- TikTokの成功は「飾らない」アプローチとリアルなコンテンツによるものと考えられ、欧州の携帯会社Tモバイルも同様のアプローチを取っている。
- 2Tモバイルは透明性とシンプルさを強調した新しいブランドメッセージを展開し、インフルエンサーマーケティングや多くの広告チャネルを活用。それにより、ブランドポジションの再確立に努めている。
- また、TモバイルはAIをメディアバイイングだけでなく、クリエイティブ開発に活用する試みも行っている。
ここ数年で急成長を見せたTikTokだが、マーケターやエージェンシーのエグゼクティブたちは、その勝因を「飾らない」あるいは「嘘偽りが無い」アプローチにあると考えている。TikTok以前のソーシャルメディア業界では、フィルターを駆使していかに高級な仕上がりのコンテンツを投稿するか、が主流となっていた。
欧州および北米で展開する携帯電話会社のTモバイル(T-Mobile)も、新しいブランドメッセージを展開するにあたり、同様のアプローチを試みているようだ。今年TikTokで成功を収めたほかのブランドに続く形で、より個人的なレベルで視聴者と繋がり、深いエンゲージメントを生むことを狙っている。
Tモバイルのマーケティング最高責任者であるクリント・パターソン氏は、「1回線につき25ドル(約3758円)で、無料の端末付き(というオファー)が、人々の話題になっている。(広告メッセージは)このオファーを中心にしたものだ。市場には同じようなものが溢れている一方で、顧客にとって本当に重要であるシンプルさ、透明性、予測可能性について語っている企業はいなかった」と述べた。
メディア戦略でブランドポジションを再確立
Tモバイルは、指定の広告エージェンシーであるOKRPと提携し、この新しいオファーの広告を展開する。同社はX、リニアTV、デジタル屋外広告、コネクテッドTVでの広告に加え、TikTokでフォロワー数380万人のアレックス・ユーン氏と、フォロワー数13万3000人のコメディアンのトム・フェル氏を雇って、それぞれのアカウントでオーガニックに動画を公開。動画の視聴数が一定数に達した後、有料広告でその動画をブーストする予定だ。ただ、その数は明示していない。
ユーン氏は8月中旬に動画を公開し、ソーシャルメディア分析ツールのアイコノスクエア(Iconosquare)によれば、一晩で200万回以上の視聴回数を得たという。8月末の段階で、その動画の視聴回数は1300万回以上[続きを読む]
- TikTokの成功は「飾らない」アプローチとリアルなコンテンツによるものと考えられ、欧州の携帯会社Tモバイルも同様のアプローチを取っている。
- 2Tモバイルは透明性とシンプルさを強調した新しいブランドメッセージを展開し、インフルエンサーマーケティングや多くの広告チャネルを活用。それにより、ブランドポジションの再確立に努めている。
- また、TモバイルはAIをメディアバイイングだけでなく、クリエイティブ開発に活用する試みも行っている。
ここ数年で急成長を見せたTikTokだが、マーケターやエージェンシーのエグゼクティブたちは、その勝因を「飾らない」あるいは「嘘偽りが無い」アプローチにあると考えている。TikTok以前のソーシャルメディア業界では、フィルターを駆使していかに高級な仕上がりのコンテンツを投稿するか、が主流となっていた。
欧州および北米で展開する携帯電話会社のTモバイル(T-Mobile)も、新しいブランドメッセージを展開するにあたり、同様のアプローチを試みているようだ。今年TikTokで成功を収めたほかのブランドに続く形で、より個人的なレベルで視聴者と繋がり、深いエンゲージメントを生むことを狙っている。
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Tモバイルのマーケティング最高責任者であるクリント・パターソン氏は、「1回線につき25ドル(約3758円)で、無料の端末付き(というオファー)が、人々の話題になっている。(広告メッセージは)このオファーを中心にしたものだ。市場には同じようなものが溢れている一方で、顧客にとって本当に重要であるシンプルさ、透明性、予測可能性について語っている企業はいなかった」と述べた。
メディア戦略でブランドポジションを再確立
Tモバイルは、指定の広告エージェンシーであるOKRPと提携し、この新しいオファーの広告を展開する。同社はX、リニアTV、デジタル屋外広告、コネクテッドTVでの広告に加え、TikTokでフォロワー数380万人のアレックス・ユーン氏と、フォロワー数13万3000人のコメディアンのトム・フェル氏を雇って、それぞれのアカウントでオーガニックに動画を公開。動画の視聴数が一定数に達した後、有料広告でその動画をブーストする予定だ。ただ、その数は明示していない。
ユーン氏は8月中旬に動画を公開し、ソーシャルメディア分析ツールのアイコノスクエア(Iconosquare)によれば、一晩で200万回以上の視聴回数を得たという。8月末の段階で、その動画の視聴回数は1300万回以上となった。
パターソン氏は、「このメッセージが響く人々(インフルエンサー)に加え、市場に溢れた下らないコンテンツのなかで目立つことができるアカウントを持っている人々を見つけ、彼らが本当に面白いコンテンツを作成できるようにサポートするのが戦略だった」と語る。同氏によれば、同社はこのキャンペーンに1000万ドル(約15億円)以上を投資している。
これには、リニアTV、コネクテッドTV、スポンサーシップ、ラジオ、ポッドキャスト、インフルエンサー、ソーシャルメディアのディスプレイ・バナーが含まれる。ヴィヴィックス(Vivvix)によれば、パスマティックス(Pathmatics)からの有料ソーシャルデータを含め、同社は広告に今までに3億1300万ドル(約470億円)以上を費やしている。これは2022年の11億ドル(約1653億円)から比べると、減少している。
パターソン氏は、「これはブランドとしての我々の表現であると同時に、顧客が私たちに持ってほしい期待に応える公約のようなものだ。そのため、市場での私たちのブランドポジションを再確立するために、広告支出も大きな額を投入する必要があった」と語った。
企業戦略=広告メッセージ
成長戦略コンサルティング会社プロフェット(Prophet)のシニアパートナーであり、マーケティングとセールスの共同リーダーであるマット・ザッカー氏によれば、透明性のある価格設定、柔軟なオプションを提供し、顧客がプランやデバイスを容易に変更できるようにすることで、顧客により選択の力を与えることがTモバイルの意図だという。
「ややこしい話を切り捨てた形での新しい広告メッセージは、Tモバイルの『脱キャリア』戦略(契約にかかる初期費用やデバイス購入とプランを組み合わせた複雑な契約から脱却する方針)とも一貫している。これによって素早く、かつシンプルに同社のアピールを表現できるとともに、競合他社との差別化ができる。Xを含めた広告チャネル戦略も、クライアントとエージェンシーが最初だけでなく継続して面白いものを展開することができれば、上手く機能するだろう」とザッカー氏は評価する。
AIの活用も
新しいブランドメッセージとインフルエンサープッシュに加えて、TモバイルはAIについても活用方法を探っている。ロレアル(L’Oreal)やGoogleに続いて、メディアミックスの一環としてAIのテストをする。パターソン氏によれば、クリエイティブ面でTモバイルは既にAIを使用しているという。
「プログラマティックターゲティングのような購入側だけでなく、広告メッセージ面、さらにはクリエイティブ開発に至るまで、マーケティングにAIをどのように取り込むことができるかを積極的に探っている」とパターソン氏は言う。「既に私たちは、コアとなるクリエイティブをアップロードし、異なるメッセージのためのアウトプットが新しく必要な場合のシステムを持っている。サードパーティでの配信用に専用の仕様が必要となっても、わざわざ人間に構築させることなく、システムに生成してもらえる」。
Julian Cannon (翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)