商品の広告を貼り付けたトラックが米国の主要な都市の街路を走り回る移動広告キャンペーンが、最近になって顧客の関心を集めようとしているD2Cブランドの広告媒体として選ばれている。
「Hot girls have IBS(ホットな女の子はIBSを持っている)」という看板でバイラル化したプロバイオティクススナックブランドのベリウェリ(BelliWelli)は、ロサンゼルス、ダラス、シカゴを走り回る3台のトラックにその話題になったキャッチコピーを掲げた。一方でミートスティック(Meat Stick)ブランドのチョンプス(Chomps)は、ロサンゼルスで3台、シカゴで3台のトラックを走らせている。デオドラントブランドのキュリー(Curie)は、ウォルマート(Walmart)での商品発売を宣伝するため、8月にOOH(屋外広告)トラックのキャンペーンを開始した。
モバイルビルボード(移動型広告看板)は決して新しい広告メディアではないが、OOHマーケティングをはじめたばかりのデジタルネイティブなブランドのあいだでますます人気が高まっている。これを後押ししているのが、移動式トラックでの広告に特化した新しい代理店だ。たとえばアジャイルメディアグループ(Adgile Media Group)は、これらのキャンペーンの多くを管理している。米モダンリテールと対談したブランドは、モバイルビルボードは実店舗での売上を促進できるようにするために使うツールだと述べている。また、従来型のビルボードと比べて、モバイルビルボードは安価な傾向がある。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
商品の広告を貼り付けたトラックが米国の主要な都市の街路を走り回る移動広告キャンペーンが、最近になって顧客の関心を集めようとしているD2Cブランドの広告媒体として選ばれている。
「Hot girls have IBS(ホットな女の子はIBSを持っている)」という看板でバイラル化したプロバイオティクススナックブランドのベリウェリ(BelliWelli)は、ロサンゼルス、ダラス、シカゴを走り回る3台のトラックにその話題になったキャッチコピーを掲げた。一方でミートスティック(Meat Stick)ブランドのチョンプス(Chomps)は、ロサンゼルスで3台、シカゴで3台のトラックを走らせている。デオドラントブランドのキュリー(Curie)は、ウォルマート(Walmart)での商品発売を宣伝するため、8月にOOH(屋外広告)トラックのキャンペーンを開始した。
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モバイルビルボード(移動型広告看板)は決して新しい広告メディアではないが、OOHマーケティングをはじめたばかりのデジタルネイティブなブランドのあいだでますます人気が高まっている。これを後押ししているのが、移動式トラックでの広告に特化した新しい代理店だ。たとえばアジャイルメディアグループ(Adgile Media Group)は、これらのキャンペーンの多くを管理している。米モダンリテールと対談したブランドは、モバイルビルボードは実店舗での売上を促進できるようにするために使うツールだと述べている。また、従来型のビルボードと比べて、モバイルビルボードは安価な傾向がある。
安価で利用できるモバイルビルボード
OOH代理店のクァンメディアグループ(Quan Media Group)の創設者でCEOを務めるブライアン・ラッパポート氏は、ニューヨーク市など大都市にある従来型のビルボードは1カ月で5万ドル(約750万円)から20万ドル(約3000万円)のコストが必要だと語る。「ブランドにそれだけの予算がない場合もある。ラッピングしたトラックはD2Cブランドにとって、投資対効果が高く、ターゲットを絞った、超地域密着型プロモーションの選択肢になる」と、同氏は述べている。
デジタルモバイルビルボードの広告を行っているジオメトリア(Geometria)では、トラック1台の料金は1時間で170ドル(約2万5500円)前後だ。
ラッパポート氏は、モバイルビルボードは特定の市場で大きな注目を集めるためブランドが使用する戦略でもあると付け加える。その大きな注目を集めるキャンペーンは、ベリウェリがターゲット(Target)での販売開始をプロモートするためにモバイルビルボードをはじめたときにまさに求めていたのだ。キュリーの創設者でCEOを務めるセアラ・モレ氏は、ウォルマートでの発売開始用にリリースされたモバイルビルボードは、人通りが多く、ウォルマートに近い地域で推進されたと、以前に米モダンリテールに語った。キュリーはこのキャンペーンのためにアジャイルと提携した。
ベリウェリのトラックは、10月2日から運行し、11月27日で運行を終了する。キャンペーン開始から約15日が過ぎた時点で、市場の人口に基づいて、約100万インプレッションを獲得した。創設者のケイティ・ウィルソン氏は、モバイルビルボードははるかに安価でありながら、ソーシャルでの言及や社会的なけん引力については、従来型のビルボードに遜色なかったと語る。
「ビルボードはややコストが高いため、特定の市場をターゲティングできるものの、通常は同時に1つか2つしか選ばない」と、ウィルソン氏は述べている。同氏は、ブランドは「ビルボード1つの価格で3台のトラックを使うことができる」と付け加えた。
同社はビルボードにURLも追加しており、このURLからは店舗検索ページに行くことができる。広告は3台のトラックから開始するが、近日中にトラックの数を増やすことを計画していると、ウィルソン氏は述べている。
「このキャンペーンは成功だったと思う。ソーシャルメディアでのメンションや、人々がトラックの写真を撮って当社をタグづけするのを見ることができてうれしかった」と同氏は述べた。
リターゲティングも可能に
一方チョンプスは、ホールフーズ(Whole Foods)、アルバートソンズ(Albertsons)、トレーダージョーズ(Trader Joe’s)など有力小売企業にごく近い場所でモバイルビルボードを運行している。このモバイルキャンペーンは現在進行中で、11月7日に終了する。これは、チョンプスが2012年に創設されてから最初のOOHマーケティングキャンペーンだ。
「明らかに広告購入だとわかるビルボードの広告とは大きく違う」と、チョンプスでオムニチャネルマーケティングのシニアマネージャーを務めているディーディー・マッコイ氏は語る。「トラックの場合、チョンプスの配達トラックだと思ってもらえる」。
また、チョンプスのモバイルビルボードは、周囲にジオフェンスを備えているため、位置情報サービスをオンにしているスマートフォンをキャプチャして、そのデータを活用して広告のリターゲティングを行える。現在のところ、このキャンペーンはマーケティング予算に占める割合は「ごくわずか」だとマッコイ氏は述べている。
しかし、モバイルビルボードキャンペーンが的確に機能するには、市場や、トラックが通るルートを考慮しなければならないと、クァンメディアグループのラッパポート氏は述べる。多様な屋外広告が提供される都市の場合、トラックを利用するのは有意義ではないかもしれないと、同氏は述べている。
「結局のところ、予算、メディアバイヤーの教育、そしてなぜこの広告が適しているかを理解することにかかっている」と、ラッパポート氏は述べている。
[原文:Why mobile billboards are driving interest from DTC brands]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via BelliWelli