【一問一答】「CDP」とは?:BtoCマーケター向けのCRM

DMP(データ管理プラットフォーム)CRM(顧客関係管理プラットフォーム)については、ほとんどのマーケターが知っていることでしょう。しかし1年ほど前から、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)と呼ばれる新しいタイプのマーケティングテック企業が登場し、Airbnb(エアビーアンドビー)やジェット・ドットコム(Jet.com)といったブランドに活用されています。

一見したところCDPは、CRMやDMPと非常によく似ています。どれも基本的には、顧客のデータを保管するシステムだからです。しかし、収集するデータセットと、そのデータの処理方法に違いがあります。

CDPはまだ新しいコンセプトのため、その定義はあいまいです(12月に公開されたLUMAscape[ディスプレイ広告の業界地図]によれば、CDPのカテゴリーに属する企業は20社ほどです)。そこで今回の一問一答シリーズでは、ベンダーやエージェンシー幹部を対象としたオンライン調査やインタビューをもとに、CDPについて現在わかっていることをご紹介します。

――まず基本から説明してください

CDPに関して業界で統一された定義はありませんが、3つの大きな特徴があります。ガートナー(Gartner)の調査担当バイスプレジデント、アダム・サーナー氏によれば、CDPは技術的なバックグラウンドを持たないマーケターによって管理されています(これに対し、CRMはIT部門によって運用されています)。また、主に取り扱うのは企業のファーストパーティデータで、企業の既存の顧客を分析するために用いられています。

CRMを利用しているBtoBのマーケターであれば、CDPのことを、BtoCのマーケターが顧客を直接管理するためのCRMと考えればよいでしょう。

――まだよくわかりません。CDPの目的は何なのでしょうか?

コンテンツマーケティング企業のインスティンクティブ(Instinctive)でCEOを務めるマニ・ガンドハム氏によれば、CDPの狙いは、企業の顧客データをすべて組み合わせることによって、あらゆる仕事の効率を高めることにあります。顧客サービスの観点から見れば、CDPのもとになっているのは、CRMシステムとカスタマーサポートシステムです。どちらのシステムにも有益な顧客情報が保管されていますが、それらの情報が統合されてきませんでした。そのため、たとえば、販売店のサポート窓口が顧客から電話で返品を依頼されたときに、購入情報と個人情報をその顧客に確認してもらうことが必要になってしまうのだと、ガンドハム氏はいいます。たとえ、必要なすべての情報が発注データベースなどに保管されていた場合でもです。

「企業は、(CRMとカスタマーサポートの)両方のシステムに接続可能な独自のデータベースを構築しはじめた。そのため、すべての顧客について、販売からサポートに至るすべての履歴とプロファイル情報が作成された」と、彼はいいます。「だが、さまざまなソースやシステムをすべて統合することが必要になったため、最終的には、これ自体が多くのベンダーを抱えるひとつの業界となった」。

――CDPは、広告やデジタルマーケティングと関係があるのですか?

はい。CDPのデータは、販売やカスタマーサポートから広告やマーケティングまで、さまざまな目的で使用されます。CDPは、販売データやデジタル資産データ、それにパフォーマンスデータ(広告をクリックした人の数やモバイルプッシュ通知を表示した人の数といった情報)など、数多くのデータを収集しています。そのため、企業は詳しいデータを入手し、ピープルベースドマーケティングを実行できるようになったと、CDP企業のエムパーティクル(mParticle)のCMOを務めるデビッド・スピッツ氏は述べています。実際、同社はAirbnb、ポストメイツ(Postmates)、Jet.comといったクライアントを抱えています。

メディアバイヤーの観点からこうした見方に同意するのは、オムニコム(Omnicom)傘下のデータ分析会社アナレクト(Annalect)のプレジデント、アダム・ギットリン氏です。同氏によれば、CDPの主要な役割は、ファーストパーティデータをまとめ、顧客データとデジタルIDを互いに関連付けることにあります。

――では、CDPは、広告におけるDMPの役割を引き継いでいるのですか?

そうとは言えません。CDPでは、ファーストパーティデータを実際の顧客IDに基づいて分析することが中心ですが、DMPでは、クッキーを利用して統合されたサードパーティデータを調査することが主な用途です。CDPが既存の顧客との関係を発展させるために利用されるのに対し、DMPは主として潜在的なオーディエンスを獲得するために利用されると考えれば、両者の違いがよくわかるでしょう。

「(用途が異なる)ピーナッツバターとゼリーのようなもの」と、スピッツ氏は説明します。

ただし、その境界線はあいまいです。主要なDMP製品は進化し続けているうえ、アドビシステムズ(Adobe Systems)やニュースター(Neustar)もファーストパーティデータの分析をはじめていると、ニューヨークに本拠を置くメディアエージェンシーの幹部は、匿名を条件に語っています。広告という観点から見ると、CDPはDMPのサブカテゴリーだというのがこの幹部の考えです。

「DMPは歴史的に、特定の機能を集めたスイート製品であり、そのコンポーネントの一部が業界の新たなカテゴリーとして登場した」とこの幹部はいいます。「DMPの一部の機能が、ファーストパーティデータを統合することでCDPになった。また、DMPの別の機能が、顧客情報を得るためにサードパーティベンダーと統合され、これがデータマーケットプレイスというサブカテゴリーとして登場したのだ」。

――CDPが直面している問題はありますか?

ええ、もちろんです。CDPの定義が非常にあいまいなため、多くのモバイルアプリ分析企業やタグ管理ソリューションが、自分たちをCDPベンダーと名乗るようになっています。

「競争を続けている企業にとって、生き残りにつながる分野が見つかるのなら、どの企業もそうするだろう」と、先ほどのエージェンシー幹部は述べています。「ただし、クライアントにとっては非常に紛らわしく、このような状況では誰も勝者にならない。また、知られていない多くの機能がプラットフォームに組み込まれているため、クライアントは、これらのプラットフォームからどのような価値を得られるのかわからなくなる可能性がある。あらゆる機能を備えるようになったDMPやCDPを、すべてのクライアントが必要としているわけではない」と、この幹部は話しました。

スピッツ氏もこの見方に同意しています。彼によれば、CDPというカテゴリーはあまりに大きく広がり、サーナー氏の定義するCDPに当てはまらない企業まで含まれるようになりました。「この同じ言葉が、さまざまな異なるものに使われている。もっとも、新しいテクノロジーでよくあることだ」と、スピッツ氏は述べたうえで、次のように語りました。「だが、最終的には、ひとつの厳密な定義が業界で決められるだろう」。

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Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)
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