GIF動画は現代の若いネットユーザーにも、深く愛されている。なにしろスマホユーザーは、自分の興味とコンテンツの関連性を直感的に判断し、面白くないと思ったらすぐに離脱する傾向がある。そのため、GIF動画のように短いコンテンツが求められていると、株式会社GIFMAGAZINEのCEO大野謙介氏は語った。
デジタル動画が長尺化する一方で、超短尺の「GIF動画」の需要も高まっている。
GIFというと、古くさいイメージを抱く方もいるだろう。そう感じたあなたは、きっと古参のネット民かもしれない。なぜならGIFは、「簡便さとチープさ」がウリの画像ファイルフォーマットで、ネット創世記の頃にはバナー広告の一形態として広く用いられていたからだ。
しかし、GIF動画は現代の若いインターネットユーザーにも、深く愛されている。たとえば、「GIF」は2012年、アメリカの流行語大賞にあたるオックスフォード米語辞典の「Word of the year 2012」に選出された。また、ミレニアル世代の圧倒的な支持を得るBuzzFeedでも、その成長の過程において、GIF動画コンテンツが果たした役割は大きい。端的に情報が伝わり、スナック的に楽しめるため、Facebookユーザーとの相性が良かったからだ。
GIF動画が求められる理由
「スマートフォンの登場・普及により、コンテンツの消費スタイルは、この10年くらいで大きく変わった」と述べるのは、GIF動画投稿プラットフォーム「GIFMAGAZINE(ジフマガジン)」を運営する株式会社GIFMAGAZINEのCEO大野謙介氏。「テレビなどとは異なり、移動中やプライベート空間におけるスキマ時間で、2〜3分の短い閲覧体験が非連続に続いていくというスタイルになっている。そこにGIF動画の需要がある」。
なにしろ、スマホユーザーは直感的に、自分の興味とコンテンツの関連性を判断する。面白くないと思ったらすぐに離脱する傾向があるのだ。そのため、「GIF動画のように短いコンテンツで、直感的に意図やメッセージが理解できるコンテンツが求められている」。
実際、FacebookやTwitterは2014年、それぞれのフィードにおいてGIFの再生に対応。そんななか、GIF動画を利用したブランド投稿も増えている。そこで、注目を浴びた表現手法が「シネマグラフ」だ。これは、「クリックレス再生」「短尺(1秒〜3秒)」「ループ」というGIFの特性を活かした表現で、ボトルから注がれるビールや風になびくスカートなど、静止画像の一部が繰り返し動作を続けるため、商品訴求に大きな効果をもたらす。
「GIFは、スクリーンサイズの小さなスマホで、スムーズにストレスなく閲覧できる。しかも、気軽にシェアできるコンテンツとして、GIF動画に関する検索ボリュームは毎年増えている」。

年々「GIF」というキーワードに対する検索ボリュームは増えている(拡大図はこちら)
スマホ世代の瞬間エンタテインメント
こうした背景のもと2013年にローンチしたのが、GIF動画に特化した検索・作成コミュニティ「GIFMAGAZINE」だ。GIF動画のインスタグラム、YouTubeのような位置づけで、「スマホ世代の瞬間エンタテインメント」を標榜している。
一般ユーザーのほかに、映像作家やアニメーター、イラストレーター、漫画家など、さまざまなクリエイターが毎月約5万作品ものGIF動画を投稿。日本、アメリカ、韓国、東南アジアなど8カ国向けに発信されている。月間コンテンツビューは約1.6億回。FacebookやTwitterといったプラットフォームにも拡散され、Facebook Messengerと連携したアプリ版では、日本語検索でお好みを探し出し、LINEの「動くスタンプ」のように送信することもできる。
「GIFMAGAZINE」で人気のコンテンツの傾向について大野氏は、「いくつかの特徴があるが、瞬発力のある面白いコンテンツは好まれやすい」と説明した。たとえば、海外のネコ動画や、映像作家が制作するシネマグラフなどの作品。さらに、クリックしなくても再生・ループできる特性を生かし、紙では表現できない動きのあるマンガ作品や、イラストレーターが制作する「なごみ系」動画などだ。
また、芸術分野で著名な作家など、コンテンツ力の高いトップクリエイター作品も人気だという。たとえば、テレビ朝日系列のニュース番組「報道ステーション」のオープニング映像を担当していた、映像作家の奥下和彦氏もそのひとりだ。
「GIFMAGAZINE」には「公式クリエイター」という制度がある。各ジャンルで活躍するトップクリエイターのうち、上述した奥下氏のような固定ファンが多く、インフルエンサー性の高い作家が認定されるものだ。彼らは自発的に制作する作品のほかに、企業などのスポンサー依頼を受け、デジタルマーケティング施策としてのGIF動画を制作している。
CGMとなるプラットフォームは昨今、広告メディアとしての是非が問われている。いくら強力な拡散機能があっても、そこに存在するコンテンツの中身が保証されるわけではないからだ。その点、公式クリエイターという制度があれば、広告コンテンツを正しく認知拡大、興味喚起、ブランディングにつなげることができる。
日本ではコンテンツとして普及
ところで、日本と海外でGIF動画の受け入れられ方の違いはあるのだろうか。大野氏は、「文化的な背景から、GIF動画の使われ方には、日本と海外で大きな違いがある」という。
たとえば海外では、コミュニケーション目的でGIF動画を使うことが多い。掲示板やSNSなど、日常的なコミュニケーションにGIF動画を送りあう文化があるのだ。
ちなみにアメリカでは、2013年に「GIF動画のGoogle」を標榜する、「GIPHY(ジフィー)」というサイトが開設された。このサイトは、まさに「Google画像検索」のようなUIとなっており、実際にユーザーが気になるGIF動画を検索して友だちに送り合う、コミュニケーション目的での利用がされているという。
その一方、日本では、まさしくコンテンツとして、GIFは広まった。「GIFMAGAZINE」はそうした、ちょっとユニークなGIF動画を「観て楽しむ」ためのサイトだ。奇しくも同サイトの誕生は、「GIPHY」ローンチの1年後だったという。

「GIF動画」は気軽に利用できるうえに、幅広い効果を期待できる(拡大図はこちら)
デジタルマーケティング活用
制作・投稿されたコンテンツをFacebookやTwitterなどのプラットフォームで拡散することを重視したのも「自分たちのプラットフォームだけでなく、さまざまな面で、コンテンツとして体験してもらうために必要なことだった」と、大野氏は述べた。そこにデジタルマーケティングの場も発生する。
「GIF動画は、短尺のため情報が盛り込めないがゆえに、メッセージはシャープでシンプルになる。そうした『引き算の発想』ゆえの拡散力がある」と大野氏は語る。「ストーリーや文脈を伝えるのは長い動画の方が得意だが、多くのユーザーにはリーチしにくい。その点、拡散力のあるGIF動画は、デジタルマーケティングにおいてもファネル上部の認知獲得やブランディングへの効果が期待できる」。
しかし、そこで障害となるのが、「GIFという表現は古く、チープだ」という、大人たちの固定概念だ。GIFは姿形を変え、現代の若いネットユーザーにも愛されている。その事実を理解してもらうために大野氏は、「公式クリエイター」を用意した。「短尺でも上質な作品を作れるクリエイターがいる。トップ作家とともにGIF動画の新しい表現の可能性を広げていきたい」。
マスとデジタルのあいだを補完
たとえば、Jリーグの川崎フロンターレでは、2016年のエイプリール施策として、ネタ動画企画を実施。「ほかのチームよりも面白い。ファンが喜ぶコンテンツを配信したい」という課題に対し、「動く浮世絵シリーズ」で話題の公式クリエイター、瀬川三十七氏をアサインした。
ファンが喜ぶディティールを詰め込んだGIF動画作品は430万人にリーチ。SNSなどの投稿(自然言語)の反応から、フロンターレファンだけでなく、ほかチームのファンからも好意的な印象が広がったことが確認された。このように認知拡大、興味喚起、ブランディングにつながった実績を踏まえ、今後は「マスとデジタルとのあいだを補完する施策」として、クライアントの課題に応えていきたいと、大野氏は意気込みを述べる。
「GIF動画について、もっとも事例とノウハウが蓄積されたサイトが『GIFMAGAZINE』だと自負している。これまでの経験から、クライアントの課題にあったマッチしたクリエイティブを提案していきたい」。
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Written by 阿部欽一
Edited by 広告制作チーム