Amazonは、第4四半期の決算と同時に現CEOのジェフ・ベゾス氏の辞任も発表した。同社のその期間の売上高は、前年同期比で44%増加。これは、同年第3四半期の増加率(37%)よりも高く、Amazonプライムデーが、2020年10月に延期されたことに起因する可能性が高い。決算から今後の同社の行く末を読み解く。
米国時間の2月2日に発表された第4四半期の決算発表で、Amazonは急成長した2020年を締めくくった。
Amazonの2020年第4四半期の売上高は、前年同期比で44%増加。これは、同年第3四半期の増加率(37%)よりも高い割合で、Amazonプライムデー(Prime Day)が、2020年10月に延期されたことに起因する可能性が高いという。フォレスターリサーチ(Forrester Research)のeコマースアナリスト、スチャリタ・コダリ氏は、「2020年の第4四半期にはプライムデーがあった。それが追い風となり、非常に大きなシェアを獲得したのだろう」と語る。
同氏がこう述べる通り、2020年第4四半期の成長はAmazonにとって記録的な年となった。実際、2020年の総売上高は3861億ドル(約40兆円)となり、2019年から38%増加している。
Advertisement
しかし驚くべきことに、同社は現CEOのジェフ・ベゾス氏が2021年第3四半期には辞任し、AWS(Amazon Web Services)の現責任者、アンディ・ジャシー氏がトップに就任すると発表。なおベゾス氏は、社内向けに公開された書簡で、「今後はエグゼクティブチェアーとして、新製品や初期の取り組みにエネルギーと注意を集中させたい」と自らの今後について述べている。
以下は、Amazonの収益状況のハイライトだ。
サードパーティセラー市場が好調
2020年は、Amazonのサードパーティーセラーにとっても嬉しい1年であり、その勢いは最後まで衰えることはなかった。決算によると、2020年第4四半期における、セラーがAmazonに支払うコミッションとフルフィルメントフィーを含む指標、「サードパーティーサービス(Third-party seller services)」は前年同期に比べて54%上昇した。なお、前四半期の成長率は53%だ。
インフォメーション(The Information)が報じたところによると、Amazonは好調なサードパーティーセラー市場からできるだけ多くの収益を獲得すべく、フルフィルメントシステムを急速に拡大中だ。直近では130のトラック運送業者と、独占的な提携関係を結んでいるという。また同社は、アナリストの予測を上回る速さで航空貨物の保有数を増やしており、2028年にはフェデックス・エクスプレスやDHLと並ぶ運送企業、UPSの規模に匹敵するまでに成長するといわれている。なお2020年、Amazonが投資したフルフィルメント費用は585億ドル(約6兆円)で、これは2019年の402億ドル(約4兆円)から増加している。
またAmazonは、ほかのプラットフォームで販売を行っているセラーでもフルフィルメントサービスを利用できるようにするなど、同サービスの利用促進を図っている。
法人向けサービスをプッシュ
2020年第4四半期、Amazonの「その他(Other)」の収益は、66%増の79.5億ドル(約8300億円)となった。このカテゴリーには、広告収入が含まれている。これは、Amazonが多くのリソースを検索広告への投資に費やしたことを反映している。
「その他」カテゴリーには、小売企業向けサービスの実績も含まれている。Amazonは現在、自社の実店舗にこのサービスを導入するとともに、ほかの小売企業への販売にも着手している。同社は2月第1週、決済サービスのAmazon Oneを、複数のAmazon Goストアにて展開。また、空港に併設されているコンビニエンスストア向けに、キャッシャーレス・チェックアウト技術であるジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)を提供するなど、ニッチな分野の開拓も進めている。
なお最近では、空港コンビニエンスストアチェーンのハドソン(Hudson)が、Amazonのテクノロジーを試験的に導入しており、アナリストはAmazonが空港小売の未来を再構築する可能性が高いと考えている。現に、コンサルティング企業ICFのシニアマネージャー、アラン・グラック氏は、米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダンリテール(Modern Retail)の取材に対し、「10年後には、少なくとも大規模な空港と中規模空港ではかなり普及しているだろう」と答えている。
今後の展望
次の四半期、Amazonは売上高が前年同期比で33%から40%増加するだろうと予測している。この増加率は2020年第4四半期よりも少ないが、決して小さくはない。
しかしAmazonは、自らの目前に多くの戦いが待ち受けていることには触れていない。そのひとつが、フルタイム、特に契約社員からの社内批判に直面し続けていることだ。また、Amazon Flexの配送ドライバーへのチップ不払い問題で、AmazonはFTC(Federal Trade Commission:連邦取引委員会)から提訴されていた。本件は、6170万ドル(約64.8億円)の制裁金を支払うことで合意されている。さらに2月第2週には、アラバマ州にあるAmazonの倉庫労働者たちが、はじめて組合を結成するかどうかを投票で決める予定だ。
[原文:With Jeff Bezos set to depart, Amazon’s growth continues apace]
MICHEAL WATERS(翻訳、編集:村上莞)