【一問一答】「 ログレベル・データ 」とは何か?:デジタル広告のサプライチェーンにおける「正しい質問」

デジタル広告のサプライチェーンにおいて、何が起きているのか知るためには、「正しい質問とは何か」を知る必要があります。

最近になって、頻繁にパブリッシャーたちがベンダーに質問しているのは、「ログレベルのデータはどこか」です。そして、広告バイヤーたちは、カスタマイズされたログレベル・データを求めています。

しかし、ログレベル・データとは何なのでしょうか? それは、必要なものなのでしょうか? そして、なぜ入手が困難なのでしょうか? 今回の一問一答シリーズでは、そんなログレベル・データについてご紹介します。

――そもそも、「ログレベル・データ」とは何ですか?

ひとつのインプレッションに関連する、すべてのデータを意味します。そこには、地理データ、URL、クッキーID、タイムスタンプ、ビューアビリティ・レベル、そしてもちろん取引データなどが含まれています。最近、パブリッシャーたちは、ますますこの取引データを広告エクスチェンジに求めるようになっています。ログレベル・データを使えば、パブリッシャーはデジタル広告サプライチェーンで何が起きているのかを正確に知ることができるからです。

たとえば、それぞれのベンダーが、サプライチェーンにおいてどのような手数料を、マーケターたちの入札額から間引いているかを確認できます。また、通常あってはならないことですが、ひとつのエクスチェンジで同じクライアントから同一の在庫に対して、複数の入札がなされていないかを確認することも、ログレベル・データでは可能になります。広告エクスチェンジは、上記のような行為によって、市場のマッチング率の見た目を良くしたり、また理論上は彼らの取り分を2倍にすることができます。

――なぜ、いまになってパブリッシャーたちは、ログレベル・データへのアクセスを、より求めるようになったのですか?

デジタル広告サプライチェーンにおける不正行為を明るみに出すためです。広告エクスチェンジからログレベル・データへのアクセスを得ることで、サプライチェーンで何が起きているのかを確認できます。オークションの仕組みは、ときに買い手側売り手側が知らないあいだに調整されることがあります。たとえば、ベンダーたちがセカンドプライスオークションからファーストプライスオークションへと切り替えたときに、パブリッシャーやエージェンシーには、その情報が知らされていなかったということも起こりえます。

デジタル・スポーツパブリッシャーのゼネラルマネージャーであるライアン・スケッグス氏は、「我々のサプライチェーンすべてにおいて、完全な取引データを隅々まで確認したいと思っている。彼らが間引いている手数料が何かを知りたい」と述べています。ガーディアン(The Guardian)も、ログレベル・データ要求において、積極的な姿勢を見せてきました。

――広告バイヤーたちは、なぜログレベル・データを欲しがるのでしょう?

バイヤーにとっても、完全なログレベル・データを入手することは同じく重要です。しかし、理由はもう少し複雑になります。まず、詳細なデータを得ることで、メディアプランニングの微調整が可能になるということが挙げられます。エッセンス(Essence)のヨーロッパ、中東、アフリカにおけるプログラマティック部門責任者であるマット・マクインター氏は、「より状況を詳しく理解する助けとなる。それによってどのメディアか? だけでなくコンバージョンやブランド向上の試験、そして異なるパートナー、戦略、プラットフォームといった要素について理解できる」と語ります。

ログレベル・データのおかげでまた、個人レベルで広告が表示される頻度やリーチについてもより正確なプランニングができるようになると、彼は付け加えます。と同時に、オークションの仕組みに何か怪しい点がないか、不透明な点がないかを監視するのにも役立つようです。インデックス・エクスチェンジ(Index Exchange)の入札キャッシュ騒動があったあと、自分たちが影響を受けたのかどうかトラッキングするために、エージェンシーたちはログレベル・データを要求しました。同様に、エッセンスのようなエージェンシーもオーディションの仕組みが、ちゃんとした通告なしに変更されていないか、チェックしています。マクインター氏は、ファーストプライスオークションへの突然の移行や、ダイナミックフロアプライスの利用などを例として挙げました。

――そのデータは、どのように入手するのでしょうか?

もっとも完全なログレベル・データは、エクスチェンジに存在しています。ベンダーのなかには、リクエストをすれば無料で入手可能にしているところもあるようですね。月額料という形で、パブリッシャーにコストを課しているところもあります。また(なかには1%といった)小さいデータだけを提供しているところもあるようです。これでは、パブリッシャーにとっては、役に立ちません。

また、エクスチェンジのなかには、他のパートナーとの契約上の義務から、データをシェアすることができないと述べているところもあるようです。この言い訳に対して、パブリッシャーたちは懐疑的です。「エクスチェンジたちは(データ提供の)コストについて、パブリッシャーたちの恐怖を煽るのが非常に上手い。しかし、パブリッシャーたちは、とにかく忍耐強く、取り組まないといけない。それほど難しいことではないからだ」と、スケッグス氏は言う。

――ログレベル・データを入手したら、どうするのか?

データを保存する場所が必要ですし、データの意味を分析するアナリストが必要になります。パブリッシャーと広告主たちはログレベル・データを要求する前に自分たちの目的が何なのかを非常に具体的に理解しておく必要があります。何テラバイトものデータというサイズの話だからです。具体的な目的に応じて、カスタマイズをする必要性も出てきます。でなければ、ただ混乱を招くようなデータの大群になるはず。それでは、保存するのに大きなコストがかかり、見るだけでも10倍の時間が必要になります。

Jessica Davies(原文 / 訳:塚本 紺)