Googleは自らを、マーケットプレイスではない、と位置づけている。確かに、Googleは人々が買物可能な場でありながら、セラーにほかのマーケットプレイスへのリンクアウトも認めている。この微妙だが重要な違いについて、同社コマース&ペイメント部門を率いるビル・レディ氏は先頃、ポッドキャストで語った。
Googleは自らの存在について、マーケットプレイスではない、という点を極めて明確にしたがっている。
確かに、Googleは人々が買物をできる場でありながら、セラーにほかのマーケットプレイスへのリンクアウトも認めている。この微妙だが重要な違いについて、同社のコマース&ペイメント部門を率いるビル・レディ氏は先頃、米DIGIDAYの姉妹サイト、モダンリテール(Modern Retail)のポッドキャストで語った。「我々はリテーラーではないし、マーケットプレイスでもない」と、同氏は断言する。レディ氏に言わせれば、Googleは買物客が商品を発見する(そしてときには、同プラットフォーム内で取引をする)手伝いをする場、ということになる。見かけも使い勝手も、マーケットプレイスそのものではあるが、Googleの便利さにはほかと一線を画すものがあるというのだ。
Googleのショッピング機能は格段の進歩を遂げている。同社は少なくとも断続的にそれを成し遂げてきた。いまや、セラーの別に関わらず、誰もがショッピングサイトに商品をアップロードできる。そして、Googleのコマースオプション――「Buy on Google(バイ・オン・グーグル)」――を使うこともできれば、リンクアウトすることもできる。
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昨年、同社は商品のアップロードを完全無料化した。それまでは、セラーは商品を載せるために広告を買わねばならなかった。この決断の背景には、オープンな[開放された]ウェブサイトの可能性を信じる同社の強い思いがあったと、レディ氏は言う。いずれにせよ、この無料化はより多くのセラーがGoogleを試すきっかけとなり、2020年のセラー数は前年比80%増を記録した。
現在のフォーカスは、セラーに新たなサービスとプロダクトを提供しつつ、より多くのブランドがGoogleで気持ち良く販売できるようにすることだと、レディ氏は語る。それにはYouTubeにおけるショッパブル広告の試用も含まれるという。
もちろん、広告事業の持続的成長も重要だ。Googleの大口客といえば? もちろん、Amazonだ。「我々は大小さまざまなリテーラーと手を組んでおり、なかには巨大企業もある。ご存知のとおり、Amazonもそのひとつで、彼らとも極めて緊密な関係を築いている」とレディ氏。「ときどき、『おいおい、これって競争原理に反しているのでは?』と思われるかもしれない[が]、実際のところ、これはGoogleの第一原則への回帰にほかならない」。
以下に発言の一部を紹介する。なお、読みやすさを考え、多少編集を加えてある。
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マーケットプレイスの開放について
「これまでは、セラーがGoogleで売りたい商品を載せるには、広告を買う必要があった。対価を支払わせて[Googleの]顧客にさせる……つまりは、広告ドリブンプロダクトだった。しかし、昨年、我々はそれを無料にした。もちろん、広告を買いたい人は買えるし、そうすればより良いプレースメントを得られる、とは伝えた。ただ重要なのは、誰でもGoogleに商品を無料で載せられるようにした点で、これは非常にインパクトが大きかった――それはセラーにとっても然りで、昨年はセラー数が80%強も増加した。我々のプラットフォームを活用するセラーの数は2倍近くに増えている。[これは]規模にかかわらず、どのセラーにも無料で開放したことに大きく起因する」。
ショッパブル広告の導入
「ショッパブル広告や動画とショッピングの融合には大きな可能性があると確信している。いま現在、YouTubeでその実験を行なっているところだ。YouTubeにはすでに多大な商業的意図が存在しており、実験のひとつとして、その活用法を探っている。多くの人が[たとえば]ハウツー動画や開封動画を見ている――もっといえば、インコンテキスト[実際の状況]でその商品がどう見えるかを見せるだけの動画もそうだ。我々としては、そういう動画の視聴にショッピング機能をぜひ加えたい。ショッピングを動画視聴体験のなかに無理なく組み込み、ユーザーにとって極めてシームレスなものにしたいと考えている」。
マーケットプレイスであって、マーケットプレイスでない
「我々はリテーラーではないし、マーケットプレイスでもない。実際、リテーラーになろうとも、マーケットプレイスになろうともしていない。我々が目指すのは、ユーザーがGoogle上で最高の商品、最高の価値、最高のセラーを発見でき、彼らとセラーをシームレスに繋ぐことだ。そして大半の場合、それはそのセラー自身のサイトにクリックアウトさせることを意味する(中略)。同時に、ユーザーとセラーの双方の役に立てる瞬間があることも承知している――ユーザーが買う気になっているのなら――その人にインコンテキストでの購入を決断させる場合だ。Buy on Googleは、非常に有用な『インコンテキスト』バイイングツールだと考えている。同ツールは低複雑性の購買に打って付けでもある。ただ、その他多くの場合、我々はまず、ユーザーが十分な情報を得られるよう手助けをする。続いて、そのユーザーがセラー自身のサイトにシームレスに移行できるよう手助けをする。ユーザーを自社プラットフォームに何が何でも留めておく、というのは我々が目指すところではない」。
Cale Guthrie Weissman(翻訳:SI Japan、編集:長田真)