WeChat について、小売企業が知っておくべきこと:「インフルエンサーマーケティングが一番人気だ」

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こと財務分野において、中国はシリコンバレーにも勝る盛り上がりを見せている。その大きな要因となっているのがWeChat(微信)だ。

WeChatは2011年にメッセージングアプリとしてスタートしたが、いまやモバイル決済分野で巨大企業に成長した。WeChatと中国における技術を報じる記者で、自身もGoogleのソフトウェアエンジニアであるイーレン・ルー氏は「中国人はあらゆることにWeChatを利用している。日用品の購入やゲーム、事業、そしてもちろん家族や友人とのやりとりなど、使用場面は多岐にわたる」と語る。

WeChatを使えば友人への送金や日用品の購入も可能だ。喫茶店で並ぶことなくメニューを見たり、注文をしたりできる。現金もクレジットカードも必要ない。

「銀行口座を持たない人が中国には数億人いた。非常に現金を重視する社会だったのだ」と、ルー氏は語る。WeChatおよび競合サービスであるアリババのアリペイ(AliPay)は「銀行の役割を果たすようになった」という。

テンセント(騰訊)が提供するWeChatは上記の課題に対する解決策となり、いまや中国におけるデータ通信の実に34%がWeChatを経由する。中国が米国テック系企業を締め出したことも追い風となった。

2009年に「中国は米国のテック系企業をすべて締め出した」と、ルー氏は語る。中国の「グレート・ファイアウォール(金盾)」は同年からFacebookやGoogle、Twitter、Vimeoをブロックするようになった。

つまり、中国で急速に拡大を続ける中流階級(ルー氏がいうには、「消費主義への反感」も少ない層)に対し、中国企業が最初にサービスを提供できる仕組みになっているのだ。

以下に、同氏へのインタビューの一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。

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中国におけるフィンテックのイノベーションは必要に迫られて発生した

「銀行口座を持たない人が中国には数億人いた。非常に現金を重視する社会だったのだ。事業をする場合は、およそ1500円にあたる100人民元の札束を積み上げなければいけなかった。モバイル決済は大変便利なだけでなく、安全面でもメリットが大きかった。中国が技術面でこうして大きく飛躍を遂げた理由に、既存のシステムが不便だったことが挙げられる。米国のようにクレジットカードが普及していたわけではないからだ。また政府も基本的にレッセフェール(フランス語で「なすに任せよ」の意)のスタンスをとっており、その点においても異なっていた。WeChatやアリババ(阿里巴巴)はそれぞれ中国国内におけるモバイル決済アプリを有しており、いわば銀行の役割を果たすようになった。だが、政府は高額の準備金の確保を要求するようなことはなく、それによってエコシステム全体が繁栄できたのだ」。

WeChatではディスプレイ広告よりもインフルエンサーの力が強い

「ディスプレイ広告はWeChatでは主流ではない。存在はしているが、利用しているブランドは非常に限られている。それよりもオピニオンリーダーによるマーケティングのほうが主流となっている。ブランドからすれば、人気のオピニオンリーダーにブランドの紹介をしてもらったほうが効果的なのだ。こうしたインフルエンサーマーケティングのほうがカスタマーにとって自然であり、つながりを感じられる。一般的にインフルエンサーは文章力があることが多く、商品に対する本物の感想だと消費者に感じさせる力がある。オーディエンスが文章や写真を気に入ったとして、インフルエンサーが親切心から商品を紹介しているという印象を与えられるのだ。こうすれば、Facebookやインスタグラムにおける大量のディスプレイ広告と印象が大きく変わる。Facebookやインスタグラムの広告コストが高騰していることを考えれば、程度はわからないが、米国でもこうした傾向が進むのではないか。このようにインフルエンサーマーケティングは中国では一番人気なのだ」。

ショッピングのためのショッピング

「中国社会はいまでも向上心が非常に強い。インフルエンサーが売っているのは、中上流階級やコスモポリタン、都会的なライフスタイルの商品だ。消費主義への反感はさほど大きくない。米国では大量消費主義を嫌うという感覚がある。だからこそインフルエンサーマーケティングにおいてもこういった広告は控える傾向にある。だが、中国ではそうした感覚は皆無に近い。物が欲しいと思うのは、まったく問題ないというのが中国人の考えだ」。

Pierre Bienaimé(原文 / 訳:SI Japan)