WeChat 、米国250社が加入する「決済サービス」を展開へ

メッセンジャープラットフォームであり、決済プラットフォームのWeChat(ウィーチャット/微信)が米国に上陸する。

月間アクティブユーザー数は10億人を抱えているWeChatは、中国が誇る最大のモバイルプラットフォームだ。彼らは先日、訪米した中国のWeChatユーザーたちがギフトカードを使ってキャッシュレスに買い物の支払いができる取引を、米国企業2社と結んだ。対応するリテーラーには、ナイキ(Nike)、サクス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)、そしてノードストローム(Nordstrom)など250社が含まれる。

WeChatと取引を結んだのは、財務サービス企業トラベレックス(Travelex)とその姉妹企業であるスウィッチ(Swych)だ。彼らはWeChatの持つバーチャルウォレットを活用する。ペイパル(Paypal)のように、WeChatユーザーたちは銀行口座もしくはクレジットカードを経由して、このウォレットに金額を追加することができる。中国ではタクシー、映画館とあらゆる場面でバーチャルウォレットが使われている。

中国人の買い物を簡便に

このサービスにリテーラーが参加するには、パーセンテージベースの手数料を支払わなければいけない。しかし、これによって、訪米している中国人旅行客の買い物がはるかに簡単になる。これは、中国におけるライバルである、Alipay(アリペイ/支付宝)のアメリカにおけるリテール戦略と見事に一致する。Alipayはリテーラーにおける支払いプロセッサとネイティブに統合されているために、顧客側で手数料を支払うことなしにキャッシュレス支払いが可能になっている。アリペイは、現時点ではゲス(Guess)やラコステ(Lacoste)といった大手リテーラーで利用可能となっている。

「トラベレックス・ペイ(Tavelex Pay)」と名付けられたWeChatによるこのサービスを利用するためには、ユーザーはスマートフォンのスクリーン上に表示するためのギフトカードをダウンロードしなくてはいけないという手間がかかる。レジでこのギフトカードを表示するわけだ。Alipayの場合はギフトカードは必要なく、中国人民元を米ドルに変換してくれる。リテーラーたちに手数料を課すことで収益をあげている。

AlipayやWeChatといった企業が前進を見せるものの、当然こういった取引には高額な為替換算の手数料がついて回る。また高額な取引手数料がかかる中国のクレジットカードの利用が必要な点では変わらない。バーやレストランといった小規模なアメリカのビジネス何十万社が、依然としてこの取引には参加していないのも現実だ。

手数料はクレカと同程度

「モバイル支払いやテクノロジーが発展しているものの、キャッシュやクレジットカードそのものはすぐにはなくならないと、我々はみな理解している。まだまだ必要なのだ」と、スウィッチのCEOであるディーパック・ジェイン氏は言う。「リテーラーの観点からすると、トラベレックス・ペイ、そしてWeChatサービスの最大の利点は高級ブランドでの買い物という、中国からの旅行客でもっとも共通する行動をシンプルにしてくれるところにある」。

今回の契約に参加しているアメリカのリテーラーたちが支払うことになる手数料の具体的な額については、ジェイン氏は言及しなかったが、クレジットカードがリテーラーに課している金額と似ているとのことだ。クレジットカードの手数料は通常であれば1から2.5%に及ぶ。なかには個別の取引手数料として10セント程度を課すところもある。トラベレックス・ペイがこういった手数料を課すかどうかは不明だ。1ドルや2ドルほどの買い物にもこれが課せられるとなると、かさばることになる。

他にもオリーブ・ガーデン(Olive Garden)、ウーバー(Uber)、AMCシアター(AMC Theatres)、そしてシネマーク・シアター(Cinemark Theatres)が、このサービスに参加する。

富裕層がメインターゲット

ジェイン氏によると、ニューヨークのナイキアウトレット店舗を訪れて、6足のデザイナー・スニーカーを購入したり、サックス・フィフスアベニューで中国では見つけにくい高級品を大量に買う、裕福な中国人をメインのターゲットにしているという。

「中国消費者にとってはブランドのオリジナリティが非常に重要だ」と、ジェイン氏は言う。「オリジナルのナイキの靴がほしいと思っているのだ」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)