デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する、「一問一答」シリーズ。今回のテーマは、マーケターによるソーシャル投稿において、選ばれたオーディエンスにだけ表示される「ダークポスト」です。
「ソーシャルがどんどんメインのメディアチャンネルになっていくに連れて、ソーシャルは本格的に『ダークポスト』中心の方向に動きつつある」と語るのは、デジタスLBi(DigitasLBi)のペイド・ソーシャル・バイス・プレジデントであるジーン・ブライト氏。「ダークポスト」とはどんな物で、なぜマーケティング戦略として普及しつつあるのか? 一問一答形式で紐解いていきます。
デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する、「一問一答」シリーズ。今回のテーマは、マーケターによるソーシャル投稿において、選ばれたオーディエンスにだけ表示される「ダークポスト」です。
「ダーク」と名の付く代物は、「ダークソーシャル」や「ダークウェブ」など、オンラインパブリッシングの世界で、すでにいくつか存在しています。インターネットの利点のひとつは、その透明性にありますが、「ダーク」と名の付く界隈では、不透明な物が存在しているのです。まさしく「ダークポスト」は、そのひとつ。全世界のオーディエンスに見られる必要はないけれども、特定のオーディエンスにプロモートしなければいけないときに、マーケターが利用しているものです。
「ソーシャルがどんどんメインのメディアチャンネルになっていくに連れて、ソーシャルは本格的に『ダークポスト』中心の方向に動きつつある」と語るのは、デジタスLBi(DigitasLBi)のペイド・ソーシャル・バイス・プレジデントであるジーン・ブライト氏。「ダークポスト」とはどんな物で、なぜマーケティング戦略として普及しつつあるのか? 一問一答形式で紐解いていきます。
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「ダークポスト」は、どのように生まれたのですか?
Facebookをはじめとするソーシャルメディアで、投稿のオーディエンスターゲットを絞る機能がまだまだ限定的だったときに、「ダークポスト」は生まれました。「ダークポスト」は別名、「未投稿のポスト」とも呼ばれますが、その考えを開発したのはFacebookが最初だったといわれています。ブランドやパブリッシャーはポストを作り、全体には見せないけれども、パブリッシャー側が選んだターゲット層のフォロワーにだけ見せることができました。
なぜ「ダークポスト」の重要性は高まっているのでしょう?
オーディエンス全員に見せなくても良いような投稿を作ることができるのが主な理由です。たとえば、BuzzFeedといったパブリッシャーは、ブランドとのコンテンツ契約の一部として「ダークポスト」を利用しています。「ダークポスト」は、また複数のコンテンツ戦略を別個に試すことで、どちらの方がパフォーマンスが良いのか調べるのにも使われます。それも公式ページで全員に知れ渡ることなく、試せるのです。
エプシロン(Epsilon)のチーフ・デジタル・オフィサーであるトム・エドワーズ氏は、「『ダークポスト』は特定のオーディエンスのためのコンテンツなので、メインのタイムラインの流れを崩したくないときに使われる」と説明します。
なぜ、マーケターは「ダークポスト」を利用するのですか?
マイケル・コース(Mickael Kors)のようなリテールは、プロダクトが異なればターゲットとなるグループも変わってきます。そのときに「ダークポスト」に頼るのです。「地理的な条件をもとにアクティベーションを起こしたとき、オーディエンスがウェブサイトを見たとき、というように特定の顧客へのメッセージがあるなら、いつでも『ダークポスト』は使える」と、ブライト氏は語ります。
Facebook以外では、どうなのでしょう?
「ダークポスト」は、LinkedIn(リンクトイン)、Pinterest(ピンタレスト)、そしてTwitterでも利用可能です。Snapchat(スナップチャット)やインスタグラムでもプロモートされたポストは、すべて「ダークポスト」となります。
「ダークポスト」に短所はありますか?
ブライト氏によると、「ダークポスト」が競合にとって死角となることがあるそうです。ライバル社がどんなメディア戦略を採っているか知ろうとしても、すべてのソーシャルメディアコンテンツを見ることが不可能だからです。「『ダークポスト』によって、ブランドの競合(のしていること)を見るのが非常に困難になる。相手が何をしていて、採用しているクリエイティブはどんなものなのか、どれだけ費用を費やしているか、誰をターゲットにしているのか、まったく知ることができない」とブライト氏は言います。
「ダークポスト」は、そもそも性質として狭くターゲットを絞るものであり、それが危険性でもあります。たとえば極端な話が、名前をもとにターゲットを個人単位まで絞り、問題となることもあり得るのです。「私は良い結果も、悪い結果も見てきた。たとえば(個々のオーディエンスに)あまりにもカスタマイズされ、返って気持ち悪いものはダメな結果となる」と、ブライト氏は語ります。
Garett Sloane(原文 / 訳:塚本 紺)