IPビジネス の注目株として、 ポッドキャスト が急上昇:UCPの目の付け所

映画とテレビの世界で、ポッドキャストをもっとも支持しているその会社は、関係をさらに深めたいと考えている。

NBCユニバーサル(NBCUniversal)傘下の制作会社、ユニバーサル・コンテント・プロダクションズ(Universal Content Productions:以下、UCP)は、ポッドキャストの質の高いストーリーと熱心なオーディエンスに可能性を見い出している。ポッドキャストはUCPのテレビやストリーミングのプロジェクトにおいて、いまや知的財産の中心的なソースだ。

UCPはこの2019年夏、同社が制作する動画版「ドクター・デス(Dr. Death)」のキャストを発表する。

「ドクター・デス」はもともとワンダリー(Wondery)が制作した人気ポッドキャストであり、UCPがポッドキャストの動画版の制作予定を発表したプロジェクトはこれで6本目。ジュリア・ロバーツを起用したAmazonのシリーズ「ホームカミング(Homecoming)」と、コニー・ブリットンを起用したブラボ(Bravo)のシリーズ「ブラボ」がゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、すでに多くが成功を収めている。ナイト・ベイル・プレゼンツ(Night Vale Presents)で配信されているポッドキャスト「アリス・イズント・デッド(Alice Isn’t Dead)」については、USAネットワーク(USA Network)と共同で制作中だ。

ネタ元になるポッドキャスト

UCPのプレジデントであるドーン・オルムステッド氏は、同社はあわせて「約12」のポッドキャストについて制作の権利を持っており、いずれもこの1年半に取得したものだと語る。同氏によると、UCPの企画チームは13人から構成され、知的財産のソースのトップは依然として書籍だが、ポッドキャストはトップ3に入っている。4年前、UCPの制作予定にポッドキャスト由来のプロジェクトはひとつもなかった。

UCPは、ポッドキャスト企業との協力を深めるなど、音声分野での活動を広げる意向で、場合によっては、ポッドキャストの独自制作も考えている(とはいえ、テレビ外での取り組みをはじめる動きはまだしていない)。

「音声という分野、効果的な知的財産が迅速にできる点、すべてあわせても我々が脚本を作るより安く配信できる点に、とても期待している」と、オルムステッド氏は語る。「うまくやる方法を我々自身が学びたい」

ハリウッドがポッドキャストを熱望するなど、映画やテレビやプレミアムストリーミング動画にできる素材を探している映画会社や制作会社は、奪い合いの状態にある。書籍、ビデオゲーム、さらには雑誌記事まで揃ったこの成長市場は売手市場が何年も続いており、たとえば、ブルームバーグ・ビジネスウィーク(Bloomberg Businessweek)によると、雑誌記事は権利の値段がここ数年で2倍以上になっている。

ポッドキャスト企業はこれを受けて、自社の映画部門を拡充したり、こうした動画化のプロセスで番組を導くプロデューサーの採用を増やしたりと対応してきた。スタッフ・メディア(Stuff Media)は、アイハートメディア(iHeartMedia)による買収以前、同社のポッドキャストのうち25%は映画化やテレビ化の権利が取得されていると主張していた。

ポッドキャストの魅力と価値

ポッドキャストが魅力的な理由のひとつは、「シリアル(Serial)」のような上位の人気番組が、ポッドキャストがカルチャーの主流になれることを証明したからだと、オルムステッド氏はいう。数字の魅力は派生的なものだと同氏は語るが、とても熱心なオーディエンスが確実にたくさん集まることは、マイナスにはならない。

「ダウンロード数はハイプをあおる」とオルムステッド氏。「ただ、実際、ロサンゼルスのクリエイティブのコミュニティで話題になること、これが極めて重要なのは事実。新しい形のストーリーテリングに大騒ぎしたい人たちばかりだ」と、同氏は語った。

大量のダウンロードは、料金の上昇につながる。ポッドキャストは映画やテレビと比べると制作費が安いが、超人気番組の権利取得には大金が必要なこともある。UCPが権利を得たポッドキャストについて、オルムステッド氏は「どれも素晴らしい価格では手に入らなかった。人気番組だった」と語るだけで、具体的な金額は挙げなかった。

将来の入札合戦を避けられるように、ポッドキャスト企業とはファーストルック契約、制作パートナーシップ、その他の体制で、制作のもっと早い段階からより密接に協力していきたいと、オルムステッド氏は語った。数年前にはギムレット(Gimlet)を知って、UCPで買収できないかすぐに調査したという。もっとも、選択肢として本格的に買収を進めるには至らなかったと、同氏は語った。

「うまくやるという信頼がある」

こうした戦略を推し進めている制作会社はUCPだけではないが、UCPの実績が役に立つことを期待していると、オルムステッド氏は話している。

「どこも権利の取得よりも早い段階からの参加に乗りだしている」と語ったのは、「ミッシング・リチャード・サイモン(Missing Richard Simmons)」やニューヨーク・タイムズ(The New York Times)の「スティル・プロセシング(Still Processing)」などの番組を支えるポッドキャスト企業、パイナップル・ストリート・メディア(Pineapple Street Media)の創業者、ジェンナ・ワイス=バーマン氏だ。「『知的財産の権利取得を他社と争うのではなく、最初の段階から自社のものにできる方法』を見つけたがっている」。

この件について、ワイス=バーマン氏はこの1年で、映画やテレビの制作会社、20社以上と話し合ったという。まだ正式な提携には至っていないが、こうした話し合いでは、脚本パートナーの参加や人材の受け入れなど、あらゆるものが関わってくる可能性があるという。

「たくさんの問い合わせがある」と、オルムステッド氏。「UCPならうまくやるという信頼があるのだ」と、同氏は語った。

Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)