサーチの素材を活用して、提灯型の広告クリエイティブを投影させた。
「ビッグバージョンは動画広告。通常の動画素材を円柱型ディスプレイに投影するとクリエイティブがゆがむので、元素材を加工させていただいたり、今回のために新規で素材を作成するなどの対応を行った」と、若林氏は説明する。「通常バージョンはテキスト広告。企業名を掲出させていただいた。枠数は9つだったが、デジタルの特性を生かしてローテーションさせて20社分を掲載した」。
広告主からの反応は上々
プロジェクトチームには、Yahoo! JAPANからは7人、制作を担ったバスキュール(Bascule)からは4人が参加。ちなみにバスキュールは、数百を超える国内外の広告賞やクリエイティブ賞を獲得している、日本を代表するクリエイティブカンパニーのひとつだ。Yahoo! JAPAN側のメンバーの役割は、デザイナー(提灯制作のディレクション)、宣伝担当(SNSや記事での認知施策)、バスキュールとのアライアンスなど。その他、セールスや当日の運営、商品化に際しての調整役などを含めると、総勢50人以上が関わったという。
「お申し込み後は、Yahoo! JAPANの広告管理システムを活用して、広告素材を入稿いただき、配信を行った」と、若林氏。「入札ではなく、条件に応じてクリエイティブを出し分けする、予約型の広告商品として販売した」。
2日間という限られた期間の都合上、計23社(通常バージョン:20社、ビッグバーション:3社)分の広告を出すのが限界だったが、出稿希望はその数倍もあったと、若林氏は付け加える。広告主は、夏に親和性のある業種(旅行など)が目立ったが、外資系クライアント(IT、ホテル、ラグジュアリーブランド)からの出稿希望も多かったという。
デバイスと表現が課題
なお、はじめて実施して、課題も見えてきた。ひとつは、LEDを利用したデジタル提灯の専用デバイスだ。LEDは高価かつ高重量、そのため設置できない場所も多く(吊るしたりなどは安全性の問題からNG)、在庫(広告枠数)を増やしにくい。次回に向けて、LED以外の素材でのアップデートも検討中だという。
また、デジタル表現も改善ポイントだ。動的な表現をしていても、いまのところ企業名が表示される以上の機能がなく、デジタルならではのインタラクティブ性が欠けていると、若林氏は感じている。
「たとえば、企業名のあとに、QRコードを表示するだけでも、オフラインからウェブ上に行動させるきっかけになる」。
すでに次回実施に向けて
祭には2日間合計で3万人以上が来場。当日は、出稿した広告主のうち半数以上が現場を訪れていたと、若林氏は語る。実施から1カ月が過ぎて、すでにほかの広告主や代理店、祭りの主催者から引き合いは多い。さらに規模の大きいイベントが来年初頭に予定されており、そこでの実施に向けて動いているという。最後に若林氏は、次のように締めくくった。
「『新しい広告を作ってる媒体』『面白い広告が出せる媒体』『好かれる広告を出せる媒体』といえばYahoo! JAPAN。そのように、広告主や代理店がまっさきに頭に思い浮かべるように、これからも次々に手を打っていく」。
Written by 長田真
Image courtesy of Yahoo! JAPAN