リンスロー(Rinseroo)はスリップオン式アタッチメントホースを販売しているブランドで、5月にTikTokショップ(TikTok Shop)に参加したあと、1本の動画から5万ドル(約740万円)相当の売上を達成した。
「あまりに反響が大きくて、最初は信じられなかった。毎日何千人も新規フォロワーが増えたが、その後、このプラットフォーム上で問題が発生しはじめた」と、リンスローブランドの創設者であるリサ・レーン氏は語る。同ブランドはTikTokの掃除動画で認知度を上げ、Amazon、Chewy.com、Lowes.comで販売されている。問題は、プラットフォームを通じて商品を出荷しようとしたときに発生した。
TikTokはリンスローの配送プラットフォームと統合されていなかったため、同ブランドは、運送業者が商品を自社システムに効率的にスキャンするために必要な、1日分の配送をまとめたフォームを作成できなかった。そのため、郵便局はリンスローのすべての注文を多大な労力を費やしてスキャンしなければならず、そして、当然のことながら、すべての注文がスキャンされることにはならなかった。この不手際により、リンスローのショップは非難を受け、郵便局でスキャンされなかった商品を再発送することで損失を被ることになった。
米モダンリテールのインタビューを受けたブランドは、TikTok Shopに参加してわずか数カ月で、すでにこのアプリのeコマースプラットフォームの利点と欠点を感じ取っている。今年初め、TikTokショップのテストに招待された米国のブランドが増えはじめたが、それらのブランドの多くは、すでにフルフィルメントシステムやフルフィルメントパートナーを保有していた。その多くは売上の増加を報告したものの、なかにはTikTokが自社の配送プラットフォームと統合されていないことから、ロジスティクスの問題を経験しているブランドもある。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
リンスロー(Rinseroo)はスリップオン式アタッチメントホースを販売しているブランドで、5月にTikTokショップ(TikTok Shop)に参加したあと、1本の動画から5万ドル(約740万円)相当の売上を達成した。
「あまりに反響が大きくて、最初は信じられなかった。毎日何千人も新規フォロワーが増えたが、その後、このプラットフォーム上で問題が発生しはじめた」と、リンスローブランドの創設者であるリサ・レーン氏は語る。同ブランドはTikTokの掃除動画で認知度を上げ、Amazon、Chewy.com、Lowes.comで販売されている。問題は、プラットフォームを通じて商品を出荷しようとしたときに発生した。
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TikTokはリンスローの配送プラットフォームと統合されていなかったため、同ブランドは、運送業者が商品を自社システムに効率的にスキャンするために必要な、1日分の配送をまとめたフォームを作成できなかった。そのため、郵便局はリンスローのすべての注文を多大な労力を費やしてスキャンしなければならず、そして、当然のことながら、すべての注文がスキャンされることにはならなかった。この不手際により、リンスローのショップは非難を受け、郵便局でスキャンされなかった商品を再発送することで損失を被ることになった。
米モダンリテールのインタビューを受けたブランドは、TikTok Shopに参加してわずか数カ月で、すでにこのアプリのeコマースプラットフォームの利点と欠点を感じ取っている。今年初め、TikTokショップのテストに招待された米国のブランドが増えはじめたが、それらのブランドの多くは、すでにフルフィルメントシステムやフルフィルメントパートナーを保有していた。その多くは売上の増加を報告したものの、なかにはTikTokが自社の配送プラットフォームと統合されていないことから、ロジスティクスの問題を経験しているブランドもある。
商品の保管、梱包、配送を一括運用
TikTokは、プラットフォームでブランドが経験しているロジスティクスの問題についてコメントを控えている。最近の発表では、TikTokが独自のロジスティクスサービスに取り組んできたことも示されている。TikTokは8月初めに英国で「Fulfilled by TikTok(フルフィルドバイTikTok)」を導入した。これは、売り手の商品の保管、梱包、配送を行うサービスだ。
TikTokショップは昨年11月から米国でテスト段階に入っており、さまざまな規模のブランドに対して、プラットフォームに加入するようひそかに呼びかけてきた。フィリピンなど一部の国々ではすでに3月に、人々をショッピングページに誘導する「ショッピングセンター(Shopping Center)」タブを発表した。米国ではギャップ(Gap)のパーカーや、アバクロンビー(Abercrombie)のジーンズなど、バイラルな商品の売上を促進できることを実証し、食料品店ではオーシャンスプレー(Ocean Spray)のクランラズベリー(Cran-Raspberry)飲料の棚を空にしたほどだ。
「必要なものすべてがひとつの場所で確実に購入できることを想像してほしい。Googleで商品を調べたり、Amazonで数百ものレビューを読んだりする必要はない。TikTokには動画、コメント、シェア、ブックマークなど、すべてがそろっている」と、マーケティング企業のジ・インフルエンサー・マーケティング・ファクトリー(The Influencer Marketing Factory)の販売担当バイスプレジデントを務めるニクラ・バルトリ氏は語る。
大規模ブランドに向かないルール
実際に、TikTokでバイラルになることで、売上が急増することもある。玩具ブランドのエデュケーショナルインサイツ(Educational Insights)は、4月にTikTokショップに参加してから、前月比で300%から400%もの売上増を示した。は1962年に創設されたこのブランドは、TikTokショップで約30種類の商品を販売している。
「ほかの多くのプラットフォームが試みて失敗したが、TikTokが成功したのは、まず巨大なロイヤルコミュニティをまず構築したことだ。現在では、人々がTikTokに参加し、交流し、その気になれば買い物ができるという、シームレスな方法が存在する」と、エデュケーショナルインサイツのシニアブランドマネージャーを務めるリー・パーカースト氏は語る。
パーカースト氏は、同社がTikTokのリーチの恩恵を受けており、カヌードル(Kanoodle)パズルゲームなどいくつかの商品がバイラル化したことで、ほかの小売業者からも関心を寄せられるようになったという。しかし、リンスローと同様、ロジスティクスの問題に悩まされることになった。1日に500から2000程度の注文を受けることがあり、TikTokショップを通じて手作業で処理する必要があった。また、TikTokショップでの注文は2日後に発送する必要があったが、エデュケーショナルインサイツは週末には営業していないため、金曜日に受けた注文を月曜日まで発送できないという理由でペナルティを受けることになった。
パーカースト氏は、「これらは、小規模な販売者が実行できることを前提としたルールと規則だった。TikTokは、我々のようなもっと大規模なブランドと仕事をするようになり、このようなブランドがこのルールに従うことが困難だということを理解しはじめている。営業時間外だという理由で、ペナルティを受けたり、注文を失ったり、返金させられるわけにはいかない」と、述べる。
プラットフォームの旨味と課題
リンスローのレーン氏は、これらのペナルティは販売者にとって厳しいものだと語る。ブランドのアカウントがルール違反としてフラグ付けされると、週ごとに処理できる注文の数量がTikTokにより制限されるからだ。
「ショップに制限が課せられているときに動画を投稿しても、ほとんどトラクションは得られない。制限が解除されれば、何千、何万回と再生される」と、レーン氏は述べている。TikTokが初回注文時に提供する最大30%の大幅割引が、同氏のショップの売上を伸ばすのに役立ったという。リンスローはTikTokで大量の販売を行ったことから、トラブルのエスカレートを支援するブランド担当者がが割り当てられている。
ブティック小売店400店舗で販売されている菓子会社のXOマシュマロ(XO Marshmallow)は、あまりの売れ行きに驚いたと語っている。8月だけでも、総売上は前年同期比で190%増加した。XOマシュマロの共同所有者兼共同CEOを務めるキャサリン・コナー氏は、需要を満たすことと、バックエンド業務の統合が、このプラットフォームでの最大の課題だったと語っている。
「TikTokでしか販売を行わないビジネスなら、TikTokのシステムと最初から統合することになる」と、同氏は述べる。XOマシュマロはすでにウェブサイトとフルフィルメントシステムを保有していたため、TikTokショップで販売を行うには調整を加える必要があったという。「TikTokは、我々の話したことすべてを十分に受け入れてくれた」。
Shopifyとの統合機能を廃止
しかし、ブランドにはさらに変更が待ち受けている。TikTokは最近、9月12日をもってShopify(ショッピファイ)とのストアフロント(Storefront)統合を打ち切り、売り手には代わりにTikTokショップを使用してもらうことを計画していると発表した。これまで、Shopifyの売り手はこの機能を使用して、自社の品揃えをTikTokと同期できていた。
プラットフォームに課題はあるものの、リンスローのレーン氏は、このプラットフォームに参加する最初のブランドのひとつになる機会は逃したくないと述べている。「おそらく5年後には、TikTokショップは買い物客が集まる場所になり、人々はまずTikTokを訪れるようになるだろう。今後5年間の機会を失うのは重大な失敗になるだろう。TikTokショップに今参加して将来をめざすべきだと思う」と、同氏は述べている。
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via TikTok