ヨウク(Youku)は中国最大のオンライン動画プロバイダー。マンスリービュー数は236億(ユニークビュー数は5億8000万)で、ユーザーの60%近くが30歳未満です。2015年に中国のアリババ(Alibaba)から35億ドル(約3600億円)で買収されています。
そんなサービスについて、一問一答形式で解説していきます。
デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する、「一問一答」シリーズ。今回のテーマは、中国進出を狙う日本企業にとっては攻略すべきサービスのひとつ、中国版YouTubeといえる「ヨウク(Youku、优酷)」です。
ちなみに中国本土の人々は、ミシェル・ファン氏のメイクのチュートリアルをオンラインで見たくても、規制のためYouTubeにアクセスすることができません。代わりに、彼らはヨウク(Youku、优酷)で動画を楽しみます。
ヨウク(Youku)は中国最大のオンライン動画プロバイダー。マンスリービュー数は236億(ユニークビュー数は5億8000万)で、ユーザーの60%近くが30歳未満です。2015年に中国のアリババ(Alibaba)から35億ドル(約3600億円)で買収されています。
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ヨウクはYouTubeの模倣品なのですか?
この2つのプラットフォームには類似点があって、ヨウク(Youku)を中国版YouTubeと考えることは可能です。クリエイターがコンテンツの配信と管理を行えるだけでなく、「ヨウクチャンネル(Youku Channel)」セクションを通してチャンネル登録者と交流を持てます。
ヨウク(Youku)のマーケティング担当のディレクター、ジェイ・チェン氏は次のように述べています。「私たちはユーザー生成コンテンツの中国最大のエコシステムだ。我々のプラットフォームのインフルエンサーは、一夜にして有名になるわけではない。ある分野に対して特化したユーザーたちや、ウェイボー(Weibo、微博:中国版Twitter)やヨウクといったさまざまなプラットフォームで積極的に発信しているユーザーが影響力をもちやすい」。
広告は出稿できるのでしょうか?
ヨウク(Youku)に広告を出すことは可能です。チェン氏によると、広告はヨウク(Youku)の全売上の約80%を占めるとのこと。2015年、最初の9カ月だけで広告売上として約14億元(約200億円)を稼いだそうです。
1番人気があるのはプレロール広告で、長さは15秒、30秒、1分から選ぶ形。上海のエージェンシー、OMDチャイナ(OMD CHINA)のストラテジーディレクター、ケン・チャン氏によると、ヨウク(Youku)のオーディエンスは、長すぎるプレロールや繰り返しなど、広告にうんざりしていることが多いのだとか。
UXをあまり重視していないのでしょうか?
そうともいえます。しかし、今年に入って、広告費の額によって、よりネイティブな広告を実施しています。たとえば、ユニリーバ(Unilever)傘下のシャンプーブランドであるクリア(Clear)は、人気の高いヨウクのオリジナルトーク番組「火星情報局(Mars Intelligence Agency:ヨウクによる正式番組名)」のタイトルスポンサーとなりました。
明確なブランド名の表示のほかに、プロダクトプレースメントでクリア製品を番組に登場させたり、エピソード内で曲をクリア向けにカスタマイズしています。番組コンテンツのなかで感情に訴えかけたほうが、商品の価値が視聴者に理解されやすいとチェン氏は語ります。

クリア製品を番組視聴者に紹介する「火星情報局」のアンカー。
一方で今年7月、歌のオーディション番組「中国新歌声 (Sing! China:「アメリカン・アイドル」の中国版のような番組)」において、中国最大のカクテルブランドであるリオ(Rio)と共同で、「広告なし」のフォーマットをはじめて試験展開しています。
リオ(Rio)はヨウク(Youku)から番組のオンラインタイトルのスポンサー権利をすべて買い取り、5秒間のプレロール広告を1回だけ放映。ほかのブランデッドコンテンツは番組内プログラムに組み込まれたことで、コマーシャルによる中断が1度もなかったようです。リオ(Rio)はまた、「中国新歌声 (Sing! China)」のランディングページの独占スポンサーになったことで、ページのバナー広告がすべて、アリババのオンライン小売りプラットフォーム「Tモール(Tmall)」にあるリオ(Rio)の旗艦店のサイトにリンクされました。
VRへの取り組みはありますか?
ヨウク(Youku)はあらゆる動画に対応できる環境になることを目指しています。チェン氏によると、ヨウクには現在、2万本を超えるVR動画がアップロードされており(その過半数が360度動画)、1日当たり1000本のペースで増えているようです。
一方で、OMDのチャン氏は、ヨウク(Youku)は360度のプレロール広告にしか対応できておらず、同プラットフォームのVR動画はまだ初期段階にあると指摘します。「360度のコンテンツを制作する(中国の)広告主は増えているが、数字上は少数派だ」とチャン氏。
海賊版コンテンツの問題については?
バイドゥ(Baidu)とヨウク(Youku)が2016年、著作権侵害でお互いを告訴しました。ヨウク(Youku)のチェン氏は、毎年、莫大な金額を著作権の買い取りに費やしており、海賊版コンテンツを自動的にブロックする技術を開発していると主張しています。
「我々は業界では最大の著作権購入者である」と、チェン氏は話しました。
Yuyu Chen (原文 / 訳:ガリレオ)