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Twitter、eコマース機能強化へ:商品購入ボタンをテスト

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Twitterがeコマース機能の強化に乗り出している。

3月上旬から、Twitterは一部のツイートの下に「Shop」ボタンを追加しているが、これは同アプリにショッピング機能を統合する大規模な試みの一環だ。注目すべき点として、Twitterの購入ボタンは広告だけに表示されるわけではない。Twitterはeコマースサイトへのクリックを増やす手段として、この機能をオーガニックツイートにも表示するテストを実施している。

Twitterにとって、これは初めての試みではない。2017年にも購入ボタンが一時的に導入されたが、その後廃止されている

新たにアプリ内購入ボタンをテストするTwitterは、おそらくこうした取り組みを進める、最後の主要ソーシャルプラットフォームのひとつになるだろう。Facebook、インスタグラム、WhatsApp(ワッツアップ)はいずれもアプリ内ストアを導入しており、ピンタレストとSnapchatにはショッピングが可能なARフィルターがある。TikTokも独自のアプリ内ショップをテストしている

Twitterは新しいショッピング機能をテストしている。
新しいTwitterカードが、ショップサイトの商品ページへのリンクがあるツイートに追加された。
新スタイルのTwitterショッピングカードには、以下が表示される。
・商品名
・ショップ名
・商品価格
・「Shop」ボタン

ソーシャルコマースは避けられない未来

Twitterがこれまでeコマースを積極的に推進してこなかったからこそ、今回の動きはとりわけ注目に値する。Twitterの参入は、ソーシャルコマースがすべての主要ソーシャルアプリにとって避けられない未来であることを裏付けたと言っても過言ではない。

「Twitterは明らかにこの潮流に気づいている」と、マーケティング会社タクティカルデジタル(Taktical Digital)のチーフストラテジスト、イラン・ナス氏はいう。

現状、ブランドの広告費に占めるTwitterの割合はごくわずかだが、それはTwitterの広告機能がFacebookなどのライバルに比べて洗練されていないためだ。原因として、Twitterでは広告が目立ちすぎること、Twitterがほかのプラットフォームほどユーザーに関する深層データを持っていないことがあげられる。

Twitterの広報担当者は、米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダンリテール(Modern Retail)の取材に対し、「先日のアナリストデーに述べたとおり、当社はeコマースの商品ページにリンクするオーガニックツイートの処理の変更など、新たなコマース機能をテストしている。これはコマース分野での多くの実験の第1段階であり、我々は今後、多くを学びつつ体験を充実させていく」と述べた。

エンゲージメントの低さが大きな課題

Twitterはエンゲージメントの低さでも飛び抜けている。あるアカウントがフォロワーの0.5%から定期的にエンゲージメントを獲得していれば、Twitterではすぐれた成果とされる。だがインスタグラムのリール(Reels)やTikTokでの一部のブランドのエンゲージメント率は平均して5~20%にのぼり、Twitterの数字は霞んで見える。

オーシャンギャラクシーライツ(Ocean Galaxy Lights)など、一部のマイクロブランドはバズを起こしたツイートへのリプライの形で商品を勧めてもらうマーケティング戦略を打ち出しつつある。だが、拡散したツイートでも価値はさほど高くなく、大手ブランドはこうした戦略を避ける傾向にあるという。

「商品を売りたい時や、費用対効果をしっかり把握したい時に利用するのはFacebookだ」と、ナス氏はいう。対照的に、Twitterで購入やコンバージョンを把握する手段は限られている。加えてTwitterユーザーは、(ゲームをしたりグループに参加するといった選択肢のある)Facebookのユーザーに比べてタッチポイントを介した接触機会が少ないため、Twitterユーザーへのターゲティング機能はあまり高度とはいえない。ナス氏によれば、同氏のクライアントのなかでTwitterに多額の広告投資をしている企業はごくわずかだ。「健康食品やサブスクリプションを取り扱う(Twitterで宣伝している)企業は多少あるが、せいぜい広告費の5%とか3%といったレベルの話だ」と、ナス氏は話す。

コミュニティは強いが売上に繋がらず

現在、ブランドにとってTwitterは「コミュニティとのエンゲージメントのほとんどが起こる場所」として機能していると、スマートマットレスを製造・販売する「エイトスリープ(Eight Sleep)」の共同創業者であるアレクサンドラ・ザタレイン氏はいう。エイトスリープのファンはTwitterを利用してブランドについて話し、ほかの人に勧めている。おすすめの寝具を尋ねるスレッドをTwitterで何度も見かけたというザタレイン氏は、「我々のコミュニティのメンバーはそこに加わり、『エイトスリープを試してみて』と言ってくれている」と語る。しかし、活発なブランドのコミュニティがあるにもかかわらず、Twitterはそれを直接の売上に結びつけるのが不得意だった。エイトスリープがTwitter広告を試すたび、「成果はあまり芳しくなかった」と同氏は語る。

ザタレイン氏は、ショッピング可能なツイートや購入ボタン付きのツイートの可能性は、結局のところTwitterがこれらをどう表示するかにかかっていると指摘する。たとえば、おすすめの寝具をクラウドソーシング方式で尋ねるスレッドのオーガニックツイートに購入ボタンを表示する、といった方法が考えられる。「Twitterがこのように購入ボタンを表示してくれたら、我々にとっては理想的だ」と同氏は話す。

スキンケアブランドのトピカルズ(Topicals)でソーシャルコンテンツマネージャーを務めるラニア・ボルトン氏も同意見だ。ボルトン氏は、スキンケアのポイントやトリビアの共有を通じてTwitterでコミュニティが育っていることに言及し、潜在的な収入源として購入ボタンを好意的に受け止めた。「顧客と我々のあいだの摩擦をなくし、商品購入のハードルを下げるツールは、どれもプラスになる」と、同氏はモダンリテールの取材に対しeメールで述べた。

おそらくブランドにとってプラスに働く

ただし、たとえTwitter全体に購入ボタンが展開されたとしても、解決できる問題は一部にすぎない。ナス氏によれば、Twitterに決定的に欠けているのはアプリ内チェックアウトオプション、すなわちクレジットカード情報をTwitterに保存して、プラットフォームを離れることなく商品購入を完了する手段だ。「Shop」ボタンだけでも、ブランドサイトへのクリックはある程度増えるだろう。だが、現在Twitterがテストしているバージョンは、結局のところ単なる外部リンクにすぎない。

購入ボタンは、最終版がどんな形式になったとしても、おそらくブランドにとってプラスに働くだろうとナス氏はいう。「大雑把に言って、広告主にとって好ましい動きであることは間違いない」と同氏は話す。だが、Twitterのこうした方針によって、ブランドがTwitterに対する関心を劇的に高めるかどうかは、現時点でははっきりしない。「これはゲームチェンジャーになるだろうか? 私に言わせれば、あまり期待しすぎない方がいい」と、ナス氏は述べた。

[原文:Why Twitter is testing a ‘Shop’ button

MICHAEL WATERS(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:長田真)